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実家が空き家になっても、郵便物は届き続けます。銀行、市役所、カード会社、通販のチラシ。「郵便局に頼めば、まとめて自分の家に送ってもらえる」と思われがちですが、そうはいきません。このページでは、転送できる場合とできない場合、届いた郵便の分け方、止める順番を説明します。
このページのポイント
- 亡くなった方あての郵便物は、家族が届け出ても転送されない。
- 郵便局の転送(転居届)は、本人が実際に引っ越した場合に使える。期間は届け出た日から1年。
- 空き家への郵便を減らすには、差出人ごとに連絡して送り先を変えるのが基本。
このページの内容
1. 郵便局の転送が使える場合・使えない場合
郵便局の「転居届」は、引っ越した本人が出すものです。旧住所あての郵便物を、新しい住所へ無料で送ってくれます。
| 状況 | 転送できるか | 理由 |
|---|---|---|
| 親が亡くなり、家が空き家になった | できない | 亡くなった方あての郵便物は転送しない決まり。差出人に返される |
| 親が施設に入って暮らしている | 本人が届け出ればできる | 本人が実際に住む場所への引っ越しになる |
| 親が入院中で、子が代わりに受け取りたい | できない | 本人が住んでいない場所には転送できない |
| 自分(相続人)が以前その家に住んでいた | 自分あての分はできる | 自分の引っ越しとして届け出る |
1年
転送の期間(届け出た日から)
+1年
もう一度届け出れば延ばせる
郵便局の転送には限りがあります
「転送しないで」と表に書かれた郵便(カードや金融機関の書類に多い)は、転送されません。だからこそ、差出人に直接、送り先を変えてもらうことが大切です。
2. 放っておくと何が起きるか
空き家の郵便受けがあふれていると、次のことが起きやすくなります。
空き家だと知られる
チラシがたまっていると、人がいないことが外から分かります。防犯の面で不安が増えます。
大事な通知を見落とす
固定資産税の通知、市区町村からの空き家の指導の文書、契約の更新の案内などです。
個人情報が外に出る
口座やカードの案内が抜き取られるおそれがあります。
借金や支払いの通知が、後から届くことがあります
相続をどうするかの判断には期限があるものもあります。たとえば、相続を放棄する手続きは、原則として相続が始まったことを知った時から3か月以内です(民法915条)。気になる通知が届いたら、早めに司法書士の先生や弁護士の先生に相談してください。
3. ケーススタディ:Eさんの郵便の仕分け

説明のための仮の例です。通数も例です。
Eさんの父は、一人暮らしの家で亡くなりました。Eさんは月に1回、実家の郵便受けを見に行きました。3か月分をまとめて仕分けると、次のようになりました。
すぐ連絡
市区町村/銀行・証券/クレジットカード・携帯電話/保険会社
手続きのとき
電気・水道・ガス
止めてよい
通販・お店のチラシ・会報
| 届いた郵便 | 数(3か月) | 分け方 | Eさんがしたこと |
|---|---|---|---|
| 市区町村(税・保険・年金関係) | 6通 | すぐ連絡 | 窓口で亡くなったことを伝え、相続人の代表の届けを出した |
| 銀行・証券 | 5通 | すぐ連絡 | 相続の手続きを始め、書類の送り先を自分の家にしてもらった |
| クレジットカード・携帯電話 | 4通 | すぐ連絡 | 解約し、残りの支払いを確かめた |
| 電気・水道・ガス | 3通 | 手続きのとき | 名義と送り先を自分に変えた |
| 保険会社 | 2通 | すぐ連絡 | 火災保険の名義と、空き家になったことを伝えた |
| 通販・お店のチラシ・会報 | 20通以上 | 止めてよい | 差出人に電話やメールで止めてもらった |
最初の3か月で連絡を終えると、4か月目からは郵便がほとんど届かなくなりました。
戸籍などの写しを用意しておくと早く進みます
