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空き家を壊すと決めたら、業者に頼めば終わり、ではありません。電気やガスの撤去、役所への届け出、近所へのあいさつ、壊した後の登記があります。抜けると、工事が始められない、税がかかり続ける、といったことが起きます。
このページでは、解体の前から後までのやることを、時期ごとに説明します。
このページのポイント
- 解体の前に、家財の片付け、電気・ガスの撤去の申し込み、近所へのあいさつを済ませます。
- 床面積80㎡以上の解体は、工事の7日前までに届け出が要ります。アスベストの調査は広さに関係なく必要です。
- 壊したら1か月以内に「建物の滅失登記」(建物がなくなったことを法務局の記録に載せる手続き)を申請します。
このページの内容
1. 時期ごとのやること表
2か月前まで
見積もり・補助金の確認・家財の片付け
1か月前
電気・ガスの撤去の申し込み・回線の解約
3週間前〜工事の直前
アスベストの調査・届け出(7日前まで)・近所へのあいさつ(1〜2週間前)
工事中
近所からの連絡に対応・ときどき現地へ
終わってから1か月以内
建物の滅失登記
| 時期 | やること | 誰がやるか |
|---|---|---|
| 2か月前まで | 解体業者の見積もりを2〜3社から取る。補助金の有無を市区町村に確かめる | 自分 |
| 2か月前まで | 家財・貴重品・思い出の品を片付ける | 自分(片付け業者に頼むことも) |
| 1か月前 | 電気・ガスの撤去を申し込む。電話・ネット回線を解約する | 自分(業者が案内してくれることも) |
| 1か月前 | 水道を残すか、業者と決める(工事でほこりを抑えるのに使うことがある) | 自分と業者 |
| 3週間〜前 | アスベスト(石綿)の事前調査と、結果の報告 | 解体業者 |
| 工事の7日前まで | 建設リサイクル法の届け出(床面積80㎡以上) | 発注する人(自分)。業者が代わりに出すことが多い |
| 1〜2週間前 | 近所へのあいさつ。工事の期間・時間・連絡先を伝える | 業者と自分 |
| 工事中 | 近所からの連絡に対応。ときどき現地を見る | 業者と自分 |
| 終わった日 | 業者から「取り壊しの証明書」と、業者の印鑑証明書などを受け取る | 自分 |
| 終わってから1か月以内 | 建物の滅失登記を法務局に申請する | 自分(土地家屋調査士の先生に頼むことも) |
| 年内 | 登記していない建物なら、市区町村(23区は都税事務所)に「家屋滅失の届け」 | 自分 |
ここからは、抜けやすい所を説明します。
2. 家財の片付けと、最後の確認
解体業者は、家財が残っていても引き受けることがあります。ただ、家財の処分は別料金になることが多く、まとめて頼むと高くなる場合があります。
先に自分や片付けの業者で減らしておくと、解体の見積もりが下がることがあります。
進め方は実家じまいとは、費用は実家じまいの費用で説明しています。
壊す前に、必ず確かめる物
- 権利証(登記済証)や、土地の測量図・境界の書類
- 仏壇・位牌・写真など、親族で相談が要る物
- 金庫、通帳、印鑑
3. 電気・ガス・水道
よくある思い違い
止めれば工事できる
契約を止めるだけでは足りません
実際
引き込みの線や管を外す「撤去」が要る
撤去が終わらないと、解体の工事を始められません
1か月前には連絡を
撤去は、申し込んでから日にちがかかることもあります。1か月前には連絡してください。
水道は、工事でほこりを抑えるのに使うことがあります。止める時期は解体業者と決めます。
詳しくは空き家の水道・電気・ガスは止める?残す?で説明しています。
4. 役所への届け出(主に業者が行うもの)
建設リサイクル法の届け出
床面積80㎡以上の解体。工事を始める7日前まで
アスベスト(石綿)の事前調査
広さに関係なく必要。資格を持つ人が調べる
自治体ごとの決まり
看板を立てる、近所に説明する、など
建設リサイクル法の届け出
床面積が80㎡以上の建物を壊すときは、工事を始める7日前までに届け出る決まりです。届け出の義務があるのは、工事を頼む人(発注者)です。
見積もりの時に確かめる
実際は業者が代わりに用意することが多いです。「届け出は誰がいつ出すか」を、見積もりの時に確かめてください。
アスベスト(石綿)の事前調査
解体の工事では、広さに関係なく、アスベストが使われているかの事前調査が必要です。令和5年10月以降に始める工事では、決められた資格を持つ人が調査します。
床面積80㎡以上の解体は、調査の結果を国の電子システムで報告します。調査の費用が見積もりに入っているかも確かめてください。
自治体ごとの決まり
区や市によっては、工事の前に看板を立てる、近所に説明する、といった決まりがあります。物件のある市区町村の決まりを、業者に確かめてもらってください。
5. 近所へのあいさつ
解体の工事は、音・ゆれ・ほこりが出ます。あいさつをしておくと、工事中の行き違いが少なくなります。
| いつ | 工事の1〜2週間前 |
|---|---|
| どこまで | 両隣、向かい、裏の家。道が狭いなら、工事の車が通る道沿いも |
