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親が住んでいた家には、火災保険がかかっていたはずです。でも、その保険は「人が住んでいる家」として入ったものです。空き家になると、保険の条件が合わなくなることがあります。このページでは、まず確かめること、入れる保険、断られたときの対処を順に説明します。
このページのポイント
- 空き家になったら、契約している保険会社にすぐ知らせる。知らせないと、いざという時に支払われないおそれがある。
- 契約した人が亡くなっていたら、相続人へ名義を変える手続きが必要。
- 地震保険は「住むための建物」が対象。空き家になると付けられないことがある。
1. まず確かめる3つのこと
親の家の保険証券(または保険会社からの通知)を探して、次の3つを見ます。
| 確かめる所 | なぜ大事か | どうするか |
|---|---|---|
| 契約している人の名前 | 亡くなった方のままだと、保険金の受け取りで手間取る | 保険会社に連絡して、相続人へ名義を変える |
| 建物の使い方の欄(住宅用か) | 空き家は住宅として扱われないことがある | 空き家になったことを伝え、区分を見直してもらう |
| 満期日と、払い方 | 口座が止まると、払えずに保険が切れる | 引き落とし口座を相続人の口座に変える |
一番大事なのは、空き家になったことを伝えること
保険の契約では、内容が変わったら知らせる決まりになっていることが多いです。知らせないまま火事が起きると、保険金が減ったり、支払われなかったりするおそれがあります。どこまで知らせる必要があるかは、契約の書面(約款)に書いてあります。
保険法という法律にも決まりがあります。契約で「変わったら知らせる」と決めている大事な点が変わって危険が高くなったのに、わざと、またはひどい不注意で知らせなかった場合は、保険会社は契約を解除できます(保険法29条)。解除されると、危険が高くなった時から解除までに起きた事故の損害は、原則として支払われません(保険法31条)。ただし、その変化と関係なく起きた事故の損害は、支払いの対象になり得ます。
2. 空き家が入れる保険の考え方
空き家の火災保険は、保険会社によって扱いが分かれます。
家財が残り、定期的に人が泊まる・使う
住宅として続けられることがある
家財が残り、管理はしているが誰も住まない
住宅ではなく「一般物件(店舗や事務所などと同じ区分)」になることが多い
長く放置され、傷みが目立つ
新しく入るのを断られることがある
※扱いの例です。実際の扱いは保険会社によって違います。
一般物件になると、保険料は住宅のときより高くなるのが普通です。
「住宅のままでよいか」を聞くときに伝えること
空き家になってから何か月で住宅でなくなる、という法律の線はありません。保険会社は、今の使い方を聞いて判断します。電話の前に、次のことをメモにしておくと話が早く進みます。
- 家財が残っているか(家具・家電・布団など)
- 誰が、どのくらいの間隔で通っているか(月1回など)
- 泊まることがあるか。あるなら、年に何回くらいか
- 水道・電気・ガスを止めているか
- この先の予定(売る・貸す・住む)と、その時期の見通し
保険金額の決め方(建て直す費用か、今の価値か)
| 決め方 | 中身 | 空き家で考えること |
|---|---|---|
| 再調達価額(新価) | 同じ建物を建て直す・同じ物を買い直すのに要る額 | 建て直して使うつもりがあるなら、この額で考える |
| 時価 | 再調達価額から、使った年数の分の目減りを引いた額 | 古い家では低くなる。時価より低い額で入ると、損害の額どおりに支払われないことがある |
「この家を建て直すことはない」と決めているなら、建物の額より、壊して片付ける費用や、周りへの賠償の備えを中心に考える方法もあります(3.のCさんの例)。どちらの決め方で入れるかは保険会社や特約で違うので、見積もりのときに確かめてください。
地震保険の扱い
空き家には、地震保険を付けられないことがあります
地震保険は、法律で「住むための建物と家財」が対象とされています。誰も住まない家は、地震保険を付けられないことがあります。地震で家が壊れたときの備えがなくなる点は、知っておいてください。
周りへの損害の備え
空き家の屋根や塀が壊れて、通行人や隣の家に損害を与えることがあります。建物の所有者は、管理に落ち度がなくても責任を負うことがあります(民法717条)。どんな事故で、どのくらいの損害になり得るかは空き家が近所に損害を与えたらで説明しています。
賠償責任の保険も確かめます
火災保険とは別に、こうした損害に備える保険(賠償責任の保険)があります。自宅の保険に付いている賠償の特約は、空き家の事故は対象外のことが多いです。対象になるか、契約の書面で確かめてください。
空き家で検討する保険・共済の比べ表
| 種類 | 対象になる家 | 主な補償 | 地震の備え | 注意 |
|---|---|---|---|---|
| 住宅物件の火災保険 | 人が住む家 | 火事・落雷・風災・水漏れなど(契約による) | 地震保険を付けられる | 誰も住まなくなったら、保険会社に知らせる |
| 一般物件の火災保険 | 店舗・事務所など。誰も住まない空き家も、ここに入ることが多い | 火事・風災など(契約による) | 地震保険は付けられない | 住宅物件より保険料が高くなるのが普通 |
