三鷹市で土地や戸建てを売るとき、多くの場合で境界の確定が課題になります。どんな手続きで、どのくらいの期間と費用がかかるのか。売り出す前に何を調べておくべきか。三鷹市の実務に絞ってまとめました。
三鷹市で測量が必要になりやすい理由
国と自治体が土地の境界を調べて記録する「地籍調査」が、三鷹市では7%しか進んでいません。
三鷹市の土地の多くは、法務局の図面が現況と合っているとは限りません。古い分譲地や、代々受け継がれてきた土地ほど、一から測り直す可能性が高くなります。
一方で、三鷹市は平成22年度から地籍調査を進めており、令和5年度からは市道と民地の境界をまとめて確認する「街区境界調査」も始まっています。令和8年度の実施地域は上連雀六丁目・七丁目の各一部です。調査が済んだ区域なら、市役所で成果を無料で閲覧でき、測量の作業を軽くできる場合があります。ご所有地が対象かどうかは、当社が調べます。
出典:国土交通省「全国の地籍調査実施状況」(令和7年度末時点)/三鷹市「国土調査法に基づく地籍調査について」
境界確定の手続きと期間
確定測量では、隣の土地との境界と、道路や水路との境界の両方を確認します。相手が違うので、手続きも2本立てです。
隣の土地と(民民境界)
立会いと筆界確認書
市道・水路と(官民境界)
三鷹市への境界確定申請
都道に接する場合は、東京都(北多摩南部建設事務所)への別の申出が要ります
隣の土地との境界 ── 立会いと筆界確認書
隣接する土地の所有者に現地で立ち会っていただき、境界の位置について認識が一致したことを書面にします。この書面を筆界確認書と呼びます。法律で義務付けられた手続きではありませんが、法務省の通達も「提供を求める取扱いが一般的」と説明している、実務の標準です。
なお令和4年10月から、法務局の登記実務では運用が見直され、現地復元性のある地図や地積測量図が残っている場合には、筆界確認書を求めない扱いが始まっています。隣地の所有者が分からない場合の負担を軽くするための見直しです。ただしこれは分筆や地積更正といった登記手続きの話で、売買で買主に渡す確定測量図をどう作るかは、契約の取り決め次第です。
出典:法務省「隣の土地の所有者が分からなくてお困りの方へ」(令和4年10月運用開始)
市道・水路との境界 ── 公共用地境界確定申請
土地が市道・里道・水路に接している場合は、三鷹市への「公共用地境界確定申請」が必要です。市は申請の受付から完了まで、標準でおおよそ2〜3か月と公表しています。
| 受付の条件 | 隣接土地所有者(向こう3軒両隣の範囲)全員の立会同意書。1軒でも欠けると受付されません |
|---|---|
| 主な必要書類 | 印鑑登録証明書(発行3か月以内の原本)、法務局発行の公図・登記事項証明書、縮尺250分の1の現況実測平面図など |
| 立会い | 土地所有者・隣接所有者・市職員の三者で現地確認 |
| 期限の定め | 現地調査後3か月以内に立会いできない場合や、立会い後3か月以内に確定図が提出されない場合は、協議不成立として処理 |
相続した土地で名義がまだ変わっていない場合は追加の書類が必要になります。また、ご所有地が都道に接している場合は、東京都北多摩南部建設事務所(府中市)への別の申出が必要です。市道と都道の両方に接する角地では、手続きが2本立てになります。
出典:三鷹市「境界確定について」/東京都建設局「土地境界確認・確定の申出」
全体でどれくらい見ておくか
申請の前 ── 目安なし
資料調査/現況測量/隣接する土地所有者全員からの立会同意の取り付け
▼
申請の受付から完了まで ── 2〜3か月
三鷹市が公表している標準的な期間
着手から完成までの全体期間に、公的な目安はありません。
数か月単位の仕事だと考えて、引き渡しの予定から逆算して早めに着手する。これに尽きます。相続税の納税資金を売却でつくる場合は、申告期限の10か月から逆算するとさらに切実です。
費用の目安
土地家屋調査士の報酬規定は平成15年に廃止され、料金は事務所ごとに自由化されています。公的な定価はありません。
参考になるのは、日本土地家屋調査士会連合会が3年ごとに実施している報酬アンケートです。令和7年度調査の結果は次のとおりでした。
土地分筆登記(東京)は中央値71.4万円、地積更正登記の全国中央値は42.1万円。前提は市街地の宅地180㎡・隣接6筆の調査・道路と隣接地との筆界確認・境界標3点新設、税抜・実費別。
最低と最高で13倍の開きがあります。土地の形、隣接する筆の数、道路との関係で金額が大きく動くためです。売り出す前に見積もりを取り、内訳を確認することをお勧めします。当社から複数の土地家屋調査士に見積もりを依頼することもできます。
