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空き家の雨漏り・シロアリ|傷みのサインと直し方

公開日

空き家の和室で、男性が天井のしみを見上げ、懐中電灯で照らしている場面。

久しぶりに実家に行ったら、天井にうすいしみがあった。押し入れからかび臭いにおいがする。空き家では、こうした傷みのサインに気づくのが遅れがちです。雨漏りもシロアリも、早く見つければ小さな工事で済むことが、放っておくと大きな工事になります。

このページでは、見つけ方、直し方と見積もりの見方、この先の予定に合わせた直し方を説明します。

このページのポイント

  • 雨漏りは「天井・壁のしみ」「かびのにおい」「壁紙の浮き」、シロアリは「羽アリ」「土の筋(蟻道)」「床のふかふか」がサインです。
  • 傷みが小さいうちに直すほど安く済みます。通うたびに同じ場所を見ます。
  • 売る予定でも、雨漏りやシロアリの跡は買う人に伝えます。直すか、伝えて値段に反映するかを決めます。

1. 空き家で傷みが進みやすい理由

人が住んでいれば、天井のしみや床のきしみにすぐ気づきます。空き家では、次に行くまでの何週間・何か月の間、傷みが進み続けます。

雨漏りとシロアリは、つながって進みます
  1. 1締め切った家湿気がこもる
  2. 2木が湿るシロアリが好む環境になる
  3. 3雨漏りで濡れた木シロアリが入る、という組み合わせもよくある

屋根や外壁の傷みは、行政の指導のきっかけにも

傷みが進むと、市区町村から「管理不全空家等」として指導を受けるきっかけにもなります(管理不全空家とは)。

2. 通うたびに見る点検表

次の表を持って、毎回同じ場所を見てください。スマホで同じ角度から写真を撮っておくと、前と比べられます。

見る場所雨漏りのサインシロアリのサイン
2階の天井・押し入れの天井しみ、輪の形の跡、色の変化—
窓のまわり・壁壁紙の浮き・はがれ、かび—
床濡れた跡歩くとふかふかする、沈む
柱・敷居・床下の入口—叩くと空洞の音がする、木がぼろぼろ
基礎(家の土台のコンクリート)の外側—土でできた細い筋(蟻道:シロアリの通り道)
浴室・台所のまわり—水回りの近くの木部の傷み
窓の桟・床—羽アリや、落ちた羽がたくさんある
屋根・雨どい(外から見える範囲)瓦のずれ、雨どいの外れ・詰まり—
部屋のにおいかび臭い—

羽アリは春から初夏

羽アリは、春から初夏に出やすいとされています。その時期に窓の近くに羽がたくさん落ちていたら、家の中から出てきたかもしれません。

屋根に自分で上らない

屋根に自分で上るのは危ないのでやめてください。

3. 直し方と、値段を左右すること

傷み直し方値段を左右すること
雨漏りの調査散水して原因を調べる調べ方(目で見るか、水をかけるか)、調べる範囲
屋根の一部の傷み瓦の差し替え、板金の補修、すき間をふさぐ傷んだ所の広さ、足場が要るか
雨どいの外れ・詰まり取り付け直し、掃除長さ、高さ(足場が要るか)
屋根全体の傷み塗装/重ねて張る(カバー工事)/葺き替え屋根の広さ、屋根材の種類、どの直し方を選ぶか
濡れた天井・壁の内側張り替え部屋の数、下地まで傷んでいるか
シロアリの駆除と予防床下に薬をまく床の広さ、床下に入れるか、保証の年数
シロアリで傷んだ木土台・柱の取り替え、補強傷んだ木の量と場所
早く見つけるほど、工事は小さく済みます

早く見つけた段階

一部の補修・掃除・駆除

瓦の差し替え、雨どいの掃除、床下に薬をまく など

放っておいた段階

屋根全体・土台や柱の取り替え

張り替え、葺き替え、補強など、工事の大きさがまるで違う

値段は傷みの広さで大きく変わります。必ず2〜3社から見積もりを取り、直す範囲・足場の有無・保証の年数をそろえて比べてください。

見積書で、この5つをそろえて比べる

見る所確かめること
原因の見立てどこから水が入ったか、シロアリがどこから入ったかが書いてあるか。各社で同じか
直す範囲「屋根一式」のようなまとめ書きでなく、場所と広さ(㎡やm)が書いてあるか
足場足場の代金が入っているか。屋根と雨どいなど、足場が要る工事を1回にまとめられるか
保証何年か。雨漏りが止まらなかったとき、もう一度直してくれるか。シロアリの保証は、家を売った後に買う人へ引き継げるか
追加の費用はがしてみて下地まで傷んでいたとき、どう扱うか。先に知らせてくれるか

シロアリの予防の薬は、効き目がおおむね5年ほどとされ、続けるなら定期的にまき直します。

台風や大雪で壊れたら、火災保険を確かめる

台風や大雪で屋根が壊れて雨漏りした場合は、火災保険の「風災」などで出ることがあります。古くなって傷んだもの(経年劣化)は、通常は対象外です。

契約の中身を確かめてください(空き家の火災保険)。

4. 傷みを見つけたら、最初の1週間にすること

しみや蟻道を見つけたとき、すぐに大きな工事を決める必要はありません。まずは「広げない」「記録する」「比べる」の順に動きます。

いつすること目的
見つけた日しみ・蟻道・床のふかふかの場所を、近くと引きの2枚で撮る。しみの端に鉛筆で日付の印をつける次に来たとき、広がったかが分かる
見つけた日雨漏りなら、下にバケツやシートを置く。濡れた畳や布団は外に出す床や下の階に広げない
見つけた日蟻道は壊さず、そのままにする業者が種類と入り口を見分ける手がかりになる
2〜3日のうち2〜3社に、調査と見積もりを頼む。写真を先に送ると話が早い比べられる見積もりをそろえる
1週間のうち火災保険の契約を見る。台風や大雪のすぐ後なら、保険会社にも連絡する保険が使えるかを確かめる
1週間のうち「売る・貸す・残す」のどれにするかを家族と話す直す範囲を決める(下のDさんの例)

