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空き家を売りに出して3か月。問い合わせが少ない。内見に来ても、話が進まない。ここで多くの人が、まず値下げを考えます。でも、止まっている所によって、効く手は違います。
このページは、すでに売り出し中の人に向けて、「値段」「広告」「内見」のどこで止まっているかを見分ける方法をまとめます。そもそも売りにくい土地(道路・境界・名義・場所の問題)や、手放す道(寄付・国の引き取りなど)は、相続した土地が売れないときで扱っています。
このページのポイント
- 月ごとに「問い合わせ」「内見」「申し込み」の3つの数字を書き出す。止まっている段で、見直す所が決まる。
- 問い合わせが少ないなら「値段」と「広告」。内見はあるのに決まらないなら「内見の印象」と「説明の不足」を先に見る。
- 自分の物件が会社どうしの物件情報網(レインズ)で「公開中」になっているかは、売る人も自分で確かめられる。
このページの内容
1. 月ごとの3つの数字を書き出す
売り出してから1か月ごとに、次の3つを不動産会社に聞いて、表にします。
| 数字 | 中身 | 聞き方 |
|---|---|---|
| 問い合わせ | 広告を見た人や、ほかの不動産会社からの連絡の数 | 「今月、何件の問い合わせがありましたか」 |
| 内見 | 実際に家を見に来た組の数 | 「何組が見に来ましたか。感想は何でしたか」 |
| 申し込み | 書面で「買いたい」と申し込んだ数 | 「申し込みや、値段の相談はありましたか」 |
会社からの報告の決まり
| 契約の形 | 会社が仕事の状況を報告する回数 |
|---|---|
| 専任媒介契約(1社だけに売却を任せる) | 2週間に1回以上 |
| 専属専任媒介契約(自分で見つけた買い手とも直接契約できない) | 1週間に1回以上 |
どの契約でも、買いたいという申し込みがあれば、会社はすぐに知らせる決まりです(宅地建物取引業法34条の2)。
報告に数字が書かれていないとき
上の表の形で出してほしいと頼んでください。
2. どこで止まっているかを見分ける
| 止まっている所 | 考えられる理由 |
|---|---|
| 問い合わせの前 | 近くの売り出し中の物件より高い。写真や説明が弱い。広告が届いていない |
| 問い合わせ → 内見 | 写真と現地が違いそう、と不安を持たれている。日程が合わない。説明が足りない |
| 内見 → 申し込み | 家財が残っている。においや暗さ。直す費用が読めない |
止まっている段に合わない手は、効きません
問い合わせが少ないのに家の中を直しても、見に来る人がいなければ効果は出ません。逆に、内見が多いのに決まらないなら、値段より、家の印象や説明に原因があることが多いです。
どの段も動いていないときは、物件そのものに売りにくい理由(道路・境界・名義・場所)がないかを確かめてください(導入でご案内した「相続した土地が売れないとき」のページで扱っています)。
3. 広告の点検表
自分の物件の広告を、買う人の目で見てみます。住まい探しの大手のサイトで、物件のある駅や町名と、値段の幅で探してみてください。
| 見る所 | 確かめること |
|---|---|
| 1枚目の写真 | 外観が明るく写っているか。曇りや夕方の暗い写真になっていないか |
| 写真の枚数 | 部屋・水回り・庭・前の道路・周りの様子までそろっているか |
| 間取り図 | 載っているか。部屋の広さが分かるか |
| 説明の文 | 建て直せる土地か、境界の印はあるか、雨漏りの有無など、買う人が気にする点が書いてあるか |
| 値段の区切り | 買う人は「3,000万円以下」のように区切って探す。区切りのすぐ上の値段で、検索から外れていないか |
| 出ている場所 | どのサイトに出ているか。自分の物件が検索で出てくるか |
レインズの状態も確かめる
会社どうしの物件情報網(レインズ)の状態も確かめます。専任・専属専任で頼むと、会社から「登録証明書」が渡されます。令和7年1月からは、会社が物件の取引の状況を登録することが義務になりました。登録証明書の2次元コードから、売る人も自分の物件の状態を見られます。
公開中
書面による購入申込みあり
売主都合で一時紹介停止中
頼んだ覚えがないのに「紹介停止中」なら
ほかの会社に物件を紹介してもらえていないおそれがあります。すぐに頼んだ会社に問い合わせてください。
4. 値段を見直すとき
広告を直しても問い合わせが増えないときは、値段を見直します。次の2つを並べると、根拠を持って決められます。
いま売り出し中の近くの物件
買う人は、同じ時期に並んでいる物件と比べて選びます。広さ・築年数が近い物件の値段を3〜5件書き出します。
最近実際に売れた値段
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で、近くの取引の値段を見られます。
下げるなら、上の「値段の区切り」を意識して、探す人が増える所まで下げるのが一つの考え方です。
少しずつ何度も下げると
「まだ下がる」と見られて、かえって決まりにくくなることがあります。
査定のときの根拠の見方は査定書の見方で説明しています。
