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空き家の手入れに手が回らないとき|頼む・貸す・売るの選び方

公開日 最終更新

草が伸びた空き家の前で、仕事帰りの男性がスマホの予定表を見て、通う時間がなく困っている様子の絵

親の家が空き家になった。草刈りや換気に通いたいけれど、仕事や自分の家のことで手が回らない。

このページでは、手入れが続けられないときに、何を選べばよいかを説明します。放っておくと起きることは相続した空き家を放置すると起きることにまとめています。

このページのポイント

  • まず、3つの問いで「この先も通い続けられるか」を確かめます。
  • 続けられないなら、「人に頼む」「貸す」「売る」のどれかを選びます。使う予定の時期と、建物の状態で決まります。
  • 当社の考え:使う予定がない空き家は、売ることをおすすめしています。

1. 手が回っているかを確かめる3つの問い

次の3つに答えてみてください。

  1. 1月に1回以上通えていますか
  2. 2半日以内1回の行き帰りと作業が、半日(5時間)以内で済んでいますか
  3. 3この先5年同じように通い続けられますか

1つでも「いいえ」なら、選び方を考える時期です

「いいえ」だった問いごとに、最初にすること

「いいえ」だった問い最初にすること
① 月に1回以上は通えていない見回りを頼める先(管理の業者や、近くに住む親戚)を探します。業者なら、まず1社から見積もりを取ります。
② 半日以内に済まない時間のかかる作業を書き出します。草刈りのように時間のかかる作業だけを頼む見積もりを1社から取り、自分は換気と通水だけにできるかを考えます。
③ この先5年は続けられない5年以内に自分や家族が住む・使う予定があるかを、家族に聞きます。予定がなければ、売った場合の値段を1社に聞いておきます(3.の順番の①)。

通うときに毎回見る所は空き家を自分で管理する|月1回の点検表にまとめています。

2. 3つの選び方を表で比べる

人に頼む貸す売る
手間見回りや草刈りを任せられる住む人が使うので傷みにくい手入れがなくなる
お金毎月の費用がかかり続ける家賃が入るが、修繕費もかかるまとまって入る
家残る残るなくなる
注意固定資産税は払い続ける空き家の3,000万円控除が使えなくなる(5.の理由③)控除には売る期限がある(5.の理由③)
1年のお金の出し方固定資産税など+頼む費用(出ていく)家賃×12-管理の手数料・修理・固定資産税など(入る)売値-仲介手数料・登記・税=手取り(1回だけ入る)

空き家を持ち続けるお金の合計は空き家の年間の維持費、売ったときの手取りは家を売るときにかかる費用の一覧で、例を使って計算しています。

3. 選ぶ順番

問いはいいいえ
① 5年以内に、自分や家族が住む・使う予定がありますか人に頼む。使うまでの間、手入れを任せる②へ
② 建物は、人が住める状態ですか(雨漏りがなく、水回りが使える)③へ売る(古家付きの土地として、または壊して)
③ 家を手放したくない理由がありますか(思い出・将来の建て替えなど)貸す。期間を決めた定期借家で売る

4. 頼む・貸す・売る、それぞれで先に確かめること

人に頼むとき

  • どこまで頼むか(見回りだけ/草刈り・換気・通水まで)を決めます。
  • 報告のしかた(写真つきか)と、何かあったときの連絡を確かめます。
  • 頼める作業と、契約の前に確かめる点は空き家の管理を業者に頼むをご覧ください。

貸すとき

売るとき

売る前に、次の3点を確かめます。

  • 名義:登記の名義が亡くなった方のままなら、先に相続登記をします。令和6年4月1日から、相続で不動産を取得したと知った日から3年以内の申請が義務になりました。法務局で登記事項証明書を取ると、今の名義が分かります。
  • 境界:隣との境の目印(境界標)や測量図があるかを見ます。無ければ、測量が要るかを不動産会社と相談します。
  • 家財:家の中の物を「残す・形見分けする・処分する」に分けます。処分する物が多ければ、片付けの見積もりを取ります。

売る流れと期限、税金の目安は相続した家・実家の売却をご覧ください。

迷うときは、売る場合の値段と、貸す場合の家賃を並べて比べます

比べ方は相続した家は「売る・貸す・住む・そのまま」の4択にまとめています。

5. 当社の考え ― 使う予定がないなら売る

空き家の前で、頼む・貸す・売るの3つの道を見比べている様子の絵

当社では、この先使う予定がない空き家は、売ることをおすすめしています

人に頼む

払い続ける

手入れの費用と固定資産税は払い続けることになります

売る

心配がなくなる

手入れの心配と、毎年の固定資産税の心配がなくなります(売った利益には、翌年に税がかかることがあります)

