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「片付けも面倒。早く手放したい」。相続した家や空き家では、そう考える人が少なくありません。「この家なら、うちがすぐに買い取ります」という案内が届くこともあります。早く手放せるのは魅力です。でも、示された値段は、思っていたより低い。
このページでは、相続した家を買取で売るときの得と損、値段の中身、比べ方を説明します。買取と仲介の違いの基本は、当社の買取のページにまとめています。
このページのポイント
- 買取の値段は、会社が直して売り直すときの値段から、工事・税・売る費用・持っている間の費用・会社の利益を引いて決まります。
- 相続の家では「売った後の責任を負わない」「荷物を残せる」が大きな得です。損は値段です。
- 比べるのは「値段」ではなく「手元に残るお金」。会社は免許と処分歴を国のサイトで確かめ、2〜3社の値段の根拠を聞いて選びます。
このページの内容
1. 買取とは
売り方には2つあります。
仲介
不動産会社が買い手を探す売り方
買取
不動産会社が自分で買い取る売り方
買取は、広告や見学がなく、会社が直接買うなら仲介手数料もかかりません。その代わり、値段は仲介より低いのが一般的です。
仲介で売るときの手数料の上限は、仲介手数料とは|上限の計算式と早見表(1,000万〜1億円)で説明しています。
くわしい違いは三鷹市の不動産買取|仲介との違いと、買取が向く場合をご覧ください。このページでは、相続した家・空き家ならではの点に絞ります。
2. 買取の値段の中身
買取では、会社が自分で家を買い、直したり壊したりして、別の人に売り直します。会社は、売り直すまでの費用とリスクを、買う値段から差し引きます。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 売り直しの見込み値段 | 直した後に、個人に売る値段 |
| -直す・壊す費用 | 水回りの交換、内装、外壁、家財の処分など |
| -買うときの税・登記 | 登記の税、不動産取得税、司法書士の先生の報酬など |
| -売り直すときの費用 | 広告、仲介の手数料など |
| -持っている間の費用 | 借入の利息、固定資産税、管理 |
| -会社の利益 | 売れ残りのリスクも含む |
| =買取の値段 |
古い家ほど「直す・壊す費用」が大きくなり、買取の値段は下がります。反対に、すぐ住める家や、土地を欲しい人が多い地域では、差が小さくなることもあります。
「仲介で売る値段の何割」という決まりはありません
公的な統計もありません。会社ごとの見立てで変わります。
3. 相続の家ならではの「得」
相続した家は、売る人がその家に住んでいないことが多いです。家の傷みや不具合を、売る人が知らないこともあります。そのため、買取には相続ならではの得があります。
① 売った後の責任を負わない約束にできることが多い
契約書に、はっきり書いてあるか確かめます
② 片付けをしなくてよい場合がある
家の中の物を残したまま、買い取ってもらえる場合があります
① 売った後の責任を負わない約束にできることが多い
売った後に、契約で伝えていない雨漏りやシロアリなどが見つかると、売り主が直したり値引きしたりする責任を負うのが原則です(契約不適合責任。民法第562条)。買取では、この責任を負わない約束にすることが多いです。
- 契約書に「売主は契約不適合責任を負わない」とはっきり書いてあるか、必ず確かめてください。
知っていて黙っていた不具合は、責任を逃れられません
この約束があっても同じです(民法第572条)。雨漏りの跡など、気づいていることは書面で伝えておきます。
② 片付けをしなくてよい場合がある
家の中の物を残したまま、買い取ってもらえる場合があります。遠くに住んでいる人や、片付けの時間がない人には助かります。ただ、処分の費用は、値段から差し引かれていることが多いです。
4. 相続の家ならではの「損」

大きな損は、値段です
買取の値段は、仲介で売れる値段より低いのが一般的です(2.のとおり)。相続人が複数いると、「もっと高く売れたはず」ともめる原因にもなります。
値段のほかにも、相続の家ならではの損があります。
| 損 | 中身 | 備え |
|---|---|---|
| 相続人の間でもめやすい | 売るには相続人全員の同意が要ります。買取の値段が低いと、あとで「仲介ならもっと高かった」と言われがちです | 査定を複数とり、相続人全員で値段を見てから決める |
| 値段の根拠が見えにくい | 差し引く工事の費用や会社の利益は、会社の中の見立てです。売る側からは確かめにくいです | 売り直しの値段と、直す・壊す費用をどう見たかを聞く(7.の②) |
| 「買取保証」の条件が会社ごとに違う | 仲介で売り出し、売れなければ買い取る約束です。買い取る値段・期限・その間の値下げの決まりが、会社ごとに違います | 値段と期限を書面で約束してもらう(5.の例) |
5. 手元に残るお金で比べる(Bさんの例)
人物・数字は説明のための仮の例です。当社の取引の実例ではありません。
Bさんは、千葉県の住宅地にある実家(築52年、木造)を相続しました。自分は都内に住んでいて、管理に月2回通っています。不動産会社2社に相談すると、次の見込みが出ました。
仲介で売る:2,800万円
売れるまで半年くらい。家財の片付けと、雨どいの補修が要る。
買取:2,000万円
家財はそのまま、1か月半で引き渡し。
Bさんは、手元に残るお金で比べました。
| 仲介 | 買取 | |
|---|---|---|
| 売値 | 2,800万円 | 2,000万円 |
| 仲介手数料 | -99万円(法律で決まった上限:(2,800万円×3%+6万円)×1.1) | かからない |
| 片付け・補修 | 見積もりの分を引く | かからない |
| 売れるまでの維持費(固定資産税・保険・交通費) | 半年分 | 1か月半分 |
| 売った後の修理に備える分(古い家なので見込む) | 見込む | 要らない |
800万円
値段の差
約701万円
仲介手数料を引いた差
Bさんは、この約701万円と、「片付け・補修の見積もり+半年分の維持費+修理への備え」を比べました。後者の合計は、約701万円よりずっと少なくなりました。まだ仲介のほうが多く残ります。
