
相続の手続きを始めると「評価額」という言葉が何度も出てきます。ところが、評価額には種類があり、数字もそれぞれ違います。「評価額が3,000万円だから、3,000万円で売れる」とは限りません。この記事では、3つの値段の違いをやさしく説明します。
このページのポイント
- 相続税評価額は相続税を計算するための値段で、売れる値段ではありません。
- 土地は「路線価×面積」が基本、自分で使う建物は固定資産税評価額そのままです。
- 売れる値段を知りたいときは、不動産会社の査定で確かめます。
このページの内容
1. 土地や家には3つの値段がある

相続した土地や家には、目的の違う3つの値段があります。
- 売れる値段(時価)。実際に買い手がつく値段です。
- 相続税評価額。相続税を計算するための値段です。
- 固定資産税評価額。固定資産税を計算するための値段です。
3つは使う場面が違います。相続税の申告では2番、毎年の固定資産税では3番を使います。売るときの目安になるのは1番です。
2. 土地の相続税評価額は「路線価×面積」が基本
国税庁の説明(No.4602)では、土地の出し方は2つあります。1つは「路線価方式」です。路線価は、道路ごとに国税庁が決めた1平方メートルあたりの値段です。これに土地の面積をかけて出します。
形が悪い土地や奥行きが長い土地は、補正率で調整します。形などで値段を調整する率のことです。もう1つは「倍率方式」です。路線価がない地域で使い、固定資産税評価額に一定の倍率をかけます。
路線価は毎年7月に公表されます。国税庁の「路線価図・評価倍率表」で誰でも見られます。
都道府県→市区町村→地名の順にたどると、道路に数字が書かれた地図が出ます。単位は千円です。「300」なら1平方メートル30万円です。
3. 路線価は地価公示価格の8割ほど ― だから「評価額=売れる値段」ではない
国税庁の資料に、路線価の水準についての説明があります。地価公示価格などをもとにした値段の、80%程度を目安にしている、という内容です。
地価公示価格とは、国が毎年公表する土地の値段です。実際に売れる値段とは別のものです。そのため、路線価から売れる値段を逆算することはできません。
買い手の多い場所では、売れる値段が路線価を大きく上回ることがあります。逆に、形が悪い土地や道が狭い土地は、下回ることもあります。
売れる値段を知るには、不動産会社の査定が近道です。査定の受け方は不動産査定のご案内をご覧ください。
固定資産税評価額は、さらに低めです。総務省の説明では、宅地は地価公示価格の7割を目安に評価します。3年に1度見直され、毎年春に届く納税通知書で確かめられます。
4. 建物の相続税評価額は「固定資産税評価額」そのまま
建物は、土地より簡単です。国税庁の説明(No.4602)では、建物は固定資産税評価額に1.0をかけます。つまり、固定資産税評価額と同じ金額です。これは、自分や家族が使っている建物の場合です。
人に貸している建物は、評価のしかたが違います。固定資産税の納税通知書に「価格」または「評価額」として書かれています。古い家は評価額がとても低いことがあります。ただし、それは「建物に値段がつかない」という意味ではありません。
売れる値段は、土地と建物をまとめて市場が決めます。
出典:国税庁 タックスアンサー No.4602 土地家屋の評価/国税庁 路線価図・評価倍率表/国税庁 令和8年分の路線価等(令和8年7月1日公表。地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途)/総務省 固定資産税の概要(宅地は地価公示価格等の7割を目途、3年ごとの評価替え)
よくあるご質問
相続税評価額は自分で計算できますか。
路線価×面積の大まかな計算は、自分でもできます。ただし、土地の形や道路の付き方で補正が入ります。相続税の申告に使う正確な評価額は、税理士の先生の領域です。
相続税評価額より高く売れたら、何か問題がありますか。
問題ありません。相続税評価額は相続税のための値段で、売る値段とは別のものです。高く売れた場合は、売った利益に税金がかかることがあります。くわしくは不動産を売ったときの税金のコラムをご覧ください。
兄弟で分けるとき、どの値段を使えばいいですか。
決まりはありません。相続税評価額を使うと、売れる値段より低くなりがちです。家をもらう人と、お金をもらう人の間で、不公平が出ることがあります。家を1人がもらって他の人にお金を払う分け方は、代償分割のコラムをご覧ください。
三鷹の路線価はいくらくらいですか。
場所によって大きく違います。三鷹の土地の値段の傾向は、三鷹市の土地価格のコラムをご覧ください。
評価の決まりや路線価は、毎年変わります。この記事は2026年11月時点の国税庁・総務省の説明をもとにしています。申告のときは、その年の路線価で確かめてください。
具体的な相続税評価額の計算と申告は、税理士の先生にご確認ください。
相続した家や土地のご相談は、方針が決まる前でも承ります
司法書士・税理士の先生とまとめてご相談いただけます(まとめる相続)。
その他のテーマは不動産コラムにまとめています。