公開日 最終更新

古い実家を早く壊したい。でも、名義の書き換え(相続登記)はまだ。この順番で進めてよいのか、迷う方は多いと思います。この記事では、名義が親のままで壊すときの注意を説明します。
このページのポイント
- 相続人が何人もいるときは、全員の同意をとってから壊します。
- 相続放棄を考えている人は、壊すと放棄ができなくなるおそれがあります。
- 壊した後の滅失登記と、土地の相続登記は、別に必要です。
1. 名義が親のままでも壊せるのか

解体工事は、登記の名義と関係なく契約できることが多いです。ただし、法律の上では、家は相続人みんなのものです。相続人が何人もいると、家は相続人の共有になります(民法第898条)。共有の物に大きな変更を加えるには、ほかの共有者の同意が要ります。これは民法第251条の決まりです。建物を壊すのは、この大きな変更に当たると考えるのが自然です。そのため、相続人全員の同意をとってから壊してください。同意は、あとでもめないよう書面に残すと安心です。家の中の家財も、相続人みんなのものです。形見分けをしたい人がいないか、壊す前に声をかけてください。
2. 相続放棄との関係
親に借金があるなど、相続放棄を考えている人は注意が要ります。相続の財産を処分すると、相続を認めたものとみなされます(民法第921条)。家を壊すことは、この処分に当たるおそれがあります。放棄の期限は、相続を知った時から3か月以内です(民法第915条)。放棄するかどうかを決める前は、壊さないでください。くわしくは「相続した家の解体費用と補助金|費用を左右すること・相続放棄との関係」をご覧ください。判断に迷うときは、弁護士の先生の領域です。
3. 壊した後の登記
建物がなくなったら、建物の滅失登記(建物がなくなった記録)をします。期限は、なくなった日から1か月以内です(不動産登記法第57条)。名義人が亡くなっている場合は、相続人が申請できます(同法第30条)。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象です(同法第164条)。過料とは、刑罰ではない、お金を納める制裁です。滅失登記は土地家屋調査士の先生の領域です。
土地の名義は、別に書き換えが要ります。2024年(令和6年)4月から、相続登記が義務になりました。相続を知り、土地を受け継いだと知った日から3年以内です(同法第76条の2)。くわしくは「相続登記の義務化|2027年3月31日の期限と、しないときの過料」をご覧ください。相続登記は司法書士の先生の領域です。
4. 壊す前に考えたい税のこと
固定資産税は、毎年1月1日の状態で決まります(地方税法第359条)。1月1日に家がないと、家が建つ土地の軽減が外れます。売るつもりなら、売れる見込みと壊す時期を合わせて考えます。
空き家の3,000万円控除を使う予定なら、条件の確認が先です。壊してから売る場合も対象になりえますが、細かい条件があります。くわしくは「空き家の3,000万円特別控除が使えない5つの場合」をご覧ください。
よくあるご質問
相続人の1人が反対しています。
全員の同意がないまま壊すと、もめる原因になります。話し合いがまとまらないときは、弁護士の先生の領域です。
解体の費用は、親の預金から払えますか。
親の預金は、亡くなると引き出しが止まることが多いです。払い方は、相続人で話し合って決めます。相続放棄を考えている人は、親の財産を使う前に弁護士の先生に相談してください。
壊してから売るのと、壊さずに売るのは、どちらがいいですか。
家の状態と、買い手の見込みで変わります。不動産会社に、両方の形で査定を頼むと比べやすくなります。判断の考え方は、「相続した空き家は売る?貸す?|売値と家賃を並べて比べる方法」をご覧ください。
出典:民法(e-Gov法令検索)第251条・第898条・第915条・第921条/不動産登記法(e-Gov法令検索)第30条・第57条・第76条の2・第164条/地方税法(e-Gov法令検索)第359条/法務省「相続登記の申請義務化」
登記や税の決まりは、変わることがあります。この記事は2026年11月時点の法律をもとにしています。具体的な壊してよいかの判断は、弁護士の先生にご確認ください。相続の手続き全体のご相談は、まとめる相続でも受け付けています。
その他のテーマは不動産コラムにまとめています。