差出人に連絡するときは、亡くなったことが分かる書類を求められることがあります。戸籍などの写しを何通か用意しておくと、手続きが早く進みます。
4. 空き家の郵便を止める順番

次の順で進めると、見落としが減ります。
電気・水道・ガスの扱いは空き家の水道・電気・ガスは止める?残す?で説明しています。通うのが難しいときは、管理の業者に郵便受けの確認を頼む方法もあります(空き家の管理を業者に頼む)。
5. 郵便から、財産と借金の手がかりを見つける
亡くなった方あての郵便は、どこに財産や借金があるかを知る手がかりになります。相続の手続きでは、まず財産と借金を全部書き出します。捨てる前に、差出人と中身を控えておきます。
| 届いた郵便 | 分かること | 次にすること |
|---|---|---|
| 銀行・信用金庫・ゆうちょ銀行からの通知 | その金融機関に口座がある | 相続人であることを伝え、亡くなった日の残高の証明を頼む |
| 証券会社・信託銀行からの報告書や配当の通知 | 株や投資信託を持っていた | 証券会社に連絡し、相続の手続きを聞く |
| 固定資産税の納税通知書 | その市区町村に土地や建物がある | 通知書の明細で物件を確かめる。ほかの地域の不動産は、下の証明書で調べられる |
| カード会社・ローンの会社からの請求 | 借金や支払いが残っている | 残りの額を確かめる。借金が多いときは、相続を放棄する期限(原則3か月)に気をつける |
| 保険会社からの通知 | 生命保険・火災保険などの契約がある | 保険会社に連絡し、受け取れるお金や名義の変更を確かめる |
亡くなった方の名義の不動産は、法務局で一覧にできます
令和8年2月2日から、亡くなった方の名義の不動産を一覧にした証明書(所有不動産記録証明書)を、相続人が法務局に請求できるようになりました。戸籍など、相続の関係が分かる書類が要ります。郵便が届かない地域の土地も、見落としを防げます。
財産と借金が分かったら、名義を変える手続きに進みます(相続登記の義務化)。
相続税や名義変更も、まとめて相談したい方へ
当社は、税理士・司法書士と組んだ相続の相談窓口まとめる相続を運営しています。士業の手配や日程の調整も、窓口一つで進められます。
よくあるご質問
Q. 亡くなった親の郵便物を、自分の家に転送できますか?
できません。郵便局は、亡くなった方あての郵便物を転送しない決まりです。差出人に連絡して、送り先を変えてもらってください。
Q. 転送の届けは、何年でも続きますか?
届け出た日から1年です。続けたいときは、もう一度届け出ます。
Q. 届いた郵便物を勝手に開けてもいいですか?
亡くなった方の郵便物の扱いは、相続人どうしでの決め方も関わります。迷うときは、ほかの相続人と話し合い、必要なら司法書士の先生や弁護士の先生に確かめてください。
Q. 市区町村からの通知は、どこに届くようになりますか?
多くの市区町村では、相続人の代表者を届け出ると、その人に通知が届くようになります。物件のある市区町村の窓口で確かめてください。固定資産税の話は空き家の固定資産税はいくら?計算のしかたと安くする方法へ。
空き家の郵便物は、「転送」ではなく「差出人に連絡」で減らしていきます。まずは郵便受けを空にして、差出人を書き出すところから始めてください。郵便の整理が終わったら、その家をこの先どうするかを考える番です。
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出典:日本郵便「死亡した受取人あての郵便物等を家族に転送してもらえますか?」、日本郵便「入院中の親族に代わり転送を受けたい」、日本郵便「旧住所あての郵便物等を新住所に転送してもらえる転送期間は?」、日本郵便「転居・転送サービス」、e-Gov法令検索「民法」第915条(相続の承認・放棄をする期間)、法務省「所有不動産記録証明制度について」、旭川地方法務局「所有不動産記録証明制度が令和8年2月2日から運用開始」
その他のテーマは不動産コラムにまとめています。