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サブリースの仕組みと、大家から解約しにくい理由|契約書で見る5つの点

公開日

アパートを背に、大家さんと会社の担当者が契約書を前に握手している絵。

サブリースは、会社がアパートを丸ごと借り上げ、入居者に又貸しする仕組みです。「一括借り上げ」とも呼ばれます。空室があっても、決まった家賃が大家さんに入ります。その代わり、家賃は見直しで下がることがあり、大家さんからは簡単に解約できません。

このページでは、国のガイドラインをもとに、仕組みと注意点を整理します。相続で、サブリース付きのアパートを受け継いだ方にも読んでいただきたい内容です。

このページのポイント

  • サブリースでは、サブリース会社が「借主」になります。借主は法律で強く守られます。
  • 契約に「○年保証」とあっても、家賃は下がることがあります(借地借家法32条)。
  • 大家さんからの解約や更新の拒絶には「正当事由」が要ります(借地借家法28条)。会社の側からは解約できる契約もあります。

1. サブリースの仕組みと、管理委託との違い

サブリースでは、会社が「借主」です
  1. 1大家さん会社に建物を貸す(貸主)
  2. 2サブリース会社建物を借りる(借主)。入居者に又貸しする
  3. 3入居者会社から部屋を借りる
管理委託サブリース
契約の形大家さんが管理会社に仕事を頼む大家さんが会社に建物を貸す
入居者の貸主大家さんサブリース会社
大家さんに入るお金入居者の家賃から管理料を引いた額会社が払う決まった家賃
空室のとき家賃が減る決まった家賃が入る(入居者を探す間の「免責期間」を除く)
家賃の見直し空いた部屋ごとに決める契約で決めた時期などに、会社と協議
大家さんからの解約契約の定め(例:3か月前の申し出)で解約できる正当事由が要る

管理委託にする場合の会社の比べ方は、管理会社の選び方|大家が見積もりで比べる8つの項目と、聞くべき質問で説明しています。

サブリースの規制(2020年12月15日から)

サブリースの規制は、賃貸住宅管理業法で2020年12月15日から始まりました。誇大な広告や、うその説明での勧誘が禁じられています。

2. 家賃が下がることがある理由

サブリースでは、会社が「借主」です。借地借家法32条で、借主は家賃が周りと比べて合わなくなったとき、減額を求められます。最高裁も2003年10月21日の判決で、サブリースの契約にもこの決まりが使われると示しました。国の標準の契約書では、この点を次のように説明しています。

家賃の減額を求められる場合・求められない場合

求められる

税金などの負担の変化、経済事情の変化、近くの同じような建物の家賃との比べ、のどれかで今の家賃が合わなくなっている

それだけでは求められない

空室が増えた、会社の経営が苦しい、というだけ

※「家賃を下げない」という約束が契約にあっても、上の左の場合にあたれば、会社は減額を求められます。

大家さんは、減額をそのまま受け入れる義務はありません

協議で決め、まとまらなければ調停や裁判で決まります。

「家賃が下がらない」と思わせる広告に注意

国のガイドラインは、「○年家賃保証!」「一切収入が下がりません!」のように、家賃が下がらないと思わせる広告を、誇大広告の例に挙げています。

3. 大家さんから解約しにくい理由

管理委託なら、契約の定めに従って解約できます。サブリースは違います。大家さんが貸主、会社が借主なので、借地借家法28条が使われます。大家さんから更新を断るには「正当事由」が要ります。

正当事由の判断のしかた

  • 大家さんがその建物を使う必要がどれだけあるか
  • これまでの経過
  • 立ち退き料の申し出など

これらを合わせて判断されます。「別の会社に変えたい」「家賃が安いので終わりにしたい」だけでは、認められにくいとされています。

「大家さんからは出にくく、会社からは出やすい」形になりえます

大家さんから

正当事由が要る

会社から

途中でも解約の申し出ができる契約がある

国のガイドラインは、この点を契約前に説明するよう求めています

4. それでも終えたいときの3つの道

サブリースを終わりにしたいときは、次の3つの道があります。どの道でも、入居者はそのまま住み続けるのが原則です。

道大家さんがすること気をつける点
① 期間満了で更新を断る契約の期間が終わる1年前から6か月前までに、更新しないと書面で知らせる正当事由が要ります。「別の会社に変えたい」だけでは認められにくいとされています
② 会社と話し合って解約する(合意解約)解約の日、解約金の有無、入居者と敷金の引き継ぎ方を話し合い、書面にする会社が応じなければ進みません。解約金などの条件は、契約書の特約も確かめます
③ 売るときの扱いサブリース付きのまま売るか、解約してから売るかを決める付いたまま売ると、契約は買った人に引き継がれます。解約してから売るには、①か②が必要で時間がかかります

契約が終わったら、入居者の貸主は大家さんに

国の標準の契約書では、サブリース契約が終わると、大家さんが入居者に対する貸主の立場を引き継ぎます。会社は、入居者から預かった敷金と契約書などを、大家さんに渡します。終わり方が更新拒絶でも合意解約でも同じです。

