クリニックを建てたいとお考えの方に向けたページです。医業経営のご相談ではなく、土地と建物、それに手続きの順番についてご説明します。
誰に、何を相談するか
| 相手 | お願いすること |
|---|---|
| 不動産会社(当社) | 土地と建物の確保。用途地域、接道、駐車場の確認、契約 |
| 設計事務所・建設会社 | 建物の設計と施工。診療科ごとの動線と設備 |
| 税理士の先生 | 資金計画と、開業後の会計 |
| 金融機関 | 融資 |
| 社会保険労務士の先生 | スタッフの採用、就業規則、社会保険 |
| 医療機器メーカー・ディーラー | 機器の選定と納入 |
当社以外の相手も、すべて当社からご紹介できます。すでにお付き合いのある先生や取引先がいらっしゃれば、その方と連携させていただきます。
当社は不動産会社です。開業のコンサルティングを行う会社ではありませんので、相談料や顧問料はいただいておりません。
開業コンサルタントとの使い分けはクリニック開業コンサルとの使い分けにまとめています。
先生ご自身で一社ずつ探して、順番を考えて、日程を合わせていくのは大変です。どなたに何をいつまでにお願いするか、その段取りを組むところをお引き受けします。
届け出る先と、その期限
| 届出先 | 何を | いつ |
|---|---|---|
| 都道府県 | 外来医師過多区域で無床の診療所を新規に開設する場合の事前届出(医療法 第30条の18の6第3項) | 開設する日の6か月前まで |
| 都道府県 | 診療所開設許可(医療法 第7条第1項)。医師でない方や医療法人が開設する場合 | 事前。許可を取ってから開設届 |
| 保健所 | 診療所開設届(医療法 第8条) | 開設した日から10日以内 |
| 保健所 | 診療用エックス線装置備付届(医療法 第15条第3項) | 備えた日から10日以内 |
| 地方厚生局 | 保険医療機関の指定 | 原則として毎月1日付 |
届出先は法令上いずれも都道府県知事です。保健所を設置する市や特別区では市長・区長にあたり、実際の窓口は保健所になります。出典:厚生労働省/関東信越厚生局/目黒区「診療所、歯科診療所を開設される方へ」。
令和8年4月から、6か月前の届出が加わりました
外来医師過多区域に指定された区域で無床の診療所を新規に開設する場合、開設する日の6か月前までに都道府県知事へ届け出ることになりました。都道府県知事の要請や勧告に従わなかった場合、保険医療機関の指定に3年以内の期限が付きます。
候補として公表されている区域は、東京都では区中央部・区西部・区西南部・区南部・区西北部の5区域です(厚生労働省、令和8年3月27日時点)。ご開業を考えている場所が該当するかどうかは、都道府県にご確認ください。
逆算の起点は、建物の完成日ではありません
保険医療機関の指定は、申請者のご希望がない限り毎月1日付で行われます。地方社会保険医療協議会の部会が月1回開かれるためです。申請書の締切日は地方厚生局の事務所ごとに異なります。
つまり建物が完成した日から保険診療を始められるわけではありません。締切に間に合わなければ、開院はまるひと月ずれます。
逆算は、指定の締切から始めることになります。開設届、建物の完成、着工、設計、そして土地。外来医師過多区域であれば、さらにその手前に6か月前の届出が入ります。土地のご相談を早めにいただきたいのは、こうした事情からです。
土地と建物をどう確保するか
その1
土地を買って建てる
自由度がいちばん高く、土地と建物が資産として残ります。初期の資金もいちばん大きくなります。
その2
土地を借りて建てる
土地代をご用意いただかずに、建物はご自身で建てる形です。事業用定期借地権を使います。
その3
建物ごと借りる
建てるのは貸主で、建て貸しと呼ばれます。ご要望をどこまで反映できるかは取り決め次第です。
その4
ビルの1室を借りる
開業までがいちばん早い形です。建物の構造上できないことが出てくる場合があります。
承継という道もあります。クリニック・調剤薬局の開業用地のページでご説明しています。
| くらべる点 | 買って建てる | 借りて建てる | 建物ごと借りる | 1室を借りる |
|---|---|---|---|---|
| 初期の資金 | 土地代+建築費 | 建築費 | 内装+保証金 | 内装+保証金 |
| 建物の自由度 | 高い | 高い | 取り決め次第 | 制約が大きい |
| 契約の形式 | 売買契約 | 公正証書 | 賃貸借契約 | 賃貸借契約 |
| やめるとき | 売る | 更地にして返す | 明け渡し | 明け渡し |
| 手元に残るもの | 土地と建物 | 建物 | なし | なし |
金額の相場を載せていないのは、立地と条件で開きが大きく、公的な統計がないためです。候補地が決まりましたら、条件をうかがってお見積りいたします。
土地を買わずに建てる
