
「親の家を相続したら、相続税がかかるのでは」と心配する方は多いです。ただ、相続税には「ここまでは税金なし」という線があります。それが基礎控除です。この記事では、基礎控除の考え方と、家の値段の見積もり方を説明します。
このページのポイント
- 遺産が基礎控除「3,000万円+600万円×相続人の数」以下なら相続税はかかりません。
- 家の値段は、土地は路線価×面積、建物は固定資産税評価額でおおまかに見積もります。
- 住んでいた家の土地は、条件を満たせば評価額を8割減らせる特例があります。
このページの内容
1. 基礎控除 ― 「ここまでは相続税なし」の線
国税庁の説明(No.4152)では、基礎控除は次の式で出します。「3,000万円+600万円×法定相続人の数」法定相続人とは、法律で決まった相続する人のことです。
たとえば、亡くなった人の妻と子ども2人なら、3人です。基礎控除は 3,000万円+600万円×3=4,800万円です。
遺産の合計がこの額以下なら、相続税はかかりません。国税庁の説明(No.4205)では、申告も不要です。遺産の合計がこの額を超えると、相続税の計算や申告が必要になる場合があります。その場合は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告します。
なお、相続を放棄した人がいても、人数には入れて数えます。養子は、実子がいれば1人まで、いなければ2人まで数えます。人数の数え方で迷ったら、税理士の先生に確かめてください。
2. 家の値段はどう見積もる?
基礎控除と比べるには、家の値段を知る必要があります。ここで使うのは「売れる値段」ではありません。相続税のための値段、相続税評価額です。
土地は路線価×面積、建物は固定資産税評価額で見積もります。出し方のくわしい話は、相続税評価額のコラムをご覧ください。
たとえば路線価が1平方メートル25万円で、150平方メートルの土地なら。25万円×150=3,750万円が、おおまかな目安です。
形や道路の付き方による補正は入れていない概算です。
家のほかに、預金や株、保険金なども遺産に入ります。保険金は、一定の額まで税金がかからない枠があります。借金や葬式の費用は差し引けます。これらを全部足して、基礎控除と比べます。
3. 住んでいた家の土地は8割減らせる特例がある

家が遺産の大部分を占める場合、もう1つ知っておきたい制度があります。「小規模宅地等の特例」です。国税庁の説明(No.4124)にある制度です。
亡くなった人が住んでいた家の土地が対象です。330平方メートルまで、評価額を80%減らせます。3,750万円の土地なら、750万円として計算できます。この特例があるため、家があっても相続税がかからない人は多いです。
ただし、条件があります。誰がその家をもらうか、その人がどこに住んでいたか、などです。また、この特例を使うには相続税の申告が必要です。
「特例を使えば税金がゼロだから申告しない」はできません。条件に当てはまるかの判断は、税理士の先生の領域です。
4. 相続税がかからなくても、やることはある
相続税がかからなくても、家の名義変更(相続登記)は必要です。2024年4月から義務になり、3年以内に登記します。期限の一覧は親が亡くなったらやることのコラムをご覧ください。手続きは司法書士の先生の領域です。
また、家をそのまま持つか、売るかも考えどころです。相続した家を売る場合の税金は、不動産を売ったときの税金のコラムをご覧ください。
空き家になった実家を売るときの3,000万円控除は、空き家の3,000万円控除のコラムをご覧ください。
出典:国税庁 タックスアンサー No.4152 相続税の計算/国税庁 タックスアンサー No.4205 相続税の申告と納税/国税庁 タックスアンサー No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)/法務省 相続登記の申請義務化に関するQ&A
よくあるご質問
家しか遺産がなければ、相続税はかかりませんか。
家の評価額が基礎控除以下なら、かかりません。ただし、預金や保険金も遺産に入ります。家だけで判断せず、全部を足して比べてください。
申告が要るかどうかは、誰が決めるのですか。
最終的には自分で判断して申告します。国税庁のサイトには「相続税の申告要否判定コーナー」があります。迷ったら、税理士の先生に確かめるのが確実です。
小規模宅地等の特例を使えば、必ず相続税はゼロですか。
必ずではありません。特例が使えるかは条件によります。使えても、ほかの財産が多ければ相続税がかかります。
相続税の決まりは、改正されることがあります。この記事は2026年11月時点の国税庁の説明をもとにしています。実際の判断は、最新の情報で確かめてください。
相続税がかかるかどうかの具体的な判断と申告は、税理士の先生にご確認ください。
相続した家や土地のご相談は、方針が決まる前でも承ります
司法書士・税理士の先生とまとめてご相談いただけます(まとめる相続)。
その他のテーマは不動産コラムにまとめています。