自分の契約書に同じ定めがあるかを確かめてください。終えたあとの管理を任せる会社も、先に決めておきます。

正当事由があるか、解約金が妥当かは、事情によって変わります。①や②を考える段階になったら、弁護士の先生に相談してください。

5. 相続で引き継いだら、契約書で見る5つの所

サブリース契約は、相続で大家さんが代わっても続きます。引き継いだら、まず会社に、貸主が代わったことと家賃の振込先を書面で知らせます。そのうえで、契約書の次の5つを確かめてください。

見る所確かめること
① 家賃と家賃改定日次の見直しはいつか。何年ごとか
② 免責期間入居者を探す間、家賃が払われない期間があるか
③ 修繕の分け方大規模な修繕や設備の交換を、どちらが負担するか
④ 解約・更新拒絶の条項会社からの解約は何か月前か。大家さんからの更新拒絶はいつまでに通知するか(国の標準の契約書では、期間満了の1年前から6か月前まで)
⑤ 契約が終わったときの入居者終わったとき、入居者との契約を大家さんが引き継ぐか
大家さんからの更新拒絶の通知は、この期間に(国の標準の契約書)

期間満了の1年前

ここから通知できる

期間満了の6か月前

ここまでに通知する

期間満了

契約の期間が終わる

相続後の連絡先の整理は、相続したアパート|管理会社・入居者・保証会社への連絡で説明しています。

6. 例:8戸のアパートを相続したAさん

※説明のための仮の例です。

Aさんは、木造アパート(1K・8戸・家賃6.5万円)を相続しました。このアパートにはサブリース契約が付いていて、会社からの家賃は満室の家賃の85%です。満室の家賃は月52万円なので、会社から入るのは月44.2万円です。

Aさんは、管理委託に変えた場合と比べました(管理料は家賃の5.5%・税込、入金された家賃に掛ける形)。

入居率管理委託で手元に残る額(月)サブリース(月)
100%(8戸)491,400円442,000円
90%442,260円442,000円
75%(6戸)368,550円442,000円

このサブリースは「入居率9割」を約束してもらう値段

入居率が約90%なら、どちらもほぼ同じです。過去5年の入居率が95%前後なら、管理委託の方が手元に残ります。ただし、入居率が大きく下がる年が来れば、サブリースが支えになります。

Aさんは、次の点も確かめました。

  • 次の家賃改定日は2年後。周りの家賃が下がっていれば、減額を求められる可能性がある
  • 会社からは6か月前の申し出で解約できる条項がある
  • 大家さんからの更新拒絶は、満了の1年前から6か月前までに通知し、正当事由が要る
Aさんの決め方

今は

すぐに解約を目指すのはやめた

次の改定に向けて

近くの似た物件の家賃を集めておく

解約を考える段階になったら、4節の3つの道を見て、弁護士の先生に相談する

似た物件の家賃の集め方は家賃の決め方|相場の調べ方をご覧ください。

大家さんが壁のカレンダーの日付に、赤いペンで印をつけている絵。

よくあるご質問

Q. サブリース付きのアパートは、売れますか?

売れます。ただ、買う人はサブリースの家賃と解約の条件を見て値段を考えます。家賃が相場より低いと、売り値にも響くことがあります。

Q. 家賃の減額を求められたら、受け入れるしかありませんか?

受け入れる義務はありません。協議で決めます。近くの似た物件の家賃など、根拠を集めて話し合ってください。まとまらないときは弁護士の先生に相談しましょう。

Q. 会社から突然、解約を言われることはありますか?

契約に会社からの解約の条項があれば、ありえます。終わったあとの入居者や敷金の扱いを、契約書で先に確かめておいてください。

Q. 期間を決めて貸す契約なら、終わりにしやすいですか?

期間が来たら終わる「定期借家」という形で結ぶサブリースもあります。くわしくは定期借家契約とは|普通の賃貸契約との違いと、終了の通知をご覧ください。

サブリースは、空室の心配を減らす代わりに、家賃の見直しと、解約のしにくさを受け入れる契約です。相続で引き継いだら、まず契約書の5つの所を確かめてください。

出典:国土交通省「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」(令和5年3月31日改正。誇大広告の例「○年家賃保証!」「支払い家賃は契約期間内確実に保証!一切収入が下がりません!」「30年一括借り上げ」など、不当な勧誘の例、重要事項説明の記載事項)/国土交通省「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」(制定時の本文。上の例文の確認に使用)/国土交通省「特定賃貸借標準契約書」(借地借家法32条の減額請求の説明、空室の増加や経営状況の悪化だけでは減額請求できない旨、更新拒絶通知は期間満了の1年前から6か月前まで、貸主の更新拒絶には28条の正当事由が必要、第21条:契約が終わったときは貸主が転貸人の地位を承継し、借主は敷金・契約書などを引き渡す〔期間満了・合意解除など終了の原因を問わない〕)/借地借家法(e-Gov法令検索)第26条・第28条・第31条/民法(e-Gov法令検索)第605条の2(建物を売ったときの貸主の地位の移転)・第896条/最高裁判所 平成15年10月21日 第三小法廷判決(平成12(受)573、サブリース契約にも借地借家法32条1項が適用される)/国土交通省 関東地方整備局「賃貸住宅管理業について」(サブリース規制は令和2年12月15日施行)/国土交通省「賃貸住宅管理業法 法律、政省令、解釈・運用の考え方、ガイドラインについて」

その他のテーマは不動産コラムにまとめています。

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