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空室が出たら、入居者を探す「募集」が始まります。多くの大家さんは、不動産会社に募集を頼みます。そのとき出てくるのが、仲介手数料と「広告料」という費用です。このページでは、募集の流れと、大家さんが払うお金の決まりを整理します。
このページのポイント
- 募集は「部屋の準備→条件決め→不動産会社に依頼→物件サイトに掲載→内見→申し込み→審査→契約」の順に進みます。
- 仲介手数料には国の上限があります。住まいの部屋なら、貸主と借主から受け取れる合計は家賃の1.1か月分(税込)までです。
- 「広告料」は、大家さんが頼んだ特別な広告の費用にあたるかが分かれ目です。何の費用かを書面で確かめます。
1. 募集の流れ
退去から入居までの流れは、だいたい次のとおりです。
| 順番 | やること | 大家さんが決めること | かかる期間の目安 |
|---|---|---|---|
| ① 退去・立ち会い | 部屋の状態を確かめる | 直す範囲 | 退去日 |
| ② 部屋の準備 | 清掃・修繕 | 工事の内容と費用 | 1〜3週間 |
| ③ 条件を決める | 家賃・敷金・礼金・入居条件 | 家賃と条件 | 数日 |
| ④ 不動産会社に依頼 | 募集を頼む | 頼む会社・頼み方 | 数日 |
| ⑤ 掲載・内見 | 物件サイトに載る。見学が入る | 写真や説明の確認 | 数週間〜 |
| ⑥ 申し込み・審査 | 入居希望者を確かめる | 入居を認めるか | 数日〜1週間 |
| ⑦ 契約・入居 | 契約書を交わし、鍵を渡す | 契約内容の最終確認 | 1〜2週間 |
※期間は目安です。物件や時期で変わります。
退去の予告を受けた日から、どの順で募集の準備を進めるかは、退去予告から次の入居まで早くするコツで説明しています。
退去の連絡が来た時点で、②と③を先に考えておく
先に考えておくと、空室の期間が短くなります。退去時の費用の分け方は原状回復のルール|大家が負担するもの・入居者が負担するもので、家賃の決め方は家賃の決め方|相場の調べ方で説明しています。
2. 不動産会社の頼み方
募集の頼み方は、大きく分けて2つです。
1社にまとめて頼む
窓口が1つで話が早い。その会社が、他の不動産会社にも物件を紹介する。
何社かに頼む
入口は増える。ただし、条件の伝え方がばらばらになりやすい。
管理会社に管理を任せている場合は、募集も管理会社が窓口になることが多いです。
どちらの場合も、最初に聞いておくこと
- どの物件サイトに載せるか
- 他の不動産会社に紹介するか
「専任」か「一般」かは、契約書で確かめる
家を売るときの仲介は、頼み方の型が法律で決まっています(宅地建物取引業法第34条の2)。この決まりは売買と交換のためのもので、部屋を貸すときの募集には当てはまりません。
そのため、1社だけに任せる約束(「専任」と呼ぶことが多い)か、何社にも頼める形(「一般」)かは、会社ごとの契約書で決まります。頼む前に、次の点を書面で確かめてください。
| 確かめる点 | 契約書で見る所 |
|---|---|
| ほかの会社にも頼めるか | 1社だけに任せる約束が書いてあるか |
| 契約の期間と、やめ方 | 何か月の契約か。途中でやめるときの連絡のしかた |
| 知らせてもらうこと | 問い合わせの数と内見の数を、いつ、どう知らせてくれるか |
| 払うお金 | 仲介手数料と、それ以外にかかるお金(3.で説明) |
募集の写真と図面で確かめること
物件サイトに載る前に、写真と図面を見せてもらいます。部屋を探す人は、まずここで見学するかを決めるからです。
- 間取り図の広さ・向き・収納が、今の部屋と合っているか
- 写真が、直した後の今の部屋か(前の募集の古い写真のままでないか)
- 家賃・共益費・敷金・礼金が、決めた条件と同じか
- エアコンなどの設備と、ペット・楽器などの入居の条件が正しく書かれているか
実際と違う内容が載ると、内見で断られたり、契約の後にもめたりする原因になります。
3. 仲介手数料と広告料の決まり
不動産会社が受け取れる報酬には、国の告示で上限があります。貸し借りの場合の上限は、次のとおりです。
| 場面 | 上限(税込) |
|---|---|
| 貸主と借主の両方から受け取る合計 | 家賃の1.1か月分 |
| 住まいの部屋で、一方から受け取る場合 | 家賃の0.55か月分(依頼者の承諾があれば、合計1.1か月分の範囲で片方から多く受け取れる) |
| 長く使われていない空き家等を、貸主の依頼で貸す場合(2024年7月1日から) | 貸主と借主から受け取る合計で、家賃の2.2か月分まで(借主からの分は、上の行の上限のまま。上乗せは、現地の調べなどの費用の分として貸主から受け取る。事前に説明し、合意が必要) |
1.1か月分
貸主と借主から受け取る合計の上限
0.55か月分
住まいの部屋で、一方から(承諾がない場合)
2.2か月分
