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サブリースは、会社がアパートを丸ごと借り上げ、入居者に又貸しする仕組みです。「一括借り上げ」とも呼ばれます。空室があっても、決まった家賃が大家さんに入ります。その代わり、家賃は見直しで下がることがあり、大家さんからは簡単に解約できません。
このページでは、国のガイドラインをもとに、仕組みと注意点を整理します。相続で、サブリース付きのアパートを受け継いだ方にも読んでいただきたい内容です。
このページのポイント
- サブリースでは、サブリース会社が「借主」になります。借主は法律で強く守られます。
- 契約に「○年保証」とあっても、家賃は下がることがあります(借地借家法32条)。
- 大家さんからの解約や更新の拒絶には「正当事由」が要ります(借地借家法28条)。会社の側からは解約できる契約もあります。
このページの内容
1. サブリースの仕組みと、管理委託との違い
- 1大家さん会社に建物を貸す(貸主)
- 2サブリース会社建物を借りる(借主)。入居者に又貸しする
- 3入居者会社から部屋を借りる
| 管理委託 | サブリース | |
|---|---|---|
| 契約の形 | 大家さんが管理会社に仕事を頼む | 大家さんが会社に建物を貸す |
| 入居者の貸主 | 大家さん | サブリース会社 |
| 大家さんに入るお金 | 入居者の家賃から管理料を引いた額 | 会社が払う決まった家賃 |
| 空室のとき | 家賃が減る | 決まった家賃が入る(入居者を探す間の「免責期間」を除く) |
| 家賃の見直し | 空いた部屋ごとに決める | 契約で決めた時期などに、会社と協議 |
| 大家さんからの解約 | 契約の定め(例:3か月前の申し出)で解約できる | 正当事由が要る |
管理委託にする場合の会社の比べ方は、管理会社の選び方|大家が見積もりで比べる8つの項目と、聞くべき質問で説明しています。
サブリースの規制(2020年12月15日から)
サブリースの規制は、賃貸住宅管理業法で2020年12月15日から始まりました。誇大な広告や、うその説明での勧誘が禁じられています。
2. 家賃が下がることがある理由
サブリースでは、会社が「借主」です。借地借家法32条で、借主は家賃が周りと比べて合わなくなったとき、減額を求められます。最高裁も2003年10月21日の判決で、サブリースの契約にもこの決まりが使われると示しました。国の標準の契約書では、この点を次のように説明しています。
求められる
税金などの負担の変化、経済事情の変化、近くの同じような建物の家賃との比べ、のどれかで今の家賃が合わなくなっている
それだけでは求められない
空室が増えた、会社の経営が苦しい、というだけ
※「家賃を下げない」という約束が契約にあっても、上の左の場合にあたれば、会社は減額を求められます。
大家さんは、減額をそのまま受け入れる義務はありません
協議で決め、まとまらなければ調停や裁判で決まります。
「家賃が下がらない」と思わせる広告に注意
国のガイドラインは、「○年家賃保証!」「一切収入が下がりません!」のように、家賃が下がらないと思わせる広告を、誇大広告の例に挙げています。
3. 大家さんから解約しにくい理由
管理委託なら、契約の定めに従って解約できます。サブリースは違います。大家さんが貸主、会社が借主なので、借地借家法28条が使われます。大家さんから更新を断るには「正当事由」が要ります。
正当事由の判断のしかた
- 大家さんがその建物を使う必要がどれだけあるか
- これまでの経過
- 立ち退き料の申し出など
これらを合わせて判断されます。「別の会社に変えたい」「家賃が安いので終わりにしたい」だけでは、認められにくいとされています。
大家さんから
正当事由が要る
会社から
途中でも解約の申し出ができる契約がある
国のガイドラインは、この点を契約前に説明するよう求めています
4. それでも終えたいときの3つの道
サブリースを終わりにしたいときは、次の3つの道があります。どの道でも、入居者はそのまま住み続けるのが原則です。
| 道 | 大家さんがすること | 気をつける点 |
|---|---|---|
| ① 期間満了で更新を断る | 契約の期間が終わる1年前から6か月前までに、更新しないと書面で知らせる | 正当事由が要ります。「別の会社に変えたい」だけでは認められにくいとされています |
| ② 会社と話し合って解約する(合意解約) | 解約の日、解約金の有無、入居者と敷金の引き継ぎ方を話し合い、書面にする | 会社が応じなければ進みません。解約金などの条件は、契約書の特約も確かめます |
| ③ 売るときの扱い | サブリース付きのまま売るか、解約してから売るかを決める | 付いたまま売ると、契約は買った人に引き継がれます。解約してから売るには、①か②が必要で時間がかかります |
契約が終わったら、入居者の貸主は大家さんに
国の標準の契約書では、サブリース契約が終わると、大家さんが入居者に対する貸主の立場を引き継ぎます。会社は、入居者から預かった敷金と契約書などを、大家さんに渡します。終わり方が更新拒絶でも合意解約でも同じです。
自分の契約書に同じ定めがあるかを確かめてください。終えたあとの管理を任せる会社も、先に決めておきます。
正当事由があるか、解約金が妥当かは、事情によって変わります。①や②を考える段階になったら、弁護士の先生に相談してください。
