遺産分割の前でも、相続人全員の名義に登記すれば、全員の同意で家を売れます。売って代金を分ける方法を「換価分割」といいます。名義の付け方と、売るまでの流れを図で整理しました。
このページのポイント
- 相続人全員の名義に登記すれば、遺産分割の前でも全員の同意で売れます
- 名義が亡くなった方のままでは決済(代金の受け取りと引き渡し)ができません
- ただ実務では、先に遺産分割協議書に「売って分ける」と書くことが多いです
このページの内容
1. 遺産分割の前に売れるか
相続人が複数いると、分け方が決まるまで、家は相続人全員の共有です。
名義が亡くなった方のまま
決済できない
買主に名義を移せません
相続人全員の名義に
全員の同意で売れる
法定相続分(法律で決まった割合)のとおりに相続登記をします

実務では、協議書に「売って分ける」と書くことが多いです
売った代金を誰がどの割合で受け取るかを、遺産分割協議書(分け方の合意書)に書いておきます。後のもめごとを防げます。
出典:民法(第898条)/法務省「相続人申告登記について」(売却には相続登記が必要)
2. 誰の名義で売るか
全員の名義で売る
相続人全員が売主です。契約や決済に、全員が関わります
代表者1人の名義で売る
手続きは1人で進みます。代金は一旦、代表者が受け取ります
代表者の名義で売るときは、協議書の書き方に注意
「売って分けるために代表者の名義にする」ことと、分ける割合を書きます。税の扱いは、事前に税理士の先生に確認してください。
3. 換価分割の流れ
- 1相続人を確定戸籍で全員を確かめる
- 2遺産分割協議売って分けると書く
- 3相続登記全員か、代表者の名義に
※話し合いの前に売るときは、2を飛ばし、3で全員の名義(法定相続分)にします。分ける割合は、売る前か確定申告の期限までに決めます。
- 4売却活動査定・売り出し・契約
- 5決済代金の受け取りと引き渡し
- 6代金を分ける協議書の割合で
- 7各自が確定申告利益が出たら、売った翌年に
※査定や売り出しは、登記の手続き中でも始められます。決済までに相続登記を済ませます。

登記の期限は相続登記の義務化にまとめています。
譲渡所得(売った利益)は、受け取る割合で申告します
- 売る時点で割合が決まっていれば、その割合で申告します
- 決まっていなければ法定相続分。ただ、確定申告の期限までに代金を分け、全員がその割合で申告すれば認められます
- 法定相続分で申告した後に代金を分けても、後から直せません
出典:国税庁 質疑応答事例「未分割遺産を換価したことによる譲渡所得の申告とその後分割が確定したことによる更正の請求、修正申告等」
よくあるご質問
遺産分割の前に、相続人の1人が売ることに反対しています。
家全体を売るには全員の同意が要ります。話し合いがつかなければ、家庭裁判所に遺産分割の調停や審判を申し立てられます。
売るときに、相続人全員が立ち会う必要がありますか。
全員の名義で売るときは、全員が売主です。立ち会えない人は、代理人に任せる方法もあります。代表者1人の名義なら、手続きは代表者が進めます。
相続税がかかる場合、売る時期に注意はありますか。
あります。自宅の土地の相続税を下げる特例には、申告期限まで持ち続けることが条件の場合があります。相続した土地・建物の売却にまとめています。
このページは、民法・法務省・国税庁の資料に基づく一般的な説明です(2026年10月時点)。登記は司法書士の先生に、税は税理士の先生にご確認ください。
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その他のテーマは不動産コラムにまとめています。