見積もりは「原因の見立て」がそろっているかを見る

合計の金額だけでなく、「原因をどう見立てたか」が各社でそろっているかを見てください。見立てが違えば、どちらかが原因を見落としているかもしれません。その場合は、もう1社に見てもらうのが安全です。

5. ケーススタディ:天井にしみを見つけたDさん

空き家の床下の点検口から顔を出した作業着の職人が、持ち主の男性にタブレットの写真を見せて説明している場面。

説明のための仮の例です。

Dさんは、相続した築45年の実家(木造2階建て)に3か月ぶりに行き、2階の和室の天井に、手のひらほどのしみを見つけました。

調べてもらうと、原因は屋根の板金のすき間と、詰まった雨どいでした。床下を見ると、浴室の近くにシロアリの蟻道もありました。業者からは3つの案が出ました。

案中身工事の大きさ
① 最低限板金のすき間の補修、雨どいの掃除、シロアリの駆除・予防小さい
② ①+内側①に加えて、天井の張り替え、浴室まわりの土台の補強中くらい
③ 屋根まるごと②に加えて、屋根のカバー工事大きい(足場が要る)

Dさんは、この先の予定で決めることにしました。

予定合う案理由
1年以内に売る①これ以上傷みを広げないことが目的。直した記録と、傷んでいた事実は買う人に伝える
貸す②(屋根の状態しだいで③)貸した後の修理は貸す側の負担。暮らせる状態にする
当分残す① + 管理の回数を増やす傷みを広げず、決めるまでの時間を作る

Dさんは1年以内に売るつもりだったので、①を選びました。工事の写真と見積書、駆除の保証書を残し、売るときに渡せるようにしました。

売るときは、傷みを伝える

売るときに雨漏りやシロアリの跡を伝えないと、後で「契約の内容と違う」として、修理代や値引きを求められることがあります(契約不適合責任)。

不動産会社が用意する「物件状況等報告書(告知書)」に、知っていることを書いてください。どこまで責任を負うかは売買契約で決めます。書き方は不動産会社や、必要なら弁護士の先生に確認してください。

6. 突然の「無料点検」に注意

「近くで工事をするのであいさつに来た」「屋根の瓦がずれているので点検してあげる」と訪ねてきて、点検を名目に契約を急がせる業者がいます。

国民生活センターも、「このままだと瓦が飛んで近所に迷惑がかかる」と不安をあおる、「保険金が使える」と持ちかける、といった手口に注意を呼びかけています。空き家は持ち主がその場にいないことが多く、近所の人から「業者が屋根に上っていた」と聞いて驚く、ということもあります。

身を守るために

  • その場では契約しない。
  • 見積もりは、自分で選んだ2〜3社から取る。
  • 訪問販売で契約した場合は、決められた書面を受け取った日から8日以内なら、クーリング・オフ(契約をやめること)ができる。
  • 困ったら消費者ホットライン「188」へ。

相続税や名義変更も、まとめて相談したい方へ

当社は、税理士・司法書士と組んだ相続の相談窓口まとめる相続を運営しています。士業の手配や日程の調整も、窓口一つで進められます。

よくあるご質問

Q. 雨漏りは自分で直せますか?

雨どいの詰まりを地上から取る程度なら、できることもあります。屋根に上るのは危ないので、業者に頼んでください。原因が分からないまま表面だけふさぐと、別の所から漏れることもあります。

Q. シロアリは何年ごとに予防すればいいですか?

薬の効き目は5年ほどとされることが多いです。前にいつ予防したか分からなければ、まず床下を見てもらってください。

Q. 直さずに売ることはできますか?

できます。傷みを伝えたうえで、その分を値段に反映する形です。直す費用が大きい家は、古家付きのまま売るか、更地にするかも考える点です(相続した家は「壊して売る」か「そのまま売る」か)。

Q. 売った後に雨漏りが見つかったら、どうなりますか?

契約の内容に合わない所があれば、買った人は、直すことや値引きを求められます(民法第562条・第563条)。買った人は、合わないと知った時から1年以内に、売った人に知らせる必要があります(民法第566条)。個人が売るときは、責任を負う期間を短くしたり、負わないと決めたりすることもあります。ただし、知っていて伝えなかった傷みは、責任を免れません(民法第572条)。だから、知っている傷みは告知書に書いておきます。

Q. 解体する予定でも直す必要がありますか?

近く壊すなら、大がかりな工事は要りません。ただ、壊すまでの間に屋根材が飛ぶなど、周りに迷惑をかけないための応急の手当ては必要です。

雨漏りもシロアリも、早く見つけるほど安く直せます。次に実家に行くときは、点検表を持って、天井・床・基礎のまわりを同じ角度で撮ってください。

傷みを見つけたら、「売る・貸す・残す」の予定に合わせて、直す範囲を決めます。

出典:e-Gov法令検索「民法」第562条・第563条・第566条・第572条・第606条/e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」第9条/国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」(2023年10月11日)/国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)」

その他のテーマは不動産コラムにまとめています。

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