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相続した空き家を売るとき、条件を満たせば、利益から最大3,000万円を差し引ける特例があります。使えるかどうかの条件は、空き家の3,000万円控除と空き家の3,000万円特別控除が使えない5つの場合で説明しました。
このページは、その次の段階、「使えると分かった後に何をするか」に絞ります。市区町村でもらう「確認書」のもらい方、集める書類、確定申告までの日程の組み方を説明します。
このページのポイント
- 手続きは2段階です。①物件のある市区町村に「被相続人居住用家屋等確認書」をもらい、②それを付けて売った翌年に確定申告をします。
- 様式は売り方で3つ。家を残して売る(1-1)、壊してから売る(1-2)、売った後に翌年2月15日までに直すか壊す(1-3)です。
- 1-3は、壊し終わってからでないと確認書の申請ができず、日程が詰まります。売買契約の段階で、買う人と書類の受け渡しまで決めておきます。
1. 手続きの全体
- 1確認書をもらう物件のある市区町村に申請し「被相続人居住用家屋等確認書」を受け取る
- 2確定申告で出す売った翌年、自分の住所の税務署に、確認書を付けて申告する
| 段階 | どこへ | 何を出す | もらう物 |
|---|---|---|---|
| ① 確認書の申請 | 物件(壊した場合は、建っていた場所)のある市区町村 | 申請書+確かめるための書類 | 被相続人居住用家屋等確認書 |
| ② 確定申告 | 自分の住所の税務署 | 申告書+確認書+税務署向けの書類 | — |
確認書は、亡くなった方が一人で住んでいて、相続の後は空き家だったことなどを、市区町村が書類で確かめたという書面です。
確認書があれば必ず使える、ではありません
税の条件は、最後は税務署が判断します。
2. 3つの様式の選び方
1-1 家を残して売る
耐震の基準を満たした状態で売る。
確認書の申請:売った後
1-2 壊してから売る
家を壊してから、土地を売る。
確認書の申請:売った後
1-3 売った後に直す・壊す
売った翌年2月15日までに、耐震の工事をするか壊す(令和6年1月1日以降の売却)。
確認書の申請:工事や解体が終わった後
1-3は、令和6年から使えるようになった形です。「古家付きのまま売り、壊すのは買う人」という売り方でも、特例が使えるようになりました。
1-3は買う人の協力が欠かせません
工事や解体は買う人がすることが多いためです。
3. 市区町村に出す書類と、取る場所
国土交通省の案内をもとに、主な書類をまとめました。市区町村によって細かい所が違います。
どの様式でも要る書類
| 書類 | 取る場所 | 確かめること・注意 |
|---|---|---|
| 申請書(様式1-1・1-2・1-3) | 国土交通省や市区町村のホームページ | 相続人が複数なら、一人ずつ出す |
| 亡くなった方の住民票の除票の写し | 亡くなった方が住んでいた市区町村 | 相続の直前まで住んでいたこと。原則コピー不可 |
| 相続人の住民票の写し | 各相続人の住む市区町村 | 相続から売る時(1-2・1-3は壊した時)までその家に住んでいないこと。その時より後に取ったもの |
| 家と土地の登記事項証明書 | 法務局 | 相続人の数を確かめる。相続登記がまだなら遺産分割協議書など |
| 売買契約書の写し | 手元 | 売った日。1-3は「買う人が壊す」などの特約の部分も |
| 空き家だったことが分かる書類(どれか1つ) | 下の表 | 相続から売るまで、貸したり住んだりしていないこと |
※相続人の住民票:住所を何度か移した人は、戸籍の附票も要ります。
家を壊した・直した場合に加える書類(1-2・1-3)
| 様式 | 書類 | 取る場所 | 確かめること |
|---|---|---|---|
| 1-2・1-3(壊した場合) | 家の閉鎖事項証明書 | 法務局(解体の後、滅失登記をすると取れる) | 壊した日 |
| 1-2 | 更地の写真 | 自分で撮る・解体業者や不動産会社 | 撮った日が分かるもの |
| 1-3(工事の場合) | 耐震基準適合証明書など | 工事をした業者など | 基準を満たした日。工事が終わった日が分かる書類(請負契約書・領収書など)も |
空き家だったことが分かる書類(どれか1つ)
| 書類 | 中身 |
|---|---|
| 電気・水道・ガスを止めた日が分かる書類 | 止めた日(契約をやめた日)が、亡くなった日より後と分かるもの。支払いの証明書、最後の請求書、通帳の引き落としの記録など |
| 不動産会社の広告 | 「現況空き家」と書いてあるもの(1-2は「取壊し予定あり」も) |
| その他 | 市区町村が認めた人が管理していた証明、空き家バンクに登録していた証明など |
書類をそろえやすくするコツ
- 管理のために電気や水道を止めずにいた場合は、「現況空き家」と書いた広告を残しておくと書類がそろいやすくなります。
- 売り出しの広告は、ホームページから消える前に印刷しておきます。
- 亡くなった方が老人ホームなどに入っていた場合は、介護保険の被保険者証の写し、施設との契約書、外泊の記録などが追加で要ります。早めに施設に頼んでおきます。
交付までの日数は市区町村で違います
「1週間程度」「2週間程度」などです。確定申告の時期が近づく1月以降は申請が増え、2週間以上かかることもあります。余裕をもって申請してください。
郵送で受け取れる市区町村も多いです(返信用の封筒を付ける)。出した書類は返ってこないので、写しを取っておきます。
4. 税務署に出す書類
| 書類 | 1-1(家を残して売る) | 1-2(壊してから売る) | 1-3(売った後に直す・壊す) |
|---|---|---|---|
| 譲渡所得の内訳書(1〜5面) | ○ | ○ | ○ |
