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入居者から「来月末で出ます」と知らせが届きました。ここで「退去してから考えよう」と待つと、空室の期間が長くなります。退去の知らせから、実際に出ていくまでには、ふつう1か月あります。この1か月で、次の入居者を探し始め、工事の手配まで済ませておくのが、空室を短くするいちばん確かな方法です。
このページでは、予告を受けた日から何をするかを、段取り表にしてまとめます。退去の日の立ち会いのやり方は退去立ち会いの流れ、募集の方法は入居者募集の流れと広告料で説明しています。
このページのポイント
- 予告を受けた日に、退去日を書面で確かめ、居住中に募集を始めてよいかを入居者に聞きます。
- 退去の前に部屋を見せてもらい、工事の中身を決め、業者の日程を先に押さえます。
- 「退去してから」と「予告の日から」では、空室が1か月半ほど変わることがあります。計算すると、家賃の差がはっきりします。
このページの内容
1. まず契約書で「何日前の予告か」を確かめる
国の「賃貸住宅標準契約書」では、入居者の解約について次のように決めています。
少なくとも30日前
入居者は少なくとも30日前に申し入れれば、契約を終えられる
30日分の家賃を払えば
申し入れの日から30日分の家賃を払えば、すぐにでも終えられる
まず契約書を確かめてください
これに近い決まりの契約もよくあります。ただ、契約によっては「1か月前」「2か月前」など違うこともあります。
退去の知らせは、口頭ではなく書面で受け取ります。次の3つが書いてあるかを確かめます。
| 確かめること | 理由 |
|---|---|
| 知らせを出した日 | いつまでの家賃をもらうかが決まる |
| 退去する日(鍵を返す日) | 工事と次の入居の日程が決まる |
| 新しい住所と連絡先 | 敷金の精算の連絡先になる |
2. 予告を受けた日からの段取り表
退去日まで30日のときの段取りです。
| 時期 | すること | ポイント |
|---|---|---|
| 当日〜2日目 | 退去日を書面で確かめる。居住中に募集してよいか、部屋を見せてもらえるかを聞く | 退去の理由も、話してもらえる範囲で聞く |
| 3日目まで | 募集の条件(家賃・共益費・敷金・礼金・入居できる日)を決め、募集を始める | 前の募集の写真があれば、それで始める |
| 1週間まで | 入居者の都合のよい日に部屋を見せてもらい、傷みと工事の中身の見当をつける | 写真を撮ってよいか聞く |
| 2週間まで | 工事の見積もりをとり、退去日の翌日から工事に入れるよう業者の日程を押さえる | クリーニング・鍵の交換も同じ日程に |
| 退去日 | 立ち会い。見当と違う所があれば工事の中身を直す | くわしくは退去立ち会いの流れ |
| 退去後1〜10日 | 工事・クリーニング・鍵の交換 | 工事中も、申し込みは受け付ける |
| 工事の後 | 新しい写真に差し替え、入居の日を確定 | 申し込みがあれば、入居日を工事の後に合わせる |
※日数は目安です。
退去してから見積もり
工事まで2〜3週間待つことも
見積もりで1週間、業者の空きを待って1〜2週間かかることがある
予告の日から準備
退去日の翌日から工事
見積もりと業者の日程を退去の前に済ませる
3. 居住中の部屋を見せてもらうとき
部屋に入るには、入居者の承諾が要ります
入居者には、まだ住む権利があります。国の標準契約書でも、次の入居を考える人が下見をするときは、あらかじめ入居者の承諾を得るとしています。
承諾をもらいやすくするために、次のことを心がけます。
- 日時は入居者に選んでもらう
- 見る時間を短く伝える(「15分ほどです」など)
- 写真は、私物が写らないように撮る。撮りたくないと言われたら撮らない
- 断られても、無理にお願いしない。その場合は、前の募集の写真と間取り図で募集する
4. 退去の理由を聞くと、次の募集に生かせる
退去の理由は、次の募集のヒントになります。
暮らしの変化
「転勤」「結婚」など。部屋に問題はありません
部屋や建物の理由
「隣の音」「日当たり」「設備の古さ」など。次の入居者も同じことを感じるかもしれません
話してもらえる範囲で聞き、メモに残してください。理由が部屋や建物にあるときの考え方は三鷹市の空室対策|空室が続くときに見直す5つのことで説明しています。
退去の理由がほかの部屋の音だったときの、大家さんの対応は、騒音トラブルへの大家の対応で説明しています。
5. 例:8戸のアパートを相続したAさん
