
マンションを売るときは、戸建てと少し手順が違います。住戸は各自が持ち、廊下などの共用部分を持ち主全員で持つ仕組みだからです。この記事では、売り出しから引き渡しまでの流れを順に説明します。そのうえで、マンションだけにある手続きを3つに絞って解説します。
このページのポイント
- 売却の大きな流れは戸建てと同じで、査定→
売り出し→ 契約→ 引き渡しの順です。 - マンション特有の手続きは、組合への届け出・調査報告書・管理費の精算の3つです。
- 管理費や修繕積立金の滞納分は新しい持ち主にも請求できる決まりなので、売る前に片づけます。
このページの内容
1. 売却の流れ(全体)

マンション売却は、おおむね次の順で進みます。
- 査定を受け、売り出し価格を決める
- 不動産会社と媒介契約(売却を頼む契約)を結ぶ
- 売り出し、内覧に対応する
- 買主と売買契約を結ぶ(手付金を受け取る)
- 残りの代金を受け取り、鍵を渡す(引き渡し)
ここまでは戸建てと同じです。査定の受け方は不動産査定のご案内に書いています。住んだまま売る方法は住みながら家を売るコラムをご覧ください。
2. 違い1:管理組合への届け出
マンションの持ち主は、自動的に管理組合の一員になります。売って持ち主が変わると、組合員も変わります。そのため、管理組合に「持ち主が変わりました」と届け出ます。
多くのマンションの規約(マンションのルール)に、この決まりがあります。国土交通省の「標準管理規約」にも書かれています。国が示すマンションのルールのひな形です。
組合員になった人・やめた人は、直ちに書面で届け出る、という内容です(第31条)。
実際には、引き渡しのあとに「区分所有者変更届」のような書類を出します。用紙は管理会社がくれることが多いです。不動産会社が段取りを案内するので、難しくはありません。
3. 違い2:管理に関する調査報告書を取り寄せる
買主には、契約の前に「どう管理されているか」を説明します。これは宅地建物取引業法で決められた義務です。内容は、管理費の額、修繕積立金の積み立て額、管理会社の名前などです。
宅地建物取引業法施行規則の第16条の2に決まっています。
この説明のもとになる資料が「重要事項調査報告書」です。管理会社が発行してくれる、マンションの管理状況をまとめた書類です。不動産会社が売主の名前で管理会社に依頼します。取得には、1〜2週間ほどかかります。
売り出しの早い段階で手配しておくと、契約が遅れません。
4. 違い3:管理費・修繕積立金の精算
管理費と修繕積立金は、毎月口座から引き落とされます。引き渡しの月の分は、日割りで買主と精算することが多いです。精算のしかたは売買契約で決めます。
たとえば、前日までを売主、当日からを買主が負担する形です。翌月分を前月に引き落とすマンションも多いです。その場合、払った翌月分を買主から受け取ります。
計算は不動産会社が行い、残代金と一緒に受け渡します。
なお、これまで積み立てた修繕積立金は返ってきません。マンション全体の財産として、そのまま引き継がれます。積み立てが多いマンションは、買主が評価しやすい点です。
5. 管理費や修繕積立金に滞納があるとき
滞納があるときは、売る前に必ず片づけます。理由は2つあります。
1つ目は、買主にも請求が及ぶからです。管理組合は、滞納分を新しい持ち主にも請求できます。法律で決まっています(建物の区分所有等に関する法律 第8条)。
標準管理規約にも同じ内容があります(第26条)。買主はこれを嫌がるため、売りにくくなります。
2つ目は、契約前に買主へ説明する義務があるからです。隠して売ることはできません。
手元のお金で払えないときもあります。その場合は、引き渡しのときに売却代金から払う方法があります。管理組合や管理会社と事前に相談が必要です。
不動産会社に早めに伝えておくと、段取りを組めます。
出典:国土交通省 マンション標準管理規約(単棟型)第26条・第31条/建物の区分所有等に関する法律 第7条・第8条(e-Gov法令検索)/宅地建物取引業法施行規則 第16条の2(e-Gov法令検索)
よくあるご質問
管理組合の承認がないと売れませんか。
原則として、売ることに管理組合の承認は要りません。届け出をすれば足ります。ただし、民泊の禁止など規約の制限は買主にも引き継がれます。事前に規約を確認しておきましょう。
重要事項調査報告書は自分で頼めますか。
持ち主本人なら管理会社に頼めます。ただ、不動産会社が依頼するのが一般的です。必要な項目がそろった形で取り寄せられるからです。
駐車場も一緒に引き継げますか。
マンションによって違います。駐車場は持ち主が変わると一度返す決まりが多いです。買主が改めて申し込む形になります。規約や使用細則(規約より細かい使い方の決まり)で確認が必要です。
滞納があるとき、買主に黙っていてもいいですか。
できません。滞納額は契約前に買主へ説明する事項に含まれます。隠すと、あとで契約の解除や損害賠償の問題になります。
管理の決まりはマンションごとに違います。この記事は一般的な内容です。実際の手続きは、お住まいのマンションの規約と管理会社の案内で確認してください。
滞納をめぐる具体的な対応は、弁護士の先生にご確認ください。
その他のテーマは不動産コラムにまとめています。