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家を買うとき、夫婦の共有名義にする方は少なくありません。では、夫が亡くなったら、家はすべて妻のものになるのでしょうか。実は、そうとは限りません。この記事では、共有名義の家で片方が亡くなったときの流れを説明します。
このページのポイント
- 相続の対象は、家全体ではなく、亡くなった人の持分だけです。
- 子どもがいると、その持分は配偶者と子どもで分けるのが法律上の基本です。
- 遺言がないとき、配偶者が持分を全部継ぐには、相続人全員の話し合いが要ります。
1. 相続するのは「亡くなった人の持分」だけ

共有名義とは、1つの家を何人かで持ち、持分(持っている割合)を決めることです。たとえば、夫と妻が2分の1ずつ持っているとします。夫が亡くなっても、妻がもともと持っている2分の1は妻のままです。相続の対象になるのは、夫の持分2分の1だけです。
2. 夫の持分は誰が受け継ぐか
民法では、配偶者は必ず相続人になります(第890条)。子どもがいれば、子どもも相続人です。そのときの取り分は、配偶者が2分の1、子ども全員で2分の1です(第900条)。
夫婦2分の1ずつで、子どもが2人の場合で考えます。
| もともとの持分 | 夫の持分から | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 妻 | 2分の1 | 4分の1 | 4分の3 |
| 長男 | なし | 8分の1 | 8分の1 |
| 長女 | なし | 8分の1 | 8分の1 |
法律どおりに分けると、家は妻と子ども2人の共有になります。子どもがいない場合は、夫の親や兄弟が相続人になることもあります。相続人の順位は、「法定相続人とは|相続順位と取り分(初級編)」をご覧ください。
3. 配偶者が全部受け継ぐには
法律の取り分は、あくまで基本の形です。遺言がないときは、相続人全員の話し合いで決めます。合意すれば、妻が夫の持分を全部受け継げます。この話し合いを遺産分割協議といいます。決めた内容は、遺産分割協議書という書面にします。家に住み続ける妻の名義にまとめておくと、後で売るときも動きやすくなります。
名義は子が受け継ぎ、妻には配偶者居住権をつける分け方と、そのときの売り方は、配偶者居住権があると家は売れるのかで説明しています。
ただし、子どもが未成年のときは注意が必要です。親と子の利害がぶつかるため、特別代理人が要ります。家庭裁判所に、子どもの代わりの人を選んでもらう手続きです(民法826条)。この手続きは、司法書士・弁護士の先生の領域です。話し合いがまとまらない場合も、弁護士の先生にご相談ください。
4. 名義の書き換えと税
夫の持分を受け継いだら、相続登記で名義を書き換えます。2024年(令和6年)4月から、相続登記は義務です。相続で取得したと知った日から3年以内が期限です。取得を知ったのが2024年4月1日より前なら、期限は2027年3月31日です。くわしくは「相続登記の義務化|2027年3月31日の期限と、しないときの過料」をご覧ください。
相続税は、遺産の合計が基礎控除を超えるとかかります。配偶者には「配偶者の税額軽減」という決まりがあります。1億6千万円か法定相続分のどちらか多い額までは、配偶者に相続税がかかりません。ただし、この軽減を受けるには、相続税の申告が必要です。具体的な計算は、税理士の先生の領域です。
よくあるご質問
住宅ローンが残っています。どうなりますか。
まず、団体信用生命保険(団信)に入っているかを確かめます。入っていれば、亡くなった人の借入は保険で返されるのが一般的です。妻も借りている分は、そのまま残ります。借り方によって扱いが違うので、借りている銀行にご確認ください。
子どもたちと共有のまま、住み続けてもいいですか。
住み続けることはできます。ただ、売るときや建て替えるときに、共有者全員の同意が要ります。共有のまま売る方法は、「兄弟で相続した家|共有名義のまま売る方法と注意点」をご覧ください。
妻の持分には、相続税がかかりますか。
妻がもともと持っている持分は、夫の遺産ではありません。夫の相続税の計算に入るのは、夫の持分だけです。ただし、家を買ったときのお金の出し方によっては、別の問題が出ることがあります。税理士の先生にご相談ください。
出典:民法(e-Gov法令検索)第826条・第890条・第900条/法務省「相続登記の申請義務化」/国税庁 タックスアンサー No.4152 相続税の計算/国税庁 タックスアンサー No.4158 配偶者の税額の軽減
この記事は、2026年11月時点の民法と国税庁の説明をもとにしています。制度は変わることがあるので、手続きの前に最新の情報を確かめてください。
具体的な相続税と配偶者の税額軽減の扱いは、税理士の先生にご確認ください。
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