長く使われていない空き家等で、貸主と借主から受け取る合計の上限
最後の特例は、少なくとも1年を超えて住む人がいない戸建てや分譲マンションの部屋、相続などで使われなくなり、この先も使う見込みがない家などが対象です。入居者を募集中のアパートの空室は、対象になりません(国土交通省の通達)。
広告料とは
大家さんが、仲介手数料とは別に不動産会社へ払う費用のことです。業界では「AD」と呼ぶこともあります。
国の告示:不動産会社は、上限の報酬のほかは、原則として受け取れない
例外:依頼者の依頼で行う広告の料金
裁判例:この例外は「ふつうの募集の範囲を超える、特別な広告」の費用に限られる
ふつうの募集にかかる費用は、仲介手数料の中に入っている
という考え方です。
そのため、広告料を払うときは次の3つを確かめてください。
- 1何の広告かどこに、何を載せるのか
- 2大家さんから頼んだか大家さんの側から頼んだ広告か
- 3書面があるか金額と中身が書面に書かれているか
迷ったときは
広告料を払うか、払わないか、いくらにするかは、法律の解釈が関わります。迷ったときは、宅地建物取引の窓口(都道府県の担当課)や、弁護士の先生に確かめてください。
4. ケーススタディ:築25年・1K・家賃7万円のアパートを持つAさん

(説明のための仮の例です)Aさんの部屋が空き、不動産会社から「広告料を家賃1か月分つけると決まりやすい」と言われました。Aさんは、費用と空室の損を並べて考えました。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 仲介手数料の上限(貸主と借主の合計) | 77,000円(7万円×1.1) |
| 言われた広告料 | 70,000円(家賃1か月分) |
| 空室が1か月延びたときの損 | 70,000円 |
Aさんは、すぐに払うとは答えませんでした。先に、「その70,000円で、どんな広告をするのか」を書面で出してもらうよう頼みました。あわせて、問い合わせ数と内見数も聞きました。
- 1問い合わせ十分あった
- 2内見入っていた
- 3申し込み内見のあと申し込みがない。ここで止まっていた
言われたこと
広告料に70,000円
人の目に止まるよう、広告を増やす。
Aさんの判断
照明と水回りの手直しにあてる
止まっていたのは内見の後。広告を増やすより、部屋を直す方が先。
広告料が効くのは
そもそも人の目に止まっていない場合です。どこで止まっているかの見つけ方は、空室が続くときに見直す5つのことで説明しています。
広告料を考えるのは、見直しの時期を決めてから
募集を始めるときに、問い合わせ数と内見数をいつ知らせてもらうかを、不動産会社と決めておきます(例えば2週間ごと)。数字を見て、次の順で見直します。
- 1問い合わせが少ない写真・説明・載せている物件サイトと、家賃などの条件を見直す
- 2内見はあるが申し込みがない部屋の状態や設備、家賃と周りの部屋の比べを見直す
- 3それでも人の目に止まらないここで初めて、広告料を中身と金額を書面で確かめたうえで考える
よくあるご質問
Q. 仲介手数料は、大家と入居者のどちらが払いますか?
上限の範囲で、どちらがいくら払うかは契約で決まります。住まいの部屋では、承諾がなければ一方から家賃0.55か月分までです。合計は1.1か月分(税込)を超えられません。
Q. 広告料を払わないと、紹介してもらえませんか?
地域や物件で事情は違います。ただ、広告料は「何の費用か」がはっきりしないまま払うものではありません。中身を書面で確かめ、空室の原因に合っているかで判断してください。
Q. 相続した実家を貸す場合も、同じ流れですか?
流れは同じです。長く空いていた家なら、上の表の特例が使える場合があります。相続した家を貸すときの注意は、相続した家を貸すときの基本|定期借家という選び方で説明しています。
Q. 期間を決めて貸したい場合はどうしますか?
期間が来たら終わる「定期借家」という契約の形があります。くわしくは定期借家契約とは|普通の賃貸契約との違いと、終了の通知で説明しています。
募集の流れを知っておくと、空室の期間を短くできます。広告料は、何の費用かを確かめてから決めてください。
出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」第34条の2/国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(令和6年7月1日以降。第九 長期の空家等の貸借の媒介における特例)/国土交通省「空き家等に係る媒介報酬規制の見直し」概要/国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」新旧対照表(令和6年7月1日施行)/東京都 住宅政策本部「媒介報酬規制の見直し(長期の空家等)」資料/全日本不動産協会「広告料(いわゆるAD)について」/全日本不動産協会「空き家等の媒介報酬」
その他のテーマは不動産コラムにまとめています。