| 登記事項証明書など(相続で取得、昭和56年5月31日以前の建築などが分かるもの) | ○ | ○ | ○ |
| 被相続人居住用家屋等確認書 | ○ | ○ | ○ |
| 売買契約書の写しなど(売値1億円以下が分かるもの) | ○ | ○ | ○ |
| 耐震基準適合証明書などの写し | ○(売る日の前2年以内に調べたもの) | — | 工事なら○ |
| 壊したことが分かる登記事項証明書など | — | — | 壊したなら○ |
申告書の書き方
登記事項証明書は、「不動産番号等の明細書」に不動産番号を書けば省けることがあります。
確定申告書には、特例を使うことを書く欄があります(「措法35条3項」)。書き方は、国税庁の「譲渡所得の申告のしかた」の手引きに例があります。
5. ケーススタディ:買う人が家を壊すEさん(様式1-3)
説明のための仮の例です。日付と金額も例です。
Eさんは、兄と二人で母の家(昭和50年築、東京都の市部)を相続しました。持ち分は半分ずつです。古家付きのまま、建売りの会社に売ることになりました。会社は、引き渡しを受けた後に家を壊します。
Eさんと兄は、様式1-3で特例を使うと決め、日程を逆算しました。
令和8年10月
書類を集める
11月20日
売買契約(特約を入れる)
12月15日
引き渡し
令和9年1月
買う会社が解体
2月
滅失登記・確認書の申請
3月15日まで
確定申告
| 日 | すること | 誰が |
|---|---|---|
| 令和8年10月 | 母の住民票の除票、登記事項証明書、電気・水道を止めた日の書類を集める | Eさんと兄 |
| 11月20日 | 売買契約。特約に「買主は令和9年1月31日までに解体し、滅失登記の後、閉鎖事項証明書の写しを売主に渡す」と入れる | 双方 |
| 12月15日 | 引き渡し・代金の受け取り | 双方 |
| 令和9年1月 | 解体(1月25日に終わる) | 買う会社 |
| 2月上旬 | 滅失登記。閉鎖事項証明書を受け取る | 買う会社→Eさんと兄 |
| 2月上旬 | 壊した日より後の日付で、自分の住民票を取る | Eさんと兄 |
| 2月9日 | 市に確認書を申請(二人それぞれ) | Eさんと兄 |
| 2月20日ごろ | 確認書が届く | 市 |
| 3月15日まで | 確定申告(二人それぞれ) | Eさんと兄 |
ポイントは三つ
- 申請に要る「相続人の住民票」は、壊した時より後に取ったものが要る。前もって取っておいても使えない。
- 閉鎖事項証明書は、買う会社が滅失登記をしてはじめて取れる。だから契約の特約で、解体の期限を2月15日より早めに決め、書類を渡す約束も入れた。
- 書類のそろわない月を作らないよう、除票や電気・水道の書類は、売る前の10月に集め終えた。

Eさんは、売値4,000万円のうち自分の持ち分(2,000万円)について、税理士の先生に計算してもらいました。
3,000万円まで
相続人が二人なので、一人あたりの控除
2,000万円まで
相続人が3人以上の場合の一人あたり
取得費などを引いた利益が3,000万円を下回るため、特例を使えば税は0円になる見込みです。それでも、申告はしないと特例が使えません。
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よくあるご質問
Q. 確認書の申請にお金はかかりますか?
市区町村によって違います。申請先の窓口で確かめてください。書類を取るための手数料(住民票・登記事項証明書など)はかかります。
Q. 兄弟の一人だけが申請すればいいですか?
相続人ごとに申請書を出します。申告も、それぞれが自分の分をします。
Q. 買う人が期限までに壊してくれなかったら?
1-3の形では、翌年2月15日までに壊すか工事を終えることが条件なので、特例が使えなくなるおそれがあります。契約の特約で、期限と書類の受け渡しを決めておくことが大切です。特約の書き方は不動産会社や弁護士の先生に確認してください。
Q. 住民票で確かめられない事情があります。
代わりの書類や、窓口での聞き取りで確かめてもらえることがあります。申請先の市区町村に早めに相談してください。
3,000万円の特例は、「確認書をもらう」「確定申告で出す」の2段階です。特に、売った後に家を壊す1-3の形は、解体・滅失登記・確認書・申告が2月〜3月に重なります。
売買契約の前に、様式を決め、書類の表を見ながら日程を逆算してください。税の条件の最終確認は、税理士の先生にお願いします。
売った後の申告の流れ全体は相続した土地を売った後の確定申告、古家付きか更地かの比べ方は相続した家は「壊して売る」か「そのまま売る」かで説明しています。相続した家の売却の全体の流れは、相続した家・実家の売却へ。
出典:国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)」/国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置について(提出書類)」/国税庁 タックスアンサーNo.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」/国税庁「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例を受ける方へ(令和7年分 申告書の書き方)」/国税庁「令和7年分 譲渡所得の申告のしかた」/東京国税局「被相続人の居住用財産を譲渡した場合の3,000万円(2,000万円)特別控除の特例チェックシート(令和7年分用)」/大田区「被相続人居住用家屋等確認書の交付」/柏市「被相続人居住用家屋等確認書の交付」/名古屋市「空き家の発生を抑制するための特例措置(令和6年1月1日以降の譲渡)」
その他のテーマは不動産コラムにまとめています。