
「実家には兄が住み続ける。でも名義は兄弟で分ける」。こうした形は、相続でよく話に出ます。ただ、決め方があいまいなままだと、後でもめるもとになります。このページでは、兄弟の1人が住み続けるときに決めておくことをまとめます。
このページのポイント
- まず、家の名義を住む人1人にするか、兄弟の共有にするかを決めます。
- ほかに相続人がいるなら、住む人は賃料を払うのが望ましいと当社は考えます。
- 決めたことは、書面に残しておきます。
1. 決めること① 名義を誰にするか

名義の決め方は、大きく2つです。
| 住む人1人の名義 | 兄弟の共有名義 | |
|---|---|---|
| 家の持ち主 | 住む人だけ | 兄弟全員 |
| ほかの兄弟への公平 | お金を渡して調整する | 持分で分かれている |
| 後で売るとき | 住む人が決められる | 全員の同意が要る |
住む人1人の名義にして、ほかの兄弟にお金を払う分け方を「代償分割」と言います。くわしくは「代償分割とは|家を1人が引き継ぎ、ほかの相続人にお金を払う方法」をご覧ください。共有名義のまま売るときの注意は、「兄弟で相続した家|共有名義のまま売る方法と注意点」をご覧ください。
2. 決めること② 賃料をどうするか
当社の考えでは、ほかに相続人がいるなら、住む人は賃料を払うのが望ましいです。もめないために、払う形をおすすめしています。
法律では、共有の物を使う人の決まりがあります(民法249条)。共有者は、持分に応じて使うことができます。そして、使っている人には、持分を超えて使った分の対価を払う義務があります。ただし、共有者の間で別の取り決めをすれば、それに従います。
一方で、法律上は払わなくてよい場合もあります。たとえば、亡くなった親と一緒に住んでいた場合などです。扱いは事情によって変わるので、くわしくは弁護士の先生の領域です。
賃料の額は、兄弟で話し合って決めます。近くの同じような家の家賃を、材料にする方法があります。家賃の相場は、不動産会社に聞くと分かります。
3. 決めること③ 費用を誰が持つか
住み続けると、家にはお金がかかり続けます。
- 固定資産税
- 火災保険
- 屋根や外壁などの修繕
- 電気・水道などの毎月の料金
毎月の料金は、住む人が払うのが自然です。固定資産税と大きな修繕は、誰が持つかを決めておきます。固定資産税は、共有なら持ち主全員で納める責任があります。くわしくは「相続した家の固定資産税・火災保険・水道光熱費は誰が払うか」をご覧ください。
4. 決めたことは書面に残す
口約束のままだと、時間がたつと記憶がずれます。住む人が亡くなったり、兄弟の誰かがお金に困ったりもします。決めたことは書面にし、兄弟全員が署名しておきます。
書いておくとよいことは、次のとおりです。
- 名義を誰にするか(遺産分割協議書)
- 賃料の額と、払い方
- 固定資産税と修繕の分担
- いつか売るときの決め方
遺産分割協議書の作り方や名義の書き換えは、司法書士の先生の領域です。
よくあるご質問
賃料を払わないと、すぐに違法になりますか。
一律には言えません。兄弟で「払わなくてよい」と取り決めれば、それに従います。もめないために、払うか払わないかを書面で決めておくことをおすすめします。
住んでいる兄が、家を売りたくないと言います。
共有名義の家全体を売るには、全員の同意が要ります。話し合いがまとまらないときは、弁護士の先生に相談してください。
土地だけを相続して、兄弟の1人が家を建てる場合も同じですか。
土地の名義と使い方を決める点は同じです。土地を貸す形になると、別の決まりがかかることがあります。くわしくは弁護士の先生に確かめてください。
出典:民法(e-Gov法令検索)第249条・第898条/地方税法(e-Gov法令検索)第10条の2
この記事は、2026年11月時点の民法の条文をもとにしています。個別の事情で扱いが変わるので、決める前に確かめてください。
具体的な兄弟の間の権利の扱いは、弁護士の先生にご確認ください。
相続の手続き全体のご相談は、まとめる相続でも受け付けています。
その他のテーマは不動産コラムにまとめています。