売ることをすすめる3つの理由

  • 持ち続ける費用が積み重なる:税・水道と電気の基本料金・交通費だけで、10年で約152万円になる例もあります(2.でご案内した維持費のページの例)。古い家では、屋根や給湯器などの大きな修理も加わります。
  • 建物は年々古くなる:人が住まない家は傷みが早く、売るときの値段が下がりやすくなります。
  • 税の特例に期限がある:空き家の3,000万円控除は、相続から3年たつ日のある年の12月31日までに売ることが条件の一つです。特例そのものも、2027年12月31日までに売った分が対象です。また、相続のあと売るまでに一度でも貸すと、この控除は使えなくなります。くわしい条件は空き家の3,000万円控除をご覧ください。

6. Aさんの例:通う時間と、頼む費用を比べる

説明のための仮の例です。当社の取引の実例ではありません。

Aさんは会社員です。母から相続した実家(昭和52年築の木造。母は一人暮らしでした)までは、車で片道2時間。高速代とガソリン代で、往復5,000円かかります。月1回、日曜日に通って、換気・通水・草取りをしています。

項目1回1年(12回)
行き帰り4時間48時間
作業3時間36時間
合計7時間84時間
交通費往復5,000円6万円

84時間

1年に通う時間(夏はさらに増える)

1回に7時間かかるので、1.の2番目の問い(半日・5時間以内)は「いいえ」です。夏は草刈りに1日かかる月もあり、84時間より増えます。家を持っている限り、固定資産税・都市計画税(Aさんの家は年84,000円)も払い続けます。

管理の業者2社から見積もりを取ると、1年分はどちらも交通費の6万円を上回りました。お金だけで見れば、自分で通うほうが安い。ただ、1回7時間の通いを、この先5年続けられるかは分かりません。そこで、3.の順番で考えました。

  • ① 5年以内に住む予定は、ない。
  • ② 建物は住める状態。
  • ③ 手放したくない理由は、特にない。

今売る場合と、10年後に売る場合

持ち続けても、家と土地は残ります。そこでAさんは、「持つか売るか」ではなく、「今売るか、10年後に売るか」で比べました。母が亡くなったのは2025年、売値はどちらも1,500万円とします(いずれも仮の例)。

比べること今売る(2027年12月31日まで)10年後に売る
売るまでの出費売れるまでの数か月分税と交通費だけで(84,000円+6万円)×10年=144万円。水道・電気の基本料金、保険、草刈り、大きな修理も加わる
建物築49年(昭和52年築)築59年。人が住まない分、傷みが進み、値段が下がりやすい
空き家の3,000万円控除条件を満たせば使える期限を過ぎているので使えない
売った利益にかかる税0円(利益が控除の範囲内)約278万円(利益の約20%)

※利益=売値1,500万円-取得費75万円(親が買った値段が分からないため売値の5%)-売る費用57万1,000円(仲介手数料の上限56万1,000円+印紙1万円)=1,367万9,000円。税は、長く持っていた場合の税率(所得税15%・復興特別所得税は所得税の2.1%・住民税5%。合わせて20.315%)で計算。仲介手数料の上限は(1,500万円×3%+6万円)×1.1。控除は1人最大3,000万円(家を3人以上で相続したときは1人2,000万円)で、この例の利益はその範囲内です。控除の条件は5.の理由③のとおりです。

10年後に同じ値段で売れたとしても、税の分だけ手元に残るお金が減ります。建物が古くなって値段が下がれば、差はさらに広がります。

Aさんは、売る方向で兄弟と話し合うことにしました

話し合いがまとまるまでの半年は、業者に見回りを頼むことにしました。

よくあるご質問

Q. 家の中に荷物が残ったままでも、相談できますか。

できます。片付けの段取りから一緒に考えます。売る場合は、片付けを済ませてから引き渡すのが一般的です。荷物を残したまま買い取る会社もあります(相続した家・空き家の買取)。

Q. 見回りを頼むと、費用はいくらですか。

頼む先と、頼む中身で変わります。見回りだけか、草刈りや換気も含むかで大きく違います。見積もりを取って比べてください。

Q. 兄弟で、売るか残すかの意見が分かれています。

まず、売る・貸す・住み続けるの数字をそろえると、話し合いが進みやすくなります。兄弟で実家の分け方がまとまらないときをご覧ください。

Q. 決まるまでの間は、どうすればいいですか。

期間を区切って、人に頼むのが一つの方法です。その間に、売るか貸すかを決めます。置いている間にも、5.の理由③の売る期限は近づいていきます。

手入れが続けられないと感じたら、頼む・貸す・売るのどれかを選ぶ時期です。まず1.の3つの問いに答え、3.の順番でたどってみてください。

出典:空家等対策の推進に関する特別措置法(e-Gov法令検索)、借地借家法 第38条(e-Gov法令検索)、国税庁 タックスアンサー No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例、国税庁 No.7108 不動産の譲渡契約書等に係る印紙税の軽減措置、国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算、国税庁 No.3258 取得費が分からないとき、法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」

法律や税の決まりは、変わることがあります。この記事は2026年11月時点の法令と国税庁の説明をもとにしています。具体的な税の判断は、税理士の先生にご確認ください。

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