
相続した実家を、売らずに貸したい。家賃が入れば、固定資産税や手入れの費用をまかなえます。ただ、貸し方を間違えると、あとで家を取り戻せなくなることもあります。この記事では、貸す前に決めておきたいことを説明します。
このページのポイント
- 家賃は、近所の家賃を平米単価(1平方メートルあたり)で比べて決めます。
- リフォームは、貸す期間に合わせて決めます。
- 将来売る・壊すかもしれないなら、定期借家で貸します。
1. 家賃の決め方

当社では、近所の家賃の「平米単価」を参考に決めています。平米単価とは、家賃を広さ(平方メートル)で割った額です。坪単価(1坪=約3.3平方メートルあたり)だと、ざっくりしすぎるためです。
決め方の流れは、次のとおりです。
- 近くの似た家の、家賃と広さを集める
- それぞれの平米単価を出す
- 相続した家の広さをかけて、目安を出す
- 築年数や設備の差で調整する
2. リフォームは貸す期間しだい
当社では、貸すならリフォームをしたほうが、家賃が上がり有利と考えています。ただし、かかる費用と上がる家賃を比べて決めます。
どこまで直すかは、貸す期間しだいです。数年後に壊す予定なら、かけた費用を家賃で取り戻しにくくなります。その場合は、最低限の手直しに留めます。たとえば、雨漏りしない、トイレが使える、といった点です。
3. 定期借家で貸す
将来、売る・壊す・家族が住むかもしれないなら、定期借家が向いています。定期借家とは、期間が来たら更新せずに終わる貸し方です。普通の賃貸では、貸す側から終わらせるのに「正当な理由」が要ります。これは借地借家法第28条の決まりです。
定期借家にするには、次の2つが必要です(借地借家法第38条)。
- 書面(または電子の記録)で契約する
- 契約の前に、「更新がなく期間で終わる」と書いた書面を渡して説明する
この説明がないと、普通の賃貸と同じ扱いになります。期間が1年以上なら、終わりの通知も要ります(同法第38条第6項)。終わる1年前から6か月前までに、借りている人に知らせます。知らせないと、期間が来ても終わりを主張できません。くわしくは「定期借家契約とは|普通の賃貸契約との違いと、終了の通知」をご覧ください。
4. 貸す前に確かめること
1. 誰が貸すのか
遺産の分け方が決まるまで、家は相続人の共有です(民法第898条)。共有の建物を3年以内で貸すことは、持分の過半数で決められます(民法第252条)。ただし、普通の賃貸は更新で長く続くことがあります。そのため、全員の同意が要ると考えられています。貸すときは、全員の同意をとっておくと安心です。分け方を決めてから貸すほうが、話は簡単です。
2. 3,000万円控除が使えなくなる
相続した空き家を売るときの3,000万円控除は、一度貸すと使えません。
3. 誰が管理するか
入居者の募集、契約、家賃の受け取り、修理の手配が続きます。管理会社に頼む場合は、「相続したアパート ― 管理会社・入居者・保証会社への連絡」をご覧ください。
よくあるご質問
家賃は、相続人の誰のものですか。
分け方が決まる前と後で変わります。くわしくは「相続したアパートの家賃は誰のものか ― 亡くなった後の家賃」をご覧ください。
家賃の収入に、税金はかかりますか。
家賃は、不動産所得として確定申告の対象になることがあります。具体的な申告は、税理士の先生の領域です。
定期借家だと、借り手が見つかりにくくなりませんか。
期間が決まっている分、家賃を少し下げることもあります。期間の長さと家賃のバランスは、地域によって違います。当社で、地域の相場をお調べします。
福祉の施設として貸すこともできますか。
グループホームとして貸す方法もあります。くわしくは「空き家をグループホームに貸す|利点・心配ごと・貸すまでの流れ」をご覧ください。
出典:借地借家法(e-Gov法令検索)第28条・第38条/民法(e-Gov法令検索)第252条・第898条/国税庁 タックスアンサー No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
貸し方の決まりや税の扱いは、変わることがあります。この記事は2026年11月時点の法律と国税庁の説明をもとにしています。具体的な家賃収入の申告は、税理士の先生にご確認ください。相続の手続き全体のご相談は、まとめる相続でも受け付けています。その他のテーマは不動産コラム(「不動産コラム」)にまとめています。
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