| 共済(火災共済など) | 共済ごとに決まる。住む家に限るものもある | 火事・風災など(共済による) | 地震の保障を付けられるものもある | 空き家を引き受けるかは共済ごとに違う。組合員になる必要がある |
| 賠償責任の保険(施設賠償責任保険など) | 持っている建物や土地 | 屋根材や塀で、人や隣の家に損害を与えたときの賠償 | — | 自宅の保険の賠償の特約では、空き家の事故は対象外のことが多い |
※一般的な扱いです。補償の範囲は、保険会社・共済の約款(契約の決まりを書いた書面)で確かめてください。
3. ケーススタディ:築45年の実家を相続したCさん

※説明のための仮の例です。
Cさんの母は、2年前に亡くなりました。実家は築45年の木造で、家財が残ったまま空き家です。Cさんが確かめると、次のことが分かりました。
- 契約者は母のまま。
- 引き落とし口座は母の口座で、すでに止まっていた。
- 建物の使い方は「住宅」になっていた。
Cさんは保険会社に連絡し、次の順で進めました。
- 1伝える母が亡くなったこと、空き家になっていることを伝えた。
- 2名義と口座契約者を自分に変え、引き落とし口座を自分の口座にした。
- 3区分の見直し建物の区分を見直してもらった結果、一般物件の扱いになった。
- 4金額の考え直し保険金額を、建て直す費用ではなく、壊して片付ける費用と賠償を中心に考え直した。
薄くした備え
建て直しの費用
「この家を建て直すことはない」と考え、備える必要は薄いと判断
厚くした備え
周りへの迷惑
火事や台風で周りに迷惑をかけたときの備えを厚くした
| 決めたこと | Cさんの選び方(仮の例) |
|---|---|
| 賠償の限度額 | 1回の事故につき1億円にした。瓦や塀で通行人にけがをさせたときや、隣の家を傷めたときに備えるため |
| 建物の保険金額 | 建て直す費用(再調達価額)ではなく、保険会社が示した時価をもとに決めた。時価より低い額にはしなかった |
| 片付けの費用 | 火事の後に焼け残りを片付ける費用が保険から出るかを、見積もりの段階で確かめた |
4. 断られたときの対処
空き家だと、保険に入れない、または更新を断られることがあります。そのときは、次の順で試してみてください。
- 1断られた理由を聞く「空き家だから」なのか、「傷みがひどいから」なのかで、打つ手が変わります。
- 2家の状態を整える雨漏り、割れた窓、伸びた草木を直します。
- 3別の保険会社や代理店に相談する空き家の扱いは、会社ごとに違います。
- 4持ち続けるかを考え直す保険に入れない家を持ち続けるのは、大きな負担を抱えることになります。
① 断られた理由を聞く
理由が「空き家だから」なら、空き家を引き受ける別の会社で入れることがあります。「傷みがひどいから」なら、どこを直せば入れるかを聞き、直してから相談し直します。
② 家の状態を整える
管理を業者に頼み、定期的に見ていると説明できるようにします。業者の頼み方は空き家の管理を業者に頼むで説明しています。
③ 別の保険会社や代理店に相談する
複数の会社を扱う保険代理店に、条件を伝えて相談する方法もあります。共済(組合が運営する保障)も選択肢になります。
④ 持ち続けるかを考え直す
保険に入れない家を持ち続けるのは、火事や事故のときに大きな負担を抱えることになります。売る・壊すの考え方は、相続した家は「売る・貸す・住む・そのまま」の4択と相続した家の解体費用と補助金で説明しています。
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よくあるご質問
Q. 名義が亡くなった親のままでも、保険は有効ですか?
すぐに無効になるわけではありません。ただ、保険金を受け取るときや更新のときに手続きが必要になります。早めに保険会社へ連絡して、名義を変えてください。
Q. 家財が残っていれば、住宅のままでいいですか?
家財の有無だけでは決まりません。人が住んでいるか、どのくらい使っているかで判断されます。今の使い方を正直に伝えて、保険会社に判断してもらってください。
Q. 空き家の保険料は、どのくらい上がりますか?
建物の構造、広さ、場所、保険会社で大きく違います。見積もりを取って比べてください。
Q. 売るまでの短い期間でも、保険は必要ですか?
必要です。売るまでの間に火事が起きれば、家の価値がなくなり、周りへの賠償も起こり得ます。売る期間の見通しを保険会社に伝え、期間に合った入り方を相談してください。
空き家の火災保険は、「空き家になったと知らせる」ことから始まります。保険証券を探して、名義・使い方・口座の3つを確かめてください。その家をこの先どうするかで、ふさわしい保険の中身も変わります。
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出典:総務省消防庁 防災危機管理eカレッジ「火災保険加入の際の注意点(2)」、財務省「地震保険制度の概要」、e-Gov法令検索「民法」第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)、e-Gov法令検索「保険法」第29条・第31条(危険が増えたときの通知・解除)
その他のテーマは不動産コラムにまとめています。