クリニックの開業地を検討するとき、多くの方が診療圏調査のデータ(人口、年齢構成、競合の分布)をご覧になります。判断の土台になる大事な資料です。ただ、そのデータがいつ調査されたものかは、意外と確認されていません。
このページのポイント
- 古いデータで不利に見えた土地が、市内11校で児童数最多の学区でした
- 不利に見えるデータは他社も避け、競争のない状態で開業できました
- 減る推計でも、令和14年度の521人で市内最多の見込みです
このページの内容
データの調査時点と、今の街がずれることがあります
埼玉県東松山市の高坂で、小児科の開業をお手伝いした例です。
商圏データ
区画整理より前の調査
データだけなら、誰がどう判断しても「ここに出店しても利がない」となります。
今の街
区画整理を終え、若い世帯が増えていた
今そこにいる子どもの数を調べました
近隣の幼稚園・保育園・小学校の子どもの人数を、一つずつ確認しました。小児科として十分に成り立つ市場だと確かめられました。
公表されている数字で確かめられます
この見立ては、市の公表資料で誰でも確かめられます。
※単位は人。高坂は2位の市の川の約1.6倍です。令和3年度から令和7年度は811人→806→805→822→823人と増え、令和8年度に789人となりました。
出典:東松山市「令和9年度以降 市立小・中学校 児童・生徒数及び学級数の推移・推計」
132人
高坂ひまわり保育園
(高坂3-11-8)
234人
認定こども園高坂幼稚園
(高坂3-13-2)
90人
たかさか保育園
(高坂1122)
456人
合計
うち高坂三丁目内に366人
※認定こども園は、幼稚園部分164人+保育所機能部分70人。定員であって在籍数ではありません。
出典:東松山市「保育施設一覧」
高坂一〜七丁目の住所表示ができたのは、2024年11月9日です
それ以前は大字高坂・大字正代・大字毛塚・大字宮鼻でした。換地処分(区画整理で区切り直した土地を確定させる手続き)が終わったことに伴う住所変更です。
それでも、古い区域名で集計されたデータの上では田んぼのままでした。
減る見通しも、併せてご覧ください
正直に申し上げると、高坂小学校の児童数は今後減少する推計です。
※単位は人。令和8年度は5月1日現在、点線の枠は市の推計です。
出典:東松山市「令和9年度以降 市立小・中学校 児童・生徒数及び学級数の推移・推計」
それでも令和14年度の521人で市内最多の見込みです(2位の予測は新明437人、市の川435人)。減るのは市全体の傾向で、高坂だけではありません。令和7年度まで増えてきた事実と減る見通しの両方を、ご覧いただくべきだと考えています。
不利に見えるデータは、競合も見ています
- 1数字の上で不利に見える
- 2他社も同じように避ける
- 3競争のない状態で開業
データを疑ってかかるべきだ、と申し上げたいのではありません
調査時点と、今の街の姿が合っているかを確かめる。それだけで、見落とされている土地が候補に入ることがあります。
ご自身で確かめる手順

いずれも公表資料ですので、ご自身で確認していただけます。候補地が絞れてきた段階では、当社でまとめてお調べします。
よくあるご質問
商圏調査のデータは信用できないということですか。
そうではありません。判断の土台として必要な資料です。ただしいつ調査されたものかは必ず確認してください。区画整理や大規模開発があった地域では、データが街の現在の姿に追いついていないことがあります。
子どもの数を調べる方法は、小児科以外でも使えますか。
診療科によって見るべき数字が変わります。子どもの数が目安になるのは小児科や産科などで、内科や整形外科であれば年齢別人口や高齢化率のほうが手がかりになります。共通しているのは、統計の調査時点と今の街の姿が合っているかを確かめる、という手順のほうです。
検討している地域が東松山市ではないのですが、同じ調べ方はできますか。
できます。学校ごとの児童・生徒数と将来推計、保育施設の一覧、区画整理事業の履歴は、多くの自治体が同じようにサイトで公表しています。区画整理や大規模開発があった地域ほど、この確認が効きます。
その他のテーマは不動産コラムにまとめています。