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相続税の5年ルールとは(令和9年1月から)

公開日 最終更新

親から子へ、毎年少しずつお金を渡す様子と、カレンダーが重なる場面の絵

令和9年(2027年)1月1日から、相続や贈与で引き継ぐ不動産の金額の決め方が変わります。「5年ルール」と呼ばれている見直しです。2026年9月18日には、国税庁が細かい決まりの案を公表しました。この記事は2026年10月22日時点の内容です。

このページのポイント

  • 令和9年1月1日以後の相続・贈与から変わります
  • 対象は、亡くなる前5年以内に買った・建てた、人に貸している建物とその敷地です
  • ご自宅や、5年より前から持っている物件は変わりません(小口で投資する商品の一部を除く)

何が変わるのか

相続税や贈与税では、土地と建物を売買の値段で計算しません。国が決めた方法で金額を出します。

現金と不動産で相続税の評価がどう違うかは、相続は現金と不動産どっちが得かで説明しています。

対象になる不動産の、金額の決め方

これまで

国が決めた金額で計算

土地は路線価、建物は固定資産税評価額を使います。人に貸していると、さらに差し引きます。

令和9年1月から

実際の売買の値段で計算

相続・贈与のときに、実際に売り買いされる値段が基準です。多くの場合、これまでより高い金額で計算されます。

※路線価は、国税庁が道路ごとに決めている値段です。土地の形などで調整し、面積をかけます。路線価のない地域は別の決め方です。固定資産税評価額は、市区町村(東京23区は都)が決めている金額です。

対象の不動産の金額が、これまでの国が決めた金額での計算から、令和9年1月から実際の売買の値段での計算に変わることを左右で示した絵。

人に貸している建物は、満室なら3割ほど差し引きます。建っている土地も、建物より小さい割合で差し引きます。借りている方がいると、持ち主が自由に使えないためです。その結果、売買の値段より低い金額になることが多くありました。

相続税対策で不動産を買うときによくある失敗は、相続税対策で不動産を買う前ににまとめています。

出典:国税庁 No.4602 土地家屋の評価/No.4602 質疑応答(貸家の計算例)/No.4614 貸家建付地の評価

もう一つの計算のしかた

国税庁の案では、買った値段がそのときの相場どおりなら、次の金額の80%で計算してもよいとされています。

  • 土地:買った値段 × 路線価の上がり下がりの割合
  • 建物:買った値段 − 買ってからの年数分の目減り

建物の目減りは、建物の種類ごとに決まった年数で計算します。小口で投資する商品には、別の決め方があります。

どの不動産が対象で、いつからか

対象になるかどうか、順にお確かめください

人に貸している建物と、その敷地ですか(一部の部屋だけ貸している場合も含みます)

いいえ変わりません(ご自宅など、人に貸していないもの)

はい

亡くなる前(贈与は贈与の前)5年以内に、お金を払って買った、または建てたものですか

いいえ変わりません(相続や贈与で受け継いだものは下の※)

はい

相続・贈与のときの売買相場が基準になりますアパートやマンションが代表です。住まいに限らず、店舗や事務所、倉庫なども対象です。建物と一緒に貸している駐車場なども含みます。

※不動産に小口で投資する商品の一部は、この図によらず、買った時期を問わず対象です。証券取引所で売買されるもの(REIT)は、案が挙げる商品に入っていません。

※相続や贈与で受け継いだものでも、今回の相続・贈与の日からさかのぼって5年以内に、前の持ち主がお金を払って買った・建てたものは対象です。

※建物を建てずに土地だけを貸している場合(青空駐車場など)は、国税庁の案では対象に入っていません。

今の状況(2026年10月22日時点)

国税庁の案は、2026年10月18日まで意見を募集していました。正式な決まりがいつ出るかは、まだ公表されていません。中身が少し変わることもあります。

土地だけを貸している場合は、案の対象に入っていません。借りた方が建物を建てている土地、資材置場、青空駐車場などです。

全部の部屋が空いている建物の扱いは、案には書かれていません。

出典:国税庁 「貸付用不動産の評価について」の通達の案(令和8年9月18日公表)

5年はどこから数えるのか

亡くなった日から、さかのぼって5年
亡くなった日からさかのぼって5年の間に買った・建てた不動産が対象で、10年前に買ったものは対象外であることを年表で示した絵。

※贈与の場合は、贈与した日からさかのぼって5年です。点の位置は目安です。

数えるのは、買った・建てた建物や土地の引き渡しを受けた日です(原則)。貸し始めた時期ではありません。10年前に買った建物を去年から貸していても、対象になりません。

相続や贈与で受け継いだものは、ふつうは対象になりません。ただし、今回の相続・贈与の日からさかのぼって5年以内に、前の持ち主がお金を払って買った・建てたものは対象です。また、5年より前から持っている建物や、相続で受け継いだ建物を増築・改築した部分は、対象になりません。