| 伝えること | 工事の期間、作業の時間(何時から何時まで)、休みの日、業者と自分の連絡先 |
| だれが | 業者があいさつ回りをすることが多い。持ち主も顔を出すと話がしやすくなる |
境界のブロック塀は、壊す前に話し合う
隣の家との境界のブロック塀を壊すかどうかは、壊す前に必ず話し合ってください。境界の塀は、どちらの物か分からないこともあります。
6. 壊した後:建物の滅失登記

1か月以内
壊した日から、滅失登記を申請する期限
10万円以下
正当な理由なく怠ったときの過料
建物を壊したら、持ち主(登記の名義人)は、壊した日から1か月以内に「建物の滅失登記」を申請する決まりです(不動産登記法57条)。滅失登記は、建物がなくなったことを法務局の記録に載せる手続きです。申請先は市役所ではなく、物件のある場所を受け持つ法務局です。郵送やオンラインでも申請できます。
正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料(行政のペナルティとしてのお金)の対象になります。
壊す建物がそもそも登記されていないかもしれないときは、未登記の建物を相続したときで確かめ方を説明しています。
主な必要書類
- 解体業者が出す「取り壊しの証明書(建物滅失証明書)」
- 解体業者の印鑑証明書(法人なら、代表者の資格証明書も。会社の番号を書けば省けることがある)
- 名義が亡くなった方のままなら、亡くなったことと、相続人であることが分かる戸籍など
ケーススタディ:Eさんの解体の日程
人物・日付は説明のための仮の例です。Eさんは、亡くなった父の名義のままの家(木造2階建て、床面積約95㎡)を壊すことにしました。
| 日付 | したこと |
|---|---|
| 9月1日 | 解体業者3社に見積もりを頼んだ |
| 9月20日 | 1社に決めた。届け出とアスベストの調査は業者が行うと書面で確かめた |
| 10月1日 | 電気・ガスの撤去と、ネット回線の解約を申し込んだ |
| 10月中 | 家財を片付け、権利証や測量図を持ち帰った |
| 11月1日 | 業者と一緒に近所へあいさつ |
| 11月10日〜12月5日 | 工事。12月5日に取り壊しの証明書を受け取った |
| 12月20日 | 土地家屋調査士の先生に頼んで、滅失登記を申請した |
Eさんが気をつけたのは「年内に登記を終えること」
建物の税は1月1日の状態で決まります。建物がなくなったことが役所に伝わっていないと、翌年度も建物に税がかかったままになることがあるためです(扱いは市区町村で違うので、物件のある役所に確かめてください)。
逆に、土地は1月1日に更地なので、翌年から家がある土地の特例が外れます。
売る予定がある場合は、壊す時期を売る時期と合わせて考えてください(相続した家は「壊して売る」か「そのまま売る」か)。
売らずに、駐車場などで使う場合の考え方は、空き家を駐車場・更地で活用するで説明しています。
なお、名義が亡くなった方のままでも、相続人の1人から滅失登記を申請できます。土地の名義を変える相続登記は、司法書士の先生に相談してください。
相続税や名義変更も、まとめて相談したい方へ
当社は、税理士・司法書士と組んだ相続の相談窓口まとめる相続を運営しています。士業の手配や日程の調整も、窓口一つで進められます。
よくあるご質問
Q. 滅失登記は自分でもできますか?
自分で法務局に申請することもできます。書類の書き方は、法務局の窓口や、法務局のホームページの記載例で確かめられます。不安なときは、土地家屋調査士の先生に頼めます。
Q. 登記されていない古い家を壊しました。何をすればいいですか?
法務局の登記はありませんが、市区町村(23区は都税事務所)に家屋がなくなったことを届け出てください。届けがないと、翌年も税がかかり続けることがあります。
Q. 解体の前に、土地の境界は確かめたほうがいいですか?
売る予定があるなら、確かめておくと安心です。塀や目印が工事でなくなると、境界が分かりにくくなることがあります。境界の目印(境界標)を壊さないよう、業者に伝えておいてください。
Q. 近所から、工事でひびが入ったと言われました。
工事の前に、隣の家の外壁などの写真を撮っておくと、工事のせいかどうか確かめやすくなります。言われたら、まず業者に連絡し、対応を相談してください。
解体は、壊す前の準備と、壊した後の登記までがひとつの流れです。まずは上の表を見て、自分がやる所と、業者がやる所に印をつけてください。
壊した後の土地を売るご相談は、株式会社ランドスケープが1都3県で承ります。
出典:e-Gov法令検索「不動産登記法」第57条・第164条/e-Gov法令検索「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」第10条/江戸川区「解体工事等事前周知要綱」/大田区「令和5年10月1日から石綿の事前調査は有資格者が行う必要があります」/長崎地方法務局「建物滅失登記の申請書の添付書類」/箕面市「古くなった建物を取り壊そうと思うのですが、何か手続きは必要ですか」
その他のテーマは不動産コラムにまとめています。