5. 相続で引き継いだら、契約書で見る5つの所
サブリース契約は、相続で大家さんが代わっても続きます。引き継いだら、まず会社に、貸主が代わったことと家賃の振込先を書面で知らせます。そのうえで、契約書の次の5つを確かめてください。
| 見る所 | 確かめること |
|---|---|
| ① 家賃と家賃改定日 | 次の見直しはいつか。何年ごとか |
| ② 免責期間 | 入居者を探す間、家賃が払われない期間があるか |
| ③ 修繕の分け方 | 大規模な修繕や設備の交換を、どちらが負担するか |
| ④ 解約・更新拒絶の条項 | 会社からの解約は何か月前か。大家さんからの更新拒絶はいつまでに通知するか(国の標準の契約書では、期間満了の1年前から6か月前まで) |
| ⑤ 契約が終わったときの入居者 | 終わったとき、入居者との契約を大家さんが引き継ぐか |
期間満了の1年前
ここから通知できる
期間満了の6か月前
ここまでに通知する
期間満了
契約の期間が終わる
相続後の連絡先の整理は、相続したアパート|管理会社・入居者・保証会社への連絡で説明しています。
6. 例:8戸のアパートを相続したAさん
※説明のための仮の例です。
Aさんは、木造アパート(1K・8戸・家賃6.5万円)を相続しました。このアパートにはサブリース契約が付いていて、会社からの家賃は満室の家賃の85%です。満室の家賃は月52万円なので、会社から入るのは月44.2万円です。
Aさんは、管理委託に変えた場合と比べました(管理料は家賃の5.5%・税込、入金された家賃に掛ける形)。
| 入居率 | 管理委託で手元に残る額(月) | サブリース(月) |
|---|---|---|
| 100%(8戸) | 491,400円 | 442,000円 |
| 90% | 442,260円 | 442,000円 |
| 75%(6戸) | 368,550円 | 442,000円 |
このサブリースは「入居率9割」を約束してもらう値段
入居率が約90%なら、どちらもほぼ同じです。過去5年の入居率が95%前後なら、管理委託の方が手元に残ります。ただし、入居率が大きく下がる年が来れば、サブリースが支えになります。
Aさんは、次の点も確かめました。
- 次の家賃改定日は2年後。周りの家賃が下がっていれば、減額を求められる可能性がある
- 会社からは6か月前の申し出で解約できる条項がある
- 大家さんからの更新拒絶は、満了の1年前から6か月前までに通知し、正当事由が要る
今は
すぐに解約を目指すのはやめた
次の改定に向けて
近くの似た物件の家賃を集めておく
解約を考える段階になったら、4節の3つの道を見て、弁護士の先生に相談する
似た物件の家賃の集め方は家賃の決め方|相場の調べ方をご覧ください。

よくあるご質問
Q. サブリース付きのアパートは、売れますか?
売れます。ただ、買う人はサブリースの家賃と解約の条件を見て値段を考えます。家賃が相場より低いと、売り値にも響くことがあります。
Q. 家賃の減額を求められたら、受け入れるしかありませんか?
受け入れる義務はありません。協議で決めます。近くの似た物件の家賃など、根拠を集めて話し合ってください。まとまらないときは弁護士の先生に相談しましょう。
Q. 会社から突然、解約を言われることはありますか?
契約に会社からの解約の条項があれば、ありえます。終わったあとの入居者や敷金の扱いを、契約書で先に確かめておいてください。
Q. 期間を決めて貸す契約なら、終わりにしやすいですか?
期間が来たら終わる「定期借家」という形で結ぶサブリースもあります。くわしくは定期借家契約とは|普通の賃貸契約との違いと、終了の通知をご覧ください。
サブリースは、空室の心配を減らす代わりに、家賃の見直しと、解約のしにくさを受け入れる契約です。相続で引き継いだら、まず契約書の5つの所を確かめてください。
出典:国土交通省「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」(令和5年3月31日改正。誇大広告の例「○年家賃保証!」「支払い家賃は契約期間内確実に保証!一切収入が下がりません!」「30年一括借り上げ」など、不当な勧誘の例、重要事項説明の記載事項)/国土交通省「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」(制定時の本文。上の例文の確認に使用)/国土交通省「特定賃貸借標準契約書」(借地借家法32条の減額請求の説明、空室の増加や経営状況の悪化だけでは減額請求できない旨、更新拒絶通知は期間満了の1年前から6か月前まで、貸主の更新拒絶には28条の正当事由が必要、第21条:契約が終わったときは貸主が転貸人の地位を承継し、借主は敷金・契約書などを引き渡す〔期間満了・合意解除など終了の原因を問わない〕)/借地借家法(e-Gov法令検索)第26条・第28条・第31条/民法(e-Gov法令検索)第605条の2(建物を売ったときの貸主の地位の移転)・第896条/最高裁判所 平成15年10月21日 第三小法廷判決(平成12(受)573、サブリース契約にも借地借家法32条1項が適用される)/国土交通省 関東地方整備局「賃貸住宅管理業について」(サブリース規制は令和2年12月15日施行)/国土交通省「賃貸住宅管理業法 法律、政省令、解釈・運用の考え方、ガイドラインについて」
その他のテーマは不動産コラムにまとめています。