親の家を兄弟で相続し、共有名義(複数人の名義)になったときの売り方です。全員で売るとき、1人が反対するとき、居場所が分からない人がいるときに分けて、図で整理しました。
このページのポイント
- 家全体を売るには共有者全員の同意が要ります
- 売ったお金は持分(各自の割合)で分け、税の申告も各自でします
- 話がまとまらないときや、居場所が分からない人がいるときは、裁判所の手続きがあります
1. 共有名義でできること
共有では、兄弟それぞれが家に対する「持分」を持ちます。売り方は2通りです。
家全体を売る
共有者全員の同意が必要です。全員が売主になります
自分の持分だけ売る
1人でも売れます。ただ、買い手は限られ、価格は安くなりがちです
※家全体を売るには、全員がそれぞれの持分を売る必要があります。

出典:民法(第249条〜第251条 共有)
2. 全員で売るときの流れ
- 1方針を決める売る時期・価格・分け方
- 2売買契約共有者全員が売主
- 3代金を分ける持分の割合で
- 4各自が確定申告利益が出たときや、特例を使うとき
出典:国税庁 質疑応答事例「未分割遺産を換価したことによる譲渡所得の申告…」(相続した不動産の譲渡所得は、所有の割合に応じて各自が申告)
空き家の3,000万円控除も確かめます
売った相続人が、条件に合えば使えます。家と土地を相続した人が3人以上なら、上限は2,000万円です。親と同居していた兄弟がいる家や、相続の後に誰かが住んだ家は対象外です。
出典:国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
3. 話がまとまらないとき
遺産分割は終わっていますか
いいえ全員が同意すれば、分割の前でも売れます(換価分割)。まとまらなければ家庭裁判所の遺産分割で決めます
はい
共有者全員の居場所が分かりますか
いいえ裁判所の手続きで、その人の持分を取得したり、全員の持分とまとめて売ったりできます
はい
全員が売ることに同意しますか
いいえ裁判所に分け方を決めてもらう(共有物分割請求・下の図)
はい
全員で売る2.の流れで進めます
※居場所や身元が分からない人の持分の手続きです。返事をしないだけの人には使えません。2023年(令和5年)4月1日に始まり、遺産分割前の持分には相続から10年たつまで使えません。
現物で分ける
土地を分筆(区切って登記)するなど
1人が取得する
他の共有者にお金を払います
競売で分ける
上の2つが難しいときの方法です
出典:民法(第258条・第258条の2・第262条の2・第262条の3)/法務省 民事局長通達「民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて」
4. 共有のまま長く持たない
いま
兄弟で共有
兄弟だけで話し合えます
次の相続の後
兄弟の家族へ広がる
持分がそれぞれの配偶者や子に分かれ、全員の同意が取りにくくなります

当社の考え:早めに方針を決める
売る・1人が引き継ぐ・貸すなど、兄弟が話せるうちに決めるのがよいと考えます。
よくあるご質問
自分の持分を、兄弟に買い取ってもらえますか。
できます。持分は1人で売れるためです。家が1人の名義にまとまれば、その後は1人で売れます。売った側は、利益が出れば確定申告が要ります。
兄弟の1人が住み続けています。家賃のようなものを求められますか。
共有者は持分に応じて家全体を使えます。持分を超えて使う人は、別の取り決めがなければ、他の共有者にその分の対価を払う義務があります(民法249条)。親と一緒に住んでいた人は、分け方が決まるまで無償で住めるとされることもあります(最高裁 平成8年12月17日判決)。個別の判断は弁護士の先生にご相談ください。
名義が亡くなった親のままです。それでも売れますか。
買主に名義を移す決済までに、相続登記が必要です。査定や売り出しは、登記と並べて進められます。相続登記の義務化をご覧ください。
このページは、民法と国税庁の資料に基づく一般的な説明です(2026年10月時点)。登記は司法書士の先生に、税は税理士の先生にご確認ください。
兄弟で相続した家のご相談は、方針が決まる前でも承ります
売るか持ち続けるかの整理から承ります(お問い合わせ)。
その他のテーマは不動産コラムにまとめています。