一方で、仲介は「半年で2,800万円で売れれば」という見込みです。値下げをすると差は縮みます。
Bさんが決めたのは、次の形です。
- 1まず仲介で売り出す2,800万円で3か月
- 23か月で決まらなければ買取に切り替える
- 3切り替えの値段は書面で2,000万円を、前もって書面で約束してもらう
「買取保証」と呼ぶ会社もあります
このように、仲介で売り出しながら、期限までに売れなければ会社が買い取る約束をする形です。条件は会社ごとに違うので、買取の値段と期限を書面で確かめてください。
売った後の税も比べる
相続した空き家で条件を満たせば、利益から最大3,000万円を差し引ける特例があります。買い手が不動産会社でも使えます。
条件は細かいです
ただし、昭和56年5月31日以前に建てた家であること、家を残して売るなら耐震の基準を満たすか、売った翌年2月15日までに壊すか直すことなど、条件は細かいです。税理士の先生に確かめてください。
条件は空き家の3,000万円控除、手続きは空き家の3,000万円控除の手続きをご覧ください。

6. 当社の考え:買取を勧める3つの場合
当社では、次の場合に買取を勧めています。
立地が極端に悪いとき
仲介では買い手が見つかりにくいです
再建築不可(建て替えができない土地)のとき
仲介では買い手が見つかりにくいです
売り急いでいるとき
買取が有利になることが多いです
再建築不可については再建築不可の家は売れる?をご覧ください。相続税の期限が迫っている場合は相続税の納付期限(10か月)に間に合わせて家を売るにはをご覧ください。
それ以外は、仲介で売ります
時間に余裕があれば、仲介のほうが手元に残るお金は多くなりやすいからです。
7. 買取の会社を選ぶときに確かめること
① 免許と処分歴
- 不動産の売買を仕事にするには、宅地建物取引業の免許が要ります。名刺や広告にある免許番号を、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で調べられます。
- 過去に行政処分を受けたかは、国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」で調べられます。
② 値段の根拠を聞く
2〜3社から値段を取り、次の点を聞きます。
- 売り直しの値段をいくらと見ているか。近くの取引の値段(国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で見られます)と比べて妥当か。
- 直す・壊す費用を、どのくらいと見ているか。
- 測量や家財の処分は、売る側の負担か、会社の負担か。
③ 契約書で確かめる
| 確かめる点 | 見る所 |
|---|---|
| 契約不適合責任を負わないか | 特約の欄 |
| 家財を残してよいか、処分費は誰が持つか | 特約・付帯の書面 |
| 測量(境界)の費用はどちらか | 特約 |
| 手付金の額と、解約するときの決まり | 手付・違約金の欄 |
| 代金をいつ、一度に払うか | 決済日の欄 |
| 値段が後から変わる条件がないか | 「調査の結果により」などの書き方 |
境界の話は相続した土地の境界が分からないときをご覧ください。
④ その場で決めない
自宅の売却は、クーリング・オフができません
国民生活センターは、自宅の売却ではクーリング・オフ(一定期間内の取り消し)ができないと注意を呼びかけています。空き家でも同じです。
「今日決めてくれればこの値段」と急がせる会社とは、その場で契約しないでください。困ったときは、消費者ホットライン「188」で、近くの消費生活センターにつながります。
よくあるご質問
Q. 名義が親のままでも、買い取ってもらえますか。
引き渡しまでに、名義の書き換え(相続登記)が必要です。手続きは司法書士の先生にご相談ください。
Q. 相続人が複数いて、まだ名義を変えていません。
売るには、相続登記で名義を変えることが必要です。共有の人全員の同意も要ります。進め方は相続人が複数いる家を売る手順をご覧ください。
Q. 一度仲介で売り出してから、買取に切り替えられますか。
できます。ただ、期限が迫ってからだと、値段の交渉で不利になりがちです。迷うときは、最初に両方の値段を出してもらいます。
Q. 仲介の会社を通して買取の会社に売ると、手数料はかかりますか。
仲介の会社が間に入れば、仲介手数料がかかります。買取の会社と直接契約するのか、間に入る会社があるのかを、最初に確かめてください。
Q. 家財が残ったままでも買い取ってもらえますか。
多くの会社が応じます。ただ、処分の費用は値段から差し引かれていることが多いです。自分で片付ける場合と比べてみてください(家財の片付け業者の選び方)。
Q. 建て直せない土地でも買い取ってもらえますか。
扱う会社はありますが、値段はさらに低くなりがちです(再建築不可の家は売れる?)。
買取の値段が低いのは、会社が直して売り直すまでの費用とリスクを差し引いているからです。相続の家では、売った後の責任を負わずに済むことが大きな得になります。まずは仲介と買取の両方の見込みを取り、5.の表と同じ形で並べてみてください。
出典:民法 第562条・第572条(e-Gov法令検索)、国民生活センター「高齢者の自宅の売却トラブルに注意-自宅の売却契約はクーリング・オフできません!」(2021年6月24日)、国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」、国土交通省「ネガティブ情報等検索サイト」、国土交通省 報道発表「『不動産情報ライブラリ』の運用を開始します」、国税庁 タックスアンサー No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例、宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(昭和45年建設省告示第1552号)
この記事は2026年11月時点の法律と国の案内をもとにしています。制度は変わることがあるので、最新の情報を確かめてください。売った後の税金の扱いは、税理士の先生にご確認ください。
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