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相続放棄をすると土地はどうなるか|管理の義務が残る場合

相続放棄をすると土地はどうなるかのイメージの絵

使わない土地や古い家を相続したくない。そんなとき「相続放棄」という方法があります。ただ、放棄すれば土地のことを全部忘れてよい、とは限りません。このページでは、放棄の期限と、放棄したあとに残る責任を説明します。

このページのポイント

  • 相続放棄は、相続を知ってから3か月以内に家庭裁判所に出します。
  • 放棄しても、その土地や家を「現に占有」している人は、管理を続ける義務があります。
  • 相続人が誰もいなくなったら、家庭裁判所に相続財産清算人を選んでもらう方法があります。

1. 相続放棄とは何か、期限はいつか

相続放棄とは、最初から相続人でなかったことにする手続きです(民法939条)。土地だけ放棄して、預金は受け取る、という選び方はできません。

全部を受け取るか、全部を放棄するか、どちらかです。

期限は、自分が相続人になったと知ってから3か月以内です(民法915条)。亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所に、申述書を出します。放棄を申し出る書類です。

費用は、申述する人1人につき収入印紙800円と、連絡用の郵便切手です。戸籍などの書類も要ります。3か月で判断できないときは、家庭裁判所に期間を延ばしてもらう申立てができます。

2. 放棄しても「管理の義務」が残る場合

放棄しても「管理の義務」が残る場合を表した図

ここが、いちばん誤解されやすいところです。2023年(令和5年)4月から、民法940条が変わりました。放棄した人でも、その土地や家を「現に占有」していれば管理を続けます。

「現に占有」とは、たとえば次のような状態です。

  • 亡くなった親と同居していて、その家にまだ住んでいる
  • 物を置いて出入りするなど、その家を実際に使っている

鍵を持っているだけで、この義務が生じるとは限りません。

この場合、次の相続人か相続財産清算人に引き渡すまで保存します。自分の物と同じ注意で、という決まりです。壊れそうな塀を放っておいて人にけがをさせれば、責任を問われることがあります。

逆に、遠くに住んでいて、一度も関わっていない土地なら、この義務は原則ありません。改正前は「次の相続人が管理を始めるまで」とされていました。誰がどこまで、があいまいでした。

改正で「現に占有している人」に絞られました。

3. 相続人が誰もいなくなったら

全員が放棄すると、相続する人がいなくなります。このとき、残った財産は「相続財産法人」という扱いになります。財産を整理するのが「相続財産清算人」です。家庭裁判所が選ぶ人です。

申立てができるのは、利害関係人(債権者=お金を貸していた人など)か検察官です。放棄した人で管理の義務を負っている人が申し立てる例もあります。

申し立てられるかは、弁護士・司法書士の先生に確かめてください。

費用は、収入印紙800円と郵便切手、官報公告料5,582円です。官報公告料は、国の広報紙に載せる費用です。これに加えて「予納金」を求められることがあります。

清算人の報酬や管理費が足りない場合に、申立人が前もって納めるお金です。金額は財産の内容によって裁判所が決めます。数十万円以上になることもあります。

清算人に土地を引き渡した時点で、放棄した人の管理の義務は終わります。

4. 空き家の相続放棄で起きる問題

古い家の放棄では、次の問題が起きやすいです。

1. 放棄しても、ご近所からの連絡は来る

市役所や近所の人は、相続人だった人に連絡します。放棄した事実は、言わなければ伝わりません。放棄したことを示す「相続放棄申述受理通知書」を手元に置いておきます。

2. 管理不全空家に指定される

放置された家は、市区町村から指導や勧告を受けることがあります。くわしくは管理不全空家のコラムをご覧ください。

3. 「売ったほうが早かった」となる

放棄には3か月の期限があり、戻せません。売れる家なら、売って現金に換えるほうが結果的に楽なことがあります。放棄を決める前に、不動産会社に売れるかどうか聞いてみてください。

出典:民法(e-Gov法令検索)第915条・第938条・第939条・第940条・第952条/裁判所「相続の放棄の申述」/裁判所「相続財産清算人の選任」/広島法務局「民法等の一部改正(令和5年4月1日施行)」

よくあるご質問

土地だけ放棄して、預金は受け取れますか。

できません。相続放棄は全部をまとめて放棄する手続きです。

放棄したあとに固定資産税の通知が来ました。払う必要がありますか。

放棄が受理されていれば、原則として納める義務はありません。受理通知書の写しを添えて、市区町村の税務の窓口に伝えてください。税金の細かい判断は税理士の先生の領域です。

放棄したあと、家の中の物を処分してよいですか。

勝手に売ったり捨てたりすると、相続を認めたとみなされる恐れがあります。手を付ける前に、弁護士か司法書士の先生に確かめてください。

3か月を過ぎてしまいました。もう放棄できませんか。

原則はできません。ただし、事情によっては認められる場合があります。早めに弁護士の先生に相談してください。

相続した家や土地のご相談は、方針が決まる前でも承ります

司法書士・税理士の先生とまとめてご相談いただけます(まとめる相続)。

その他のテーマは不動産コラムにまとめています。

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