いつからか

決め手は、買った時期ではなく、相続・贈与が起きた時期です

令和7年12月26日

国が税制改正の方針(大綱)を決めました

令和8年9月18日

国税庁が細かい決まりの案を公表。この年に買っても、相続が令和9年以降なら新しい決め方

令和9年1月1日

この日以後の相続・贈与から。遺言で財産を渡した場合も同じ

例外があります

もともと持っていた土地に建てた建物

次の2つを満たす建物は、対象外です(国税庁の案)。

  • 国税庁が正式な決まりを出す日(その日)までに建てた(工事中を含む)
  • その土地を、その日の5年前から持っていた(その5年の間に相続や贈与で受け継いだ土地でもよい)

工事中とは、その日までに工事の契約をして、工事が始まっていて、代金の一部でも払っていることです。

対象外になるのは建物です。長く持っている土地は、もともとこの見直しの対象ではありません。

「その日」は、2026年10月22日時点でまだ決まっていません。この例外を当てにして建てる時期を決めるのは、おすすめできません。

出典:財務省 令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)二 資産課税/国税庁 「貸付用不動産の評価について」の通達の案(令和8年9月18日公表)

なぜ見直されるのか

令和7年11月13日、税の制度を話し合う国の会議で、国税庁が資料を出しました。人に貸している不動産では、売買の値段と、相続税の計算に使う金額が大きく離れる、という内容です。

亡くなる直前に買われた事例(真ん中の事例)では、買った値段が3倍を超えていました
計算の金額1
買った値段3倍超

※「計算の金額」は相続税の計算に使う金額です。集めた事例を倍率の順に並べたとき、真ん中にあたる事例の倍率です(棒の長さは目安)。相続税を抑える目的の事例を集めて調べたもので、件数は公表されていません。

国はこれまでも、個別に手を打ってきました

令和5年9月

分譲マンションの決め方を見直し

令和6年1月

分譲マンションの新しい決め方を適用。一棟の賃貸マンションなどは対象外でした

令和9年1月

今回の見直し。その続きにあたります

出典:内閣府 税制調査会 専門家会合 「財産評価を巡る諸問題」(令和7年11月13日・国税庁説明資料)/国税庁 No.4667 居住用の区分所有財産の評価

元気なうちに考えておきたいこと

買う時期、建てる時期の考え方が変わります

買ってから5年以内に相続が起きると、計算の金額が高くなります。買う・建てる前に、税金の見通しを税理士の先生にご確認ください。ただし、税金だけで決めるものではありません。次の3つと合わせて判断してください。

  • 家賃が入る見込み
  • 借入の返済
  • 修繕の負担

引き継ぎ方を決めておくと、時間に追われません

不動産を売って納税する場合の段取り
1. 残すもの・売るものを決める
誰が引き継ぐのかも決めます
2. 買いたい方を探す
かかる期間は、物件や時期によって変わります
3. 契約
4. 引き渡し(現金になる)
相続税の申告と納付は10か月以内
亡くなったことを知った日の翌日から数えます。現金で一度に納めるのが原則です

不動産は、売ると決めてすぐ現金になるものではありません。それでも1が決まっていれば、10か月は短い期間ではありません。

出典:国税庁 No.4205 相続税の申告と納税

元気なうちに、が一番の対策かもしれません

不動産の売り買いは、持ち主ご本人にしかできません

元気なうち

ご本人が契約できます

売るか、残すか。誰に引き継ぐか。ご本人が決められます。

認知症などで判断が難しくなると

ご本人では契約できません

ご家族が代わりに進めるには、家庭裁判所での手続きが必要です。時間もかかります。

今回の見直しで、買ってから5年という時間も関わるようになりました。元気なうちに考えて、ご家族に伝えておく。それが一番の対策かもしれません。

親が認知症になった後に家を売るときの手続き(成年後見)は、親が認知症になった後の家で説明しています。

出典:裁判所 成年後見制度(後見・保佐・補助)の概要を知りたい方へ

よくあるご質問

令和8年のうちに買えば、今までの計算のままですか

いいえ。買った時期ではなく、相続や贈与が起きた時期で決まります。令和8年に買っても、令和9年1月1日以後に相続が起きれば、新しい決め方になります。

生前の贈与も対象になりますか

はい。贈与した方が、贈与の前5年以内にお金を払って買った、人に貸している不動産が対象です。不動産に小口で投資する商品は、買った時期に関係なく対象になります。

貸している部屋が空いているときはどうなりますか

国税庁の案では、一部の部屋でも貸していれば、その建物は対象です。全部の部屋が空いているときの扱いは、案には書かれていません。正式な決まりを待つ必要があります。

いつ相談すればよいですか

不動産のことは、今からでも整理できます。いくらで売れるか。人に貸したままでも売れるか。こうした点は当社でお調べします。税額の計算や申告は税理士の先生の領域です。お付き合いのある税理士がいらっしゃらない場合は、ご紹介もできます。

この記事は、令和8年度税制改正の大綱と、令和8年9月18日に国税庁が公表した案にもとづいています(2026年10月22日時点)。正式な決まりが出たら、この記事も書き直します。「5年ルール」は通称で、国が決めた方針の中では「相続税等の財産評価の適正化」という名前で載っています。

税額の判断は税理士の先生の領域です。相続に伴う不動産のご相談は、方針が固まっていない段階でも承っています。

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