土地代をご用意いただかなくても、ご自身の建物を建てることはできます。事業用定期借地権という形です。診療所は事業用の建物にあたりますので、この権利が使えます。建物は先生の所有になりますから、設計の自由度は土地を買う場合と変わりません。
| 存続期間 | 30年以上50年未満(借地借家法 第23条第1項)/10年以上30年未満(同条第2項) |
|---|---|
| 使いみち | 専ら事業用の建物に限られます。居住用は対象外です |
| 契約の形式 | 公正証書で結ぶ必要があります(同条第3項)。通常の契約書では成立しません |
| 30年以上で結ぶとき | 契約を更新しない、建物を建て替えても期間を延長しない、建物を買い取らせない。この3つの特約を定めておく必要があります。10年以上30年未満で結ぶ場合は、法律上そうなります |
| 期間が終わったら | 建物を取り壊して、更地にしてお返しするのが一般的です。建物の買取りを請求できないためです |
出典:借地借家法 第23条。手続きと費用は公証役場にご確認ください。公正証書の作成そのものは当社では行いません。
気をつけていただきたい点が2つあります。ひとつは期間です。何歳まで診療を続けるお考えか、承継させるお考えがあるか。期間が終われば更地にしてお返しすることになりますので、そこと合わせて年数を選びます。
もうひとつはご自宅の併設です。同じ建物に住まいを設けると「居住の用に供するもの」にあたり、この権利が使えなくなるおそれがあります。住居を兼ねるお考えがある場合は、早い段階でお知らせください。
先に確かめておくこと
土地を選ぶ前に決めておいていただきたいのは、20床以上の病院として計画するかどうかです。19床以下なら診療所で、住居系でもっとも規制の厳しい第一種低層住居専用地域にも建てられます。20床以上になると病院となり、建てられる用途地域が変わります。根拠となる条文と、薬局の扱いの違いは診療所・病院と用途地域にまとめています。
調剤薬局を近くに置くお考えがある場合は、もう一点あります。保険薬局は、保険医療機関と一体的な構造にできません(保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則 第2条の3)。医療機関の建物と専用通路などで接続する形も、医療機関の建物のなかに置く形も、認められません。同じ敷地に置く場合は、薬局の存在や出入口が公道などから容易に確認できることが求められ、該当するかどうかは個別に判断されます。詳しくは調剤薬局の一体的構造の規制をご覧ください。
敷地の間口や駐車場の取り方に関わってきますので、土地を決める段階からご相談ください。当社では埼玉県東松山市で、小児科の開業に合わせて、同じ敷地で開業いただける調剤薬局をお探ししたことがあります。
商圏の確かめ方は診療圏調査のデータは、いつ調べたものかに、用途地域の詳しい話は診療所・病院と用途地域にまとめています。開業用地全体のご案内はクリニック・調剤薬局の開業用地をご覧ください。
よくあるご質問
開院したい月が決まっています。いつご相談すればよいですか。
早いほどご希望に沿えます。保険医療機関の指定は原則として毎月1日付で、締切に間に合わなければひと月ずれます。そこから開設届、建物の完成、着工、設計、土地の確保と逆算していくと、土地のご相談は開院のかなり前になります。外来医師過多区域であれば、さらに6か月前の届出が加わります。
外来医師過多区域とは何ですか。
外来の医師が多いとして都道府県知事が指定する区域です。令和8年4月から、この区域で無床の診療所を新規に開設する場合は、開設する日の6か月前までに都道府県知事へ届け出ることになりました。要請や勧告に従わなかった場合、保険医療機関の指定に3年以内の期限が付きます。ご開業を考えている場所が該当するかどうかは、都道府県にご確認ください。
コンサルティング料はかかりますか。
いただいておりません。当社は不動産会社で、開業のコンサルティングを行う会社ではありません。相談料や顧問料をいただかない方針です。コンサルタントとの使い分けはクリニック開業コンサルとの使い分けにまとめています。
設計事務所や税理士の先生も紹介してもらえますか。
ご紹介できます。上の表に挙げた相手はすべて承ります。すでにお付き合いのある方がいらっしゃれば、その方と連携させていただきます。
土地を買わずにクリニックを建てられますか。
建てられます。事業用定期借地権を使えば、土地をお借りしてご自身の建物を建てることができます。契約は公正証書で結び、期間は10年以上50年未満です。期間が終われば更地にしてお返しします。ご自宅を併設すると使えなくなるおそれがありますので、その点はご相談ください。
三鷹市の会社ですが、埼玉県東松山市をはじめ、他県のご相談も承っております。土地の段階からご一緒することが多く、間取りや内装のご検討までお付き合いした案件もございます。
その他のテーマは不動産コラムにまとめています。