相続した土地を国に引き取ってもらう制度があります。でも、申請しても引き取ってもらえない土地が多くあります。手数料を払ってから「だめでした」では困ります。このページでは、使えない土地の条件と、使えないときの出口を説明します。
このページのポイント
- 「却下」になる土地は申請の入口で止まり、建物・担保・境界不明などが当たります。
- 「不承認」になる土地は審査で止まり、崖・埋設物・隣地との争いなどが当たります。
- 使えないときは、売る・寄付する・管理を続ける、の3つから選びます。
1. 「却下」と「不承認」の2段階
引き取ってもらえない理由は、2つに分かれます。1つ目は「却下」です。決められた要件に当たるため、中身の審査に進まずに退けられることです。2つ目は「不承認」です。
受け付けはされますが、審査で断られます。どちらでも、払った審査手数料は戻りません。1筆(登記上の1つの土地)につき1万4,000円です。
だから、申請前に自分の土地がどちらかに当たらないか確かめることが大切です。
制度そのものの説明は、相続土地国庫帰属制度のコラムをご覧ください。
2. 入口で止まる「却下」の5つ
1. 建物がある土地
家や倉庫が建っていると申請できません。壊して更地にする必要があります。
2. 担保や、他人が使う権利がついている土地
抵当権(借金の担保)や、賃借権(人に貸す権利)がついた土地です。権利を外してからでないと申請できません。
3. 他人の利用が予定されている土地
現に道路として使われている土地、墓地、神社やお寺の境内、水路やため池などです。
4. 土壌が汚染されている土地
基準を超える有害物質で汚れている土地です。
5. 境界がはっきりしない土地・持ち主に争いがある土地
隣の人と境界でもめている土地や、他の人が自分の土地だと言っている土地です。測量図がなくても、土地の範囲が確認でき、隣の人と争いがなければ構いません。
申請では、範囲を示す図面と、境界が分かる写真を出します。
3. 審査で止まる「不承認」の5つ
1. 急な崖がある土地
勾配30度以上、高さ5メートル以上の崖があり、工事が要る土地です。
2. 地上に邪魔なものがある土地
果樹園の木、倒れそうな枯れ木、放置された車、壊れた小屋などです。木や工作物があるだけで、不承認になるとは限りません。通常の管理の邪魔になる場合が対象です。
3. 地下に埋まっているものがある土地
古い建物の基礎、がれき、浄化槽、井戸、大きな石などです。取り除かないと使えない場合に当たります。
4. 隣の人ともめないと使えない土地
袋地(道路に出られない土地)で通行を止められている場合などです。不法に住んでいる人がいる土地も入ります。
5. その他、管理に多くの手間やお金がかかる土地
土砂崩れの危険がある土地、スズメバチや熊の被害がある土地などです。手入れされていない森林も、ここに入ることがあります。
これらは法務省が公開している基準です。迷ったら、法務局の相談窓口(事前予約制)で聞けます。
4. 使えないときの出口は3つ
1. 売る
買い手がつくなら、売るのがいちばんお金が残ります。地元の不動産会社や、隣の土地の持ち主に聞いてみてください。安くても引き取ってくれる会社が見つかることもあります。
境界が不明な土地は、測量をすれば売れる土地になることがあります。
2. 寄付する
市区町村や、隣の人への寄付です。ただし、市区町村は使い道のない土地を受け取らないことが多いです。
3. 直してから、もう一度申請する
建物を壊す、埋まっているものを取り除く、境界を確かめる。原因を取り除けば、申請できる土地になります。かかる費用と、負担金(原則20万円)を足して、売る場合と比べてください。
どれも難しいときは、管理を続けるしかありません。草刈りや見回りを、地元の会社に頼む方法もあります。
出典:法務省「引き取ることができない土地の要件」/法務省「相続土地国庫帰属制度について」/法務省「相続土地国庫帰属制度 よくある質問(Q&A)」
よくあるご質問
古い家があります。壊せば申請できますか。
更地にすれば、建物の理由では止まりません。ただし、基礎や浄化槽が残っていると不承認になることがあります。壊すときに、地中まで片づけてもらってください。
境界がはっきりしません。測量は必要ですか。
制度の上では、測量や境界確認書は求められていません。ただし、土地の範囲を示す図面と、境界が分かる写真は出します。隣の人と認識が合っていることも要ります。不安なら、土地家屋調査士の先生に相談してください。
申請が却下されたら、手数料は戻りますか。
戻りません。却下・不承認・取り下げ、どの場合も同じです。
共有者の一人が反対しています。申請できますか。
できません。共有者全員で申請する決まりです。
相続した家や土地のご相談は、方針が決まる前でも承ります
司法書士・税理士の先生とまとめてご相談いただけます(まとめる相続)。
その他のテーマは不動産コラムにまとめています。