※説明のための仮の例です。
Aさんは、木造アパート(1K・8戸・家賃6.5万円)を相続しました。1月31日に、201号室の入居者から「3月2日に退去します」と書面で届きました。契約は30日前の予告です。Aさんは、2つの進め方を比べました。
① 退去してから動く場合
3月2日
退去・立ち会い
3月3日〜10日
見積もりをとる
3月11日〜24日
業者の空きを待ち、工事
3月25日
写真を撮り、募集を始める
4月下旬
申し込み。繁忙期を過ぎ、決まるまでに時間がかかる
5月1日
入居(家賃が入り始める)
② 予告の日から動く場合
1月31日
退去日を書面で確かめ、居住中の募集と下見の承諾をもらう
2月3日
前の写真で募集を始める
2月8日
部屋を見せてもらい、壁紙の張り替えとクリーニングと見当をつける
2月14日
見積もりをとり、3月3日〜9日の工事の日程を押さえる
2月20日
申し込み。入居日は工事の後の3月16日と決める
3月2日
退去・立ち会い
3月3日〜9日
工事・クリーニング・鍵の交換
3月16日
入居(家賃が入り始める)
※日付は説明のための仮の例です。申し込みが入る時期は、場所や部屋の条件しだいで前後します。①でも早く決まることがあり、②でも予告の間に決まらないことがあります。
空室の期間(家賃が入らない期間)を比べます。退去日の翌日の3月3日から、入居の前日までを数えます。
| 空室の期間 | 日数 | 入らない家賃の目安 | |
|---|---|---|---|
| ① 退去してから | 3月3日〜4月30日 | 59日 | 65,000円×12か月÷365日×59日=約126,082円 |
| ② 予告の日から | 3月3日〜3月15日 | 13日 | 65,000円×12か月÷365日×13日=約27,781円 |
| 差 | 46日 | 約98,301円 |
※1日あたりの家賃は、1年分を365日で割った額(約2,137円)で計算。
※棒の長さは空室の日数(59日を100とした割合)。8戸のアパートで、1年に2室入れ替わるとすれば、年に約20万円になります。
②は、部屋を探す人が多いとされる時期に募集を始められました
②は、一般に部屋を探す人が多いと言われる1〜3月に募集を始められています。①は、工事を待つ間にその時期を過ぎてしまいました。
管理会社に任せている場合も、決まりとしてお願いできます
Aさんは、この比べ方を、管理会社と共有することにしました。「予告を受けたら3日以内に募集を始める」「退去日の翌日に工事に入る」の2つを、決まりとしてお願いできます。

6. 入居日を合わせるときの注意
②のように、退去前に申し込みが入ると、入居日の調整が要ります。
- 入居日は、工事が終わる日に、2〜3日の余裕を足して決める
- 工事が遅れそうなときは、早めに申込者に知らせる
- 申し込みの後の審査や契約の手続きにも日数がかかるので、その日数も段取りに入れる
余裕を持たせる方が、信頼につながります
工事の終わりと入居日の間を詰めすぎると、遅れたときに入居者に迷惑がかかります。余裕を持たせる方が、結果として信頼につながります。
よくあるご質問
Q. 退去の知らせが30日を切って届きました。
契約書の決まりに沿って、いつまでの家賃をもらうかを決めます。標準契約書の形なら、知らせの日から30日分です。契約書に書いていないことは、入居者と話し合ってください。
Q. 居住中の部屋は、見せてもらえないことが多いですか?
入居者の都合によります。無理にはお願いできません。その場合も、募集を始めることと、業者の日程を押さえることは先にできます。
Q. 退去日の前に、次の入居者と契約してもよいですか?
入居日を退去と工事の後にすれば、契約はできます。今の入居者が退去日を延ばしたいと言ったときに困るので、退去日は書面で確かめておきます。
Q. 敷金の精算は、いつ行いますか?
部屋の明け渡しを受けた後です。費用の分け方は原状回復のルール|大家が負担するもの・入居者が負担するもので説明しています。
退去の予告から実際の退去までの1か月は、次の入居者を探すための時間です。予告を受けた日に退去日を書面で確かめ、居住中の募集と下見の承諾をもらいます。退去の前に工事の中身を決め、退去日の翌日から工事に入れるよう業者を押さえてください。それだけで、空室が1か月以上短くなることがあります。
出典:国土交通省「賃貸住宅標準契約書(連帯保証人型)」、国土交通省「賃貸住宅標準契約書」
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