クリニックを建てたいとお考えの方に向けたページです。医業経営のご相談ではなく、土地と建物、それに手続きの順番についてご説明します。
このページのポイント
- 開設の6か月前までに届出が要る場合があります(令和8年4月から)
- 保険診療は、原則毎月1日付の指定から。完成日からではありません
- 土地と建物の確保は主に4つ。土地を買わずに建てる形もあります
誰に、何を相談するか
| 不動産会社(当社) | 土地と建物の確保。用途地域、接道、駐車場の確認、契約 |
|---|---|
| 設計事務所・建設会社 | 建物の設計と施工。診療科ごとの動線と設備 |
| 税理士の先生 | 資金計画と、開業後の会計 |
| 金融機関 | 融資 |
| 社会保険労務士の先生 | スタッフの採用、就業規則、社会保険 |
| 医療機器メーカー・ディーラー | 機器の選定と納入 |
当社以外の相手も、すべて当社からご紹介できます。お付き合いのある方がいれば、その方と連携します。誰に何をいつまでに頼むか、段取りを組むところもお引き受けします。
相談料や顧問料はいただきません
当社は不動産会社で、開業のコンサルティングを行う会社ではないためです。使い分けはクリニック開業コンサルとの使い分けにまとめています。
届け出る先と、その期限
都道府県
医師でない方や医療法人が開設する
事前に診療所開設許可(医療法 第7条第1項)。許可を取ってから開設届
保健所
開設した・エックス線装置を備えた
その日から10日以内に、診療所開設届(医療法 第8条)・診療用エックス線装置備付届(医療法 第15条第3項)
地方厚生局
保険医療機関の指定
原則として毎月1日付
※医療法の許可・届出の相手は、法令上は都道府県知事です。保健所を設置する市や特別区では市長・区長にあたり、実際の窓口は保健所になります。
出典:厚生労働省/関東信越厚生局/目黒区「診療所、歯科診療所を開設される方へ」
令和8年4月から、6か月前の届出が加わりました
外来医師過多区域(外来の医師が多いとして都道府県知事が指定する区域)で、無床(入院用のベッドが無い)の診療所を新規に開設する場合です(医療法 第30条の18の6第3項)。
6か月前まで
開設する日から数えます。届出先は都道府県知事
3年以内
要請や勧告に従わなかった場合、保険医療機関の指定に付く期限
東京都で候補として公表されている5区域
区中央部・区西部・区西南部・区南部・区西北部(厚生労働省、令和8年3月27日時点)。ご開業の場所が該当するかどうかは、都道府県にご確認ください。
逆算の起点は、建物の完成日ではありません
保険医療機関の指定は、申請者のご希望がない限り毎月1日付です。地方社会保険医療協議会の部会が月1回開かれるためです。つまり、建物の完成日から保険診療を始められるわけではありません。
※申請書の締切日は、地方厚生局の事務所ごとに異なります。
土地のご相談を早めにいただきたい理由
締切に間に合わなければ、開院はまるひと月ずれます。外来医師過多区域では、これとは別に、開設する日の6か月前までに都道府県知事への届出が要ります。
土地と建物をどう確保するか
| 比べる点 | 買って建てる | 借りて建てる | 建物ごと借りる | 1室を借りる |
|---|---|---|---|---|
| 特徴 | 自由度・資金とも最大 | 事業用定期借地権 | 貸主が建てる建て貸し | 開業までいちばん早い |
| 初期の資金 | 土地代+建築費 | 建築費 | 内装+保証金 | 内装+保証金 |
| 建物の自由度 | 高い | 高い | 取り決め次第 | 制約が大きい |
| 契約の形式 | 売買契約 | 公正証書 | 賃貸借契約 | 賃貸借契約 |
| やめるとき | 売る | 更地にして返す | 明け渡し | 明け渡し |
| 手元に残るもの | 土地と建物 | 建物 | なし | なし |
※金額の相場を載せていないのは、立地と条件で開きが大きく、公的な統計がないためです。候補地が決まりましたら、条件をうかがってお見積りします。
承継という道もあります。クリニック・調剤薬局の開業用地のページでご説明しています。
土地を買わずに建てる