5. 内見で見られる所
内見に来る人は、家の中だけでなく、「この家を買った後の手間」を見ています。
| 見られる所 | 印象を良くする工夫 |
|---|---|
| 家財 | 残っていると部屋の広さが分からない。片付けの進め方は実家じまいの片付けと売却、どちらが先かで説明しています |
| 明るさ | 電気を止めていると、部屋が暗く見える。内見の間は使えるようにしておく(空き家の水道・電気・ガスは止める?残す?) |
| におい・湿気 | 内見の前に窓を開けて風を通す。水回りの水を流しておく |
| 庭・外まわり | 草や枝が伸びていると、管理されていない家に見える(空き家の庭木・雑草) |
| 渡す資料 | 直す所の一覧と、その見積もり。解体した場合の見積もり。測量図や境界の書類 |
「直すのにいくらかかるか分からない」は、申し込みが止まる大きな理由です
見積もりを先に取っておき、内見の人に見せられるようにしておくと、迷っている人が判断しやすくなります。
家を残して売るか、壊して売るかの考え方は相続した家は「壊して売る」か「そのまま売る」かで説明しています。
6. ケーススタディ:売り出し4か月目のAさん

説明のための仮の例です。数字も例です。
Aさんは、相続した築45年の木造の実家を、3,080万円で売りに出しました。4か月の数字は、次のとおりでした。
| 月 | 問い合わせ | 内見 | 申し込み |
|---|---|---|---|
| 1か月目 | 2件 | 1組 | 0 |
| 2か月目 | 1件 | 0組 | 0 |
| 3か月目 | 1件 | 1組 | 0 |
| 4か月目 | 0件 | 0組 | 0 |
止まっているのは、いちばん手前の「問い合わせの前」でした。Aさんは、値段を下げる前に、広告の点検表で自分の物件を見ました。
- 1枚目の写真が、曇りの日に撮った暗い外観だった。
- 部屋の写真は3枚だけで、家財が写り込んでいた。
- 近くで3,000万円以下を条件に探すと、Aさんの物件は出てこなかった。
- 登録証明書の2次元コードで見ると、レインズでは「公開中」だった。
Aさんは、次の順で直しました。
- 1写真を撮り直す家財を片付けてから、晴れた日に写真を撮り直し、部屋・水回り・庭・前の道路まで15枚にした。
- 2説明を書き足す説明に「建て直しできる土地」「境界の印あり」を書き足した。
- 3値段を決め直す近くで売り出し中の物件と、最近の取引の値段を並べ、売り出しの値段を2,980万円にした。
4か月目
問い合わせ0件・内見0組
売り出し 3,080万円
5か月目
問い合わせ5件・内見3組
売り出し 2,980万円
内見の人からは「直すといくらかかるか」と聞かれたので、主な直す所の見積もりを資料にして渡すようにしました。6か月目に、内見した1組から申し込みが入りました。
売る前に直しておくかどうかの考え方は、相続した実家を売る前にリフォームは必要かで説明しています。
Aさんが値段だけを下げていたら、暗い写真のまま、検索に出る人が少し増えるだけだったかもしれません。
7. それでも動かないとき
広告と値段と内見を見直しても動かないときは、次の道を考えます。
会社を変える
専任媒介の期間は3か月までです。更新のときに、報告の中身と広告の動きを見て、続けるか変えるかを決められます。
相続した家の売却の全体の流れは、相続した家・実家の売却でまとめています。
相続税や名義変更も、まとめて相談したい方へ
当社は、税理士・司法書士と組んだ相続の相談窓口まとめる相続を運営しています。士業の手配や日程の調整も、窓口一つで進められます。
よくあるご質問
Q. 値下げはどのくらいずつ行えばいいですか?
決まった幅はありません。買う人は「〇〇万円以下」の区切りで探すことが多いので、どの区切りに入るかを意識して決めると、届く人が増えます。
Q. 写真は自分で撮り直してもいいですか?
撮った写真を会社に渡して、使ってもらえるか相談できます。晴れた日の昼間に、片付けてから、部屋の角から広く撮ると、広さが伝わりやすくなります。
Q. 内見のたびに立ち会えません。
鍵を会社に預けて、立ち会いを任せる形が多いです。遠くに住んでいる場合は、内見の前に窓を開ける、電気をつけるなどの準備も頼めるか、会社に聞いてください。
Q. 不動産会社を変えたほうがいいですか?
まず、3つの数字と広告の中身を確かめてください。報告に数字がない、広告の写真が少ない、レインズの状態が実際と違う、といった理由がはっきりしているなら、契約の更新のときに見直す方法があります。
売り出し中の空き家が動かないときは、値下げの前に、どこで止まっているかを数字で見てください。問い合わせ・内見・申し込みを月ごとに書き出し、止まっている段に合わせて、広告・値段・内見の順に手を打ちます。自分の物件のレインズの状態も、登録証明書から一度確かめておくと安心です。
出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」第34条の2、国土交通省 報道発表「レインズの機能強化について、物件の売主向けのリーフレットを作成しました!」(令和6年12月24日)、国土交通省「不動産情報ライブラリ」
その他のテーマは不動産コラムにまとめています。