出典:日本土地家屋調査士会連合会「業務報酬統計資料(令和7年度)」
実測売買と公簿売買
実測売買
測った面積で代金を決めます。確定測量図を引き渡す約束にすることが多く、その分の期間と費用がかかります
公簿売買
登記簿の面積のまま取引します。法律的にも有効で、測量を省けるので急ぐ売却の選択肢になります
国土交通省の標準媒介契約約款の別表にも、面積欄は「実測」「公簿」の2段で用意されています。公簿売買では、登記簿の面積と実際の面積がずれていた場合のトラブルは、買主が納得したうえで契約していることが前提です。「誤差3〜5%までは許される」という説明を目にすることがありますが、公益財団法人不動産流通推進センターは「必ずしも正しいとはいえない」と解説しています。
そしていちばん避けたいのは、「確定測量図を引き渡す」と契約してから、隣地の立会いを断られて図面が作れなくなることです。この場合、売主の債務不履行として契約解除の原因になりうるとされています。実測か公簿かは、隣地の協力見込みを見立ててから決めるべき事柄です。
出典:国土交通省「標準媒介契約約款」/不動産流通推進センター「『公簿売買』における面積の誤差によるトラブル防止法」/同「境界明示に関する媒介業者の責任範囲」
もめたときの筆界特定制度
隣地との話し合いで境界の認識が一致しない場合、法務局の筆界特定制度という手段があります。裁判ではなく、筆界特定登記官が外部専門家の意見を踏まえて筆界の位置を特定する制度です。三鷹市の土地の申請先は東京法務局(本局)です。
| 標準処理期間 | 9か月(東京法務局の公表値) |
|---|---|
| 申請手数料 | 両方の土地の固定資産評価額をもとに算定。合計4,000万円の場合で8,000円(収入印紙で納付) |
| 測量費用 | 手数料とは別に申請人負担。おおむね50万〜80万円の間が多いとされています |
期間9か月・費用数十万円ですから、通常の売却スケジュールにはまず収まりません。もめてから考えるのではなく、売り出す前に境界まわりの状態を見立てておく。それがこの制度から得られるいちばんの教訓です。
出典:東京法務局「筆界特定制度に関するよくある質問」(2026年8月時点の掲載内容)/法務省「筆界特定制度」
当社の進め方
ここまでの調査と見立てに費用はいただきません。三鷹市の不動産売却の全体像は三鷹市の不動産売却のページにまとめています。
よくあるご質問
確定測量をしないと売れませんか。
必ずしも必要ではありません。公簿売買という方法もありますし、現地復元性のある地積測量図が残っていれば活用できる場合もあります。物件と隣地の状況を調べたうえで、どの進め方が向いているかをお伝えします。
期間はどのくらい見ておけばいいですか。
全体の公的な目安はありませんが、三鷹市の官民境界確定だけで受付後2〜3か月、その前に準備期間が必要です。数か月単位で考えて、引き渡しの予定から逆算して早めに着手することをお勧めします。売却活動と並行して進められますので、測量の完了を待って売り出す必要はありません。
費用は誰が負担するのですか。
売買契約では売主が境界を明示すると取り決めるのが一般的なため、その準備としての測量費用は売主の負担になることが多いです。なお、隣地との境界標の設置・保存の費用そのものは、民法上は隣り合う所有者の共同の費用とされ、測量費は土地の広さに応じて分担すると定められています。
隣の方が立会いを断ったらどうなりますか。
筆界確認書が作れないため、契約内容によっては売主の債務不履行になりかねません。だからこそ契約前に協力見込みを見立てます。どうしても一致しない場合は筆界特定制度という手段がありますが、期間と費用がかかります。
隣の土地の所有者が分かりません。
令和4年から法務局の運用が見直され、精度の高い図面が残っている場合には筆界確認書なしで登記できる扱いが始まっています。状況により進め方が変わりますので、まず登記と図面の状態をお調べします。
古い測量図が手元にあります。使えますか。
現地の境界標と図面が照合できれば、活用できる場合があります。ただし三鷹市は地籍調査の進捗率が7%と低く、古い図面が現況と合わないことも多いのが実情です。図面を拝見してから判断します。
市の街区境界調査が済んでいるか知りたい。
三鷹市は令和5年度から地区を区切って街区境界調査を進めており、成果は市役所で無料で閲覧できます。ご所有地が調査済みの区域かどうかは当社で確認しますので、所在地をお知らせください。