事業用定期借地権なら、土地代を用意せずに、ご自身の建物を建てられます。専ら事業用の建物に限られ(居住用は対象外)、診療所はこれにあたります。
- 1土地を借りる公正証書で結ぶ必要があります(借地借家法 第23条第3項)。通常の契約書では成立しません
- 2建物を建てる建物は先生の所有。設計の自由度は、土地を買う場合と変わりません
- 3更地にして返す期間が終わったら、建物を取り壊すのが一般的です。建物の買取りを請求できないためです
30年以上で結ぶときは、3つの特約が必要です
- 契約を更新しない
- 建物を建て替えても期間を延長しない
- 建物を買い取らせない
10年以上30年未満の契約では、この3つは特約が無くても法律で決まっています。
出典:借地借家法 第23条。手続きと費用は公証役場にご確認ください。公正証書の作成そのものは当社では行いません。
気をつけていただきたい2つの点
- 期間 何歳まで診療を続けるか、承継させるか。更地にしてお返しする時期と合わせて、年数を選びます。
- ご自宅の併設 同じ建物に住まいを設けると「居住の用に供するもの」にあたり、この権利が使えなくなるおそれがあります。住居を兼ねるお考えがあれば、早い段階でお知らせください。
先に確かめておくこと
土地を選ぶ前に決めておいていただきたいのは、20床以上の病院として計画するかどうかです。根拠となる条文と、薬局の扱いの違いは診療所・病院と用途地域にまとめています。
19床以下
診療所です。住居系でもっとも規制の厳しい第一種低層住居専用地域にも建てられます
20床以上
病院となり、建てられる用途地域が変わります
調剤薬局を近くに置くなら
専用通路などでつながる形や、建物のなかにあって医療機関の調剤所と変わらない形は、一体的な構造として認められません(保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則 第2条の3)。同じ敷地では、薬局と出入口が公道などからすぐ分かるかなどで、個別に判断されます(調剤薬局の一体的構造の規制)。
敷地の間口や駐車場の取り方に関わるので、土地を決める段階からご相談ください。当社では埼玉県東松山市で、小児科の開業に合わせて、同じ敷地で開業いただける調剤薬局をお探ししたことがあります。
よくあるご質問
開院したい月が決まっています。いつご相談すればよいですか。
早いほどご希望に沿えます。保険医療機関の指定は原則として毎月1日付で、締切に間に合わなければひと月ずれます。そこから開設届、建物の完成、着工、設計、土地の確保と逆算していくと、土地のご相談は開院のかなり前になります。外来医師過多区域であれば、さらに6か月前の届出が加わります。
外来医師過多区域とは何ですか。
外来の医師が多いとして都道府県知事が指定する区域です。令和8年4月から、この区域で無床の診療所を新規に開設する場合は、開設する日の6か月前までに都道府県知事へ届け出ることになりました。要請や勧告に従わなかった場合、保険医療機関の指定に3年以内の期限が付きます。ご開業を考えている場所が該当するかどうかは、都道府県にご確認ください。
コンサルティング料はかかりますか。
いただいておりません。当社は不動産会社で、開業のコンサルティングを行う会社ではありません。相談料や顧問料をいただかない方針です。コンサルタントとの使い分けはクリニック開業コンサルとの使い分けにまとめています。
設計事務所や税理士の先生も紹介してもらえますか。
ご紹介できます。上の表に挙げた相手はすべて承ります。既にお付き合いのある方がいらっしゃれば、その方と連携させていただきます。
土地を買わずにクリニックを建てられますか。
建てられます。事業用定期借地権を使えば、土地をお借りしてご自身の建物を建てることができます。契約は公正証書で結び、期間は10年以上50年未満です。期間が終われば更地にしてお返しします。ご自宅を併設すると使えなくなるおそれがありますので、その点はご相談ください。
三鷹市の会社ですが、埼玉県東松山市をはじめ、他県のご相談も承っています。土地の段階からご一緒することが多く、間取りや内装のご検討までお付き合いした案件もあります。
その他のテーマは不動産コラムにまとめています。