
物件の資料に「私道負担あり」「私道持分あり」と書かれていることがあります。公道との違いが分からず、不安になる方が多いです。このページでは、私道負担の意味と、買う前に確認したいことをまとめます。
このページのポイント
- 私道は個人などが持つ道で、持ち方は「全体を共有」と「分けた部分を各自が持つ」の2つが主です。
- 通行と掘削(水道管などの工事)の承諾書があるかが、いちばん大事な確認です。
- 私道負担は契約前の説明書に書かれます(宅建業法35条)。
1. 私道負担とは
道路には、市や国が持つ「公道」と、個人や会社が持つ「私道」があります。私道に面した家を買うと、道の一部を持つことになる場合があります。これが「私道負担」です。
私道負担には、次のような意味が含まれます。
- 買う土地の面積の一部が私道になっている。
- 私道の持分(権利の割合)が家とセットでついてくる。
- 私道部分が建築基準法上の道路なら、建物を建てられず、敷地面積にも入れられない。
私道は道路でも、持ち主は個人です。そのため、通行や工事、維持費について、持ち主どうしの合意が必要になります。
2. 私道の持ち方:共有と持ち合い

私道の持ち方は、大きく2つに分かれます。
- 共有:私道全体を、面している家の持ち主たちが持分で持ちます。たとえば6軒なら6分の1ずつです。自分の家の前だけでなく、道全体の持分を持ちます。
- 持ち合い(分かれた私道を各自が持つ):私道をいくつかの土地に分け(分筆)、それぞれを別の人が持ちます。自分の家の前の部分を持つとは限りません。よその家の前の部分を持っていることもあります。
どちらの持ち方でも、他の人の部分を通ることになります。共有なら、持分に応じて道全体を使えます(民法249条)。持ち合いの場合は、他人の土地を通る形なので、承諾が特に大切です。
まれに、私道の持分がまったくついていない家もあります。この場合は、通行する権利の根拠を、契約前に必ず確認してください。
3. 通行・掘削の承諾書
私道で問題になるのは、おもに2つです。
- 通行:車や人が通ってよいか。
- 掘削:水道管・下水管・ガス管の工事で、道を掘ってよいか。
このため、私道の持ち主から「通行・掘削承諾書」をもらっておくのが一般的です。買う側は、次の点を確認してください。
- 承諾書があるか。誰がいつ出したものか。
- 「次の持ち主にも引き継ぐ」と書いてあるか。
- 承諾の相手が、今の私道の持ち主と同じか。
「引き継ぐ」と書いてあっても、新しい私道の持ち主を当然に縛るとは限りません。持ち主が変わっていれば、改めて承諾をもらうか相談します。
承諾書がない場合は、売主を通じて持ち主にお願いします。
なお、民法213条の2に決まりがあります。電気・ガス・水道を引くために、他人の土地に設備を置ける権利です。ただし、事前の通知や損害のつぐないが必要です。
承諾書があるほうが、工事がスムーズです。
4. 維持費と、確認する書類
私道の舗装や側溝の修理は、持ち主たちの負担です。公道のように市が直してくれるわけではありません。
費用の分け方は、持ち方や話し合いで決まります。共有なら持分に応じて分けるのが基本です。水道管の本管が古い場合は、工事費が大きくなることがあります。
買う前に見ておきたい書類は、次のとおりです。
- 登記事項証明書(登記簿):私道の地番(登記上の土地の番号)ごとの持ち主と持分が分かります。「公衆用道路」と書かれていても、持ち主は個人です。
- 公図(法務局にある土地の位置図)・地積測量図(土地の形と面積の図面):私道の形と、自分の土地との位置関係が分かります。
- 通行・掘削承諾書:原本か写しを見せてもらいます。
- 契約前の説明書(重要事項説明書):私道に関する負担は、不動産会社が契約前に説明する義務があります。宅建業法35条1項3号の決まりです。
- 道路の種類の確認結果:私道が建築基準法上の道路かどうかで、建て替えができるかが決まります。くわしくは接道義務のコラムをご覧ください。
出典:民法(e-Gov法令検索)第210条・第213条の2・第249条/宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)第35条/三鷹市「私道非課税扱いの申告について」
よくあるご質問
私道の持分がある家は、固定資産税が高くなりますか。
私道部分は、要件を満たして申告すれば非課税になる場合があります。要件と申告の方法はセットバックのコラムをご覧ください。
私道の持ち主が分からないときはどうしますか。
登記簿で確認します。相続が済んでおらず、亡くなった方の名前のままのこともあります。その場合、承諾をもらう相手を探すのに時間がかかります。買う前に不動産会社に調べてもらってください。
私道に面した家は売りにくいですか。
承諾書がそろい、建築基準法上の道路になっていれば、大きな支障はありません。逆に、承諾書がない、持分がない、再建築ができない場合は、買い手が限られます。
承諾書は売主にもらってもらえますか。
契約の条件にして、売主に全面的に協力してもらってそろえるのが一般的です。引き渡しまでにもらえなかったときの扱いも、契約書に書いておきます。
私道の扱いは、持ち方と過去の合意で1本ごとに違います。法律も改正されるので、契約の前に最新の情報を確認してください。
通行や工事をめぐる具体的なトラブルの対応は、弁護士の先生にご確認ください。
その他のテーマは不動産コラムにまとめています。