ランドスケープ ロゴ 株式会社ランドスケープLANDSCAPE 0422-24-7341
PAGE

原状回復のルール|大家が負担するもの・入居者が負担するもの

原状回復のルールのイメージの絵

退去のとき、「壁紙の張り替え代を全部払ってください」と言われて驚いた。逆に大家の立場で、どこまで請求してよいか分からない。原状回復は、賃貸でいちばん揉めやすい場面です。この記事では、国のルールに沿った線引きを説明します。

このページのポイント

  • 普通に住んで古びた部分は、大家の負担です。
  • 入居者が壊した・汚した部分は、入居者の負担です。
  • 契約書に「全部入居者負担」と書いてあっても、そのまま通るとは限りません。

1. 原状回復とは ― 「借りたときの状態に戻す」ではない

原状回復と聞くと、「借りたときの状態に戻すこと」と思いがちです。しかし、国のルールでは違います。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に考え方が示されています。

原状回復とは、入居者の責任で生じた傷や汚れを直すことです。年数がたてば、壁紙は日に焼けます。床は少しずつすり減ります。こうした変化は、誰が住んでも起きます。

その直し代は家賃に含まれている、という考え方です。2020年4月に施行された民法の改正でも、この考え方が条文になりました。

民法第621条では、普通の使い方による損耗や年数による変化は対象外です。損耗とは、すり減りや汚れのことです。

2. 線引きの考え方 ― 経年劣化と故意・過失

線引きの考え方―経年劣化と故意・過失を表した図

線引きの基本は2つです。1つ目は、「普通に住んでいても起きるか」です。起きるなら大家の負担です。2つ目は、「入居者の不注意や手入れ不足で起きたか」です。

そうなら入居者の負担です。たとえば、家具を置いた床のへこみは、普通に住めば起きます。大家の負担です。一方、飲み物をこぼして放置したシミは、手入れ不足です。

入居者の負担です。もう1つ大事なのが「経過年数」です。入居者の負担になる場合でも、古いものを新品にする代金を全部払う必要はありません。

ガイドラインでは、壁紙は6年で価値が1円になる考え方を示しています。6年以上住んだ部屋の壁紙なら、入居者が汚しても、負担は小さくなる考え方です。ただし、実際の負担は、汚れの程度や契約によって変わります。

直す作業の手間代(工事費)をどう分けるかも、ガイドラインに沿って個別に考えます。

3. よくある品目の表

国土交通省のガイドラインをもとに、よくある品目をまとめます。

品目負担理由
家具を置いた床のへこみ大家普通に住めば起きる
日に焼けた壁紙の変色大家年数による変化
テレビや冷蔵庫の裏の黒ずみ大家普通に使えば起きる
画びょうの小さな穴大家普通の住み方の範囲
入居者が付けたエアコンのねじ穴大家普通の住み方の範囲
退去時の部屋全体のクリーニング大家次に貸すための費用
たばこのヤニや臭い入居者住み方次第で防げる
結露を放置して広がったカビ入居者手入れ不足
引っ越し作業でできた引っかき傷入居者不注意
ペットが付けた柱の傷入居者住み方次第で防げる
下地まで届くくぎ穴・ねじ穴入居者普通の住み方を超える
鍵をなくしたときの交換入居者入居者の責任

注意点が2つあります。1つ目は、この表は「目安」だということです。実際の状態や契約で変わります。2つ目は、入居者負担でも、経過年数で負担額が減ることです。

4. 特約の限界 ― 契約書に書いてあれば何でも通るのか

契約書に「クリーニング代は入居者負担」などの特約が入っていることがあります。特約そのものは禁止されていません。ただし、入居者に不利な特約が有効になるには条件があります。ガイドラインが示しています。

おおまかに言うと、次の3つです。

  • その特約が必要で、暴利的でない(法外な額でない)こと
  • 入居者が「普通の損耗まで自分の負担になる」と理解していること
  • 入居者がそれを承知で契約したこと

たとえば「壁紙の張り替え代は理由を問わず全額入居者負担」という特約です。これは無効と判断される可能性が高いです。一方、「クリーニング代○万円は入居者負担」と金額を明記した特約もあります。

説明したうえで合意していれば、有効とされることがあります。大家の立場では、特約を作るときに金額と理由を具体的に書くことが大切です。

入居者の立場では、契約前に特約の中身を確かめてください。

出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について/国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(PDF)/民法 第621条・第622条の2(e-Gov法令検索)

よくあるご質問

敷金は全額返ってきますか。

原則として、入居者負担の修理代と滞納家賃を引いた残りが返ってきます。民法第622条の2で、大家は残額を返す義務があると定められました。差し引きの内訳は、明細をもらって確かめてください。

退去時に高額な請求が来ました。どうすればよいですか。

まず、内訳と根拠を書面で求めてください。ガイドラインの考え方と照らして、納得できない部分を伝えます。それでも折り合わないときは、消費生活センターや弁護士の先生に相談してください。

入居時に写真を撮ったほうがよいですか。

はい。入居時の傷や汚れを写真に残し、日付とあわせて保管してください。退去時に「もともとあった傷」を示す証拠になります。大家側も、入居時の状態を記録しておくと揉めにくくなります。

2020年より前の契約にも民法改正は適用されますか。

改正民法は、2020年4月1日以降に結んだ契約に適用されます。それより前の契約は、原則として古い民法のままです。ただし、2020年4月以降に更新の合意をした契約は、新しい民法が当てはまります。手続きをせず自動で更新された(法定更新)場合は、古い民法のままとされる場合があります。また、ガイドラインの考え方は以前から裁判でも使われてきました。実質的な線引きは大きく変わりません。

ガイドラインや民法の内容は、改訂や改正で変わることがあります。この記事は2026年11月時点の内容です。最新の情報は、国土交通省のサイトで確かめてください。

個別の修理代の争いや、特約が有効かどうかの具体的な判断は、弁護士の先生にご確認ください。

その他のテーマは不動産コラムにまとめています。

CONTACT

まずは状況をお聞かせください

ご相談内容がまとまっていない段階でも構いません。
状況をうかがい、必要な選択肢を一緒に整理します。

お電話でのご相談も受け付けています(受付時間 10:00〜19:00)

0422-24-7341

株式会社ランドスケープ|東